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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
396:チヒロ×サト ◇tRZTXyhvWw 2012/06/30(土) 23:14:29 ID:GCddMrE00 666 名前:◆tRZTXyhvWw :2010/10/18(月) 00:02:06 ID:On5th0B10 こんばんは。 ふたごの村のチヒロ×女主人公を途中まで投下します。 女主人公の名前は小学館の公式ガイドブックから「サト」にしました。 667 名前:チヒロ×サト ◆tRZTXyhvWw :2010/10/18(月) 00:02:56 ID:On5th0B10 「チヒロ、悪いのだけれどこのメモを掲示板に貼ってきてくれる?」 「はい、分かりました。」 この医院は基本的に細々とした仕事しかなく、またその仕事もひと段落ついてちょうど手が空いたところだったので、僕は先生の頼みを受け入れた。……断ることは最初から出来ないということには目を瞑る。 午後から降りだした雨の中、傘を差して掲示板へと向かうと先客がいた。 この村では見かけない、ブルーベル村特有の服装をした彼女は…… 「サトさん!」 「あ、チヒロ君。」 僕が驚いて声をかけるとサトさんはこちらを振り返りふわりと笑った。 その笑顔に心の奥がぽーっと明るくなる。 が、今はそんな場合じゃない。 「どうしたんですか!?ずぶ濡れじゃないですか!」 そう、彼女は傘を差していなかった。靴までびちょびちょに濡れている。 「どうしても今日中にメダカを捕まえて届けないといけなくて……近くに寄ったついでにこのはな村の掲示板もチェックしとこうかなーって。」 そう言ってサトさんは気まずそうにえへへ、と笑った。 つまり彼女はこの雨の中、浅瀬で魚つかみをしていたらしい。 行動力があり、毎日山を越えてこの村に来ている彼女らしいといえばらしいのだろうが……正直、あまり無理はしないでほしい。 「うちに寄って行って下さい。このままだと風邪を引きますよ。」 「いいの?迷惑じゃないかな?」 「全然迷惑じゃないですよ!このまま帰って風邪を引く方が問題です!ほら、いきましょう。」 アヤメ先生のおつかいメモを貼り、二人でアヤメ医院まで急いだ。
397:チヒロ×サト ◇tRZTXyhvWw 2012/06/30(土) 23:14:51 ID:GCddMrE00 668 名前:チヒロ×サト ◆tRZTXyhvWw :2010/10/18(月) 00:03:37 ID:On5th0B10 「おかえりなさい……ってあら、サトちゃん。」 「お邪魔します。」 「僕、タオルを取ってきますね。」 「サトちゃん、うちのシャワーを使いなさい。着替えも私のものを貸してあげるから。」 「ありがとうございます。」 サトさんは水を吸ってがぽがぽと音を立てるブーツとストッキング、ベストを脱いでぺたぺたとアヤメ先生の後に付いて行った。 タオルは浴室に持っていった方がいいだろう。 雨の予報を聞いてから昨日のうちに干しておいたふかふかのタオルを2,3枚取りだして、脱衣所の籠の中へ入れた。 浴室からはシャワーの音が聞こえる。 この向こうにサトさんが……。 ……これ以上ここにいるのは精神衛生上良くないと判断した僕は、足早に脱衣所を後にした。 「すみません、アヤメ先生はいらっしゃいますか?」 やや心配そうな顔のソナさんが訪ねてきた。 「どうしました?ソナさん。」 「マオが熱を出してしまって……微熱なんですけど、苦しそうでね。アヤメ先生に診ていただきたくて。」 「分かりました。チヒロは留守番をしていてくれる?」 「はい。」 去り際に振り向いたアヤメ先生が楽しそうに口を動かしたが、僕には声が聞こえなかった。
398:チヒロ×サト ◇tRZTXyhvWw 2012/06/30(土) 23:15:13 ID:GCddMrE00 725 名前:チヒロ×サト ◆tRZTXyhvWw :2010/10/25(月) 01:39:09 ID:1gW76T3e0 続きいきます。 726 名前:チヒロ×サト ◆tRZTXyhvWw :2010/10/25(月) 01:40:01 ID:1gW76T3e0 「お風呂ありがとうございます……って、チヒロ君だけ?アヤメ先生は?」 しばらくしてサトさんがお風呂からあがってきた。ドライヤーもきちんとかけてきたようで、首をかしげた拍子に乾いた髪がさらりと揺れた。 「ソナさんのお宅に行きました。なんでもマオちゃんが熱を出してしまったそうなんです。」 「マオちゃんが?大丈夫かなぁ……。」 サトさんが心配そうに眉をひそめる。 「ソナさんの話によると微熱だそうですから、大丈夫だと思いますよ。」 その割に先生の帰りが遅いのは気になったけれど、口に出して不安を煽ることもないだろうと思い黙っておく。 多分晩御飯の時間までには帰ってくるだろう、とまるで母親のような事を考える。 「……雨、まだ止まないのね。」 ぽつりとサトさんが呟いた。若干雨脚は弱まったが、暗くなってきた山道を歩いて帰るのは危険だろう。うっかりぬかるみにはまったり、すべって崖から落ちてしまう可能性だってある。 「よかったら、今日はこのまま泊まっていきませんか?」 自然とそんな言葉が漏れた。 後になって振り返ってみても、この時は決してやましい気持ちがある訳ではなかったと胸を張って言える。 ただ、すぐ隣に宿泊施設がある役場があるから傘を貸せばそれでよかったとか、その時は全く考えつかなかっただけなのだ。 「流石にそこまでお世話になっちゃうのは……うーん……。」 「ベッドは患者さん用のものがありますから、遠慮しないで下さい。」 「でも、ご飯とか……。」 なおも遠慮するサトさんに、更に僕は言い募る。 「気にしないで下さい。いつもおいしい作物をおすそ分けしてもらっているお礼です。」 実際、サトさんが分けてくれる作物やミルク、卵はとても美味しくていつも貰ってばかりで申し訳ないと思っていたのだった。 「そこまで言われちゃったら断るのも悪いなぁ。それじゃあ、お言葉に甘えて。」 よろしくね、と小さく頭を下げるサトさん。 その仕草をとても可愛らしいと思うと同時に二人っきりであることが妙に意識されて、アヤメ先生は一体いつ帰ってくるんだろう、と早く帰ってきて欲しいような、もう少しこのままでいたいような何とも言えない気持ちになった。
399:チヒロ×サト ◇tRZTXyhvWw 2012/06/30(土) 23:15:34 ID:GCddMrE00 727 名前:チヒロ×サト ◆tRZTXyhvWw :2010/10/25(月) 01:40:40 ID:1gW76T3e0 「ごちそうさまでした!美味しかったー。」 ぱちん、手を合わせてにこにことサトさんは幸せそうだ。作った身としてそれはとても嬉しい。 「お粗末様でした。食後のお茶はどうですか?」 「お茶まで淹れてくれるの?ありがとう!あっ、じゃあこれ一緒に食べようよ!今朝作ったあべかわもちがあったはずだから……。」 ごそごそと鞄の中を探る音がする。いつも思うのだけれどサトさんはどうやって料理を持ち歩いているんだろう? 気になったけれどちょうどお湯が沸いたので振り返ることができなかった。 「それにしても……アヤメ先生帰ってこないね。マオちゃんの病状がひどかったらチヒロ君を呼ぶだろうし。」 僕が席に着くのをみはからって、サトさんが心配そうに言った。 「そうですね……。先生のことですから、明日の朝にでもひょっこり帰ってくると思いますよ。」 サトさんを安心させる目的もあって冗談まじりに言った自分の発言にはっとしてしまう。先生が朝まで帰って来ないなら、サトさんと朝まで二人きりだという事だ。 「そっか。ならいいんだけど。」 対するサトさんは僕の返事にあっさりと頷き、緑茶を飲み始めた。 やっぱり、僕なんかサトさんに相手にされてないのかな……。 なんてマイナス方向に思考がチェンジしそうになった、その時だった。 「うぐっ……げほっ、ごほっごほっ!」 緑茶を飲んでいたサトさんが思い切りむせたのだった。 びっくりして思わず背中をさする。 「サトさん、大丈夫ですか!?」 「う、うん大丈夫……。って、あわわわわ……。」 みるみるうちにサトさんの顔が真っ赤に染まっていく。 どうしたんだろう?
400:チヒロ×サト ◇tRZTXyhvWw 2012/06/30(土) 23:15:57 ID:GCddMrE00 728 名前:チヒロ×サト ◆tRZTXyhvWw :2010/10/25(月) 01:41:16 ID:1gW76T3e0 きゃーーー!!!どどっどどどどうしよう!? 本当にアヤメ先生が朝まで帰ってこなかったら二人きりだよね?って思ったらお茶むせちゃうし、そしたらチヒロ君が背中さすってくれてるし……。 ……チヒロ君の手あったかいなー。 意識しちゃうとますます恥ずかしい。顔がかーっと熱くなるのが分かる。 わー、チヒロ君がすごく不思議そうにこっち見てる。 そうだよね、私これじゃあ変な子だよね。 「どうしたんですか?サトさん、顔が真っ赤ですよ?」 チヒロ君のせいだよー!とは、口が裂けても言えない。 「な、なんでもないよ……。ごめんね、心配かけちゃって。」 「そうですか?もし体調が悪いのなら無理せず言って下さいね。」 うう……チヒロ君のにぶちん。 でもにぶちんなのは私も同じだってラズベリーにこの前言われたっけ。 「ありがとう。大丈夫、むせただけだから。それより、あべかわもちどうかな?くるみを入れてみたんだけど。」 「あっ、まだ食べてなかったです。いただきます。…………、うん、くるみがいいアクセントになってます。すごく美味しいです。」 「よかった〜。」 チヒロ君に喜んでもらうために作ったので、チヒロ君に喜んでもらえるのは本当に嬉しい。 それからしばらく料理談義に花が咲いて、食事の後片付けを一緒にして、チヒロ君の部屋に場所を移して色々な話をした。 「そういえば、チヒロ君は好きな子とかいるの?」 ふと会話が途切れたので、訊いてしまった。 いないならまだ私にもチャンスがあるし、いるなら……難しいけどすっぱり諦めようと思う。 「ええっ、な、ななななんですか急にそんな事っ!」 チヒロ君の顔がみるみる赤くなっていく。 ああ、好きな子いるんだ……。 すーっと冷めていく心とは裏腹に、私の唇はなめらかに動いた。 「その反応はいるよね?誰?ナナ?それともリコリス?」 「ちっ、違います……!僕は好きなのは……」 「二人じゃないの?じゃあもしかしてアヤメ先生?」 「僕が好きなのはっ、サトさんですっ!」 729 名前:チヒロ×サト ◆tRZTXyhvWw :2010/10/25(月) 01:42:24 ID:1gW76T3e0 今回はここまでです。 多分次からエロ入ります。 前置き長すぎですみません。
401:チヒロ×サト ◇tRZTXyhvWw 2012/06/30(土) 23:16:21 ID:GCddMrE00 780 名前:チヒロ×サト ◆tRZTXyhvWw :2010/11/04(木) 22:02:41 ID:eYxarh730 流れ豚切りで続き投下。 すみません、エロまでたどり着きませんでした。 781 名前:チヒロ×サト ◆tRZTXyhvWw :2010/11/04(木) 22:17:41 ID:eYxarh730 しん、と部屋が沈黙に包まれた。 言った。言ってしまった。 だってサトさんがこれっぽっちも僕を意識していないようだったから。 それがとても悲しくて悔しくて、勢い余っていってしまった。 「……え?え?……ええええええええええええっ!チヒロ君私の事好きだったの!?」 「そうですよ。わ、悪いですかっ!」 自棄になって開き直る。もうどうにでもなってしまえ。 「全然悪くないよ!だって私も……その、チヒロ君のこと…………すき、だから。」 最後は今にも消え入りそうな声だったから、きっと聞き間違いだと思った。 「サトさん?今なんて?」 「わ、私もチヒロ君のことが好きだよ。」 「ええっ!!」 今度は僕が驚く番だった。サトさんが僕のことを好き? 「うう……やっぱり気づいてなかったんだー……私結構モーションかけてたつもりなのに……。」 「え?ええっ!?」 サトさんが?モーションかけてた? 「あのー……具体的にはどういった事を?」 「毎日挨拶したりとか、グラタンあげたりとか、一緒にお話ししたりとか、色々。」 「キリクさんやディルカさんにも挨拶したり好きなものあげたりしてるじゃないですか。」 「あの二人は友達!キリクに関しては私チヒロ君の事相談してたからそのお礼。」 「ええっ!!あの、僕もキリクさんにサトさんの事を相談してたんですけど……。」 「嘘っ!」 お互いの事を好きあっている男女にそれぞれ相談されるなんて……キリクさん、どんな気持ちだったんだろう。 「うわー……なにそれすごく恥ずかしいんだけど……。」 サトさんは両手で赤面した顔を包み、うろたえている。 しかし、少しすると肩をぷるぷる震わせてくすくすと笑い始めた。 つられて僕も笑う。 確かにとても恥ずかしいけど、でも悪い気分じゃない。愉快だった。 ひとしきり笑い終わると、再び沈黙が訪れた。 さてこれからどうしようと思ったところでサトさんが動いた。 サトさんの顔がどんどん近付いてきて……唇に、唇が触れた。 「えへへ……奪っちゃった。」 「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 全身が熱い。多分今僕の顔はゆでだこみたいに真っ赤なんだろう。 サトさんはしてやったりといったような顔している。 「僕、お風呂入ってきます!」 寝巻をひっつかんでその場から逃げだした。
402:チヒロ×サト ◇tRZTXyhvWw 2012/06/30(土) 23:16:44 ID:GCddMrE00 782 名前:チヒロ×サト ◆tRZTXyhvWw :2010/11/04(木) 22:18:09 ID:eYxarh730 あ……チヒロ君いっちゃった。 自分でもあんなに大胆な事が出来るなんてびっくりしてしまった。 チヒロ君の前では余裕ぶっていたけど、一人になった今、顔が火照るのが分かる。 チヒロ君のベッドにぽすんと腰かける。 チヒロ君がいないのをいいことに、そのまま横になって枕に顔をうずめた。 いつもチヒロ君が使ってるベッド。なんだかほっとする。 シーツを取り換えたばかりなのか、ほのかに石鹸の香りがする。 それがとても心地よくて、私の意識は少しずつ、とろとろと溶けていった。 783 名前:チヒロ×サト ◆tRZTXyhvWw :2010/11/04(木) 22:18:36 ID:eYxarh730 熱めのお湯をかぶって頭をしゃっきりさせようとするけれど、うまくいかない。 油断すると先ほどのサトさんとのキスの感触がよみがえってきてしまう。 好きな人が自分のことを好いていてくれて、これ以上ないくらい幸せだったけれど、この夜をどうやって乗り切れるか分からなかった。 多分今日はどきどきして眠れないだろう。 ちょうど明日が金曜日で医院が休みなのは助かった。 もし明日も仕事だったらきっと全く身が入らなかっただろう。 今日のうちに気持ちを整理して、明日からまたサトさんといつも通りに接することが出来るようにしよう。 出来れば一緒に食事処ソナでお昼を一緒に食べたいな、と思った。
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