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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
47:カイル×ジュリア 2009/12/13(日) 21:39:41 ID:kh1UIBdU 264 名前:カイル×ジュリア(2/8)[sage] 投稿日:2009/03/23(月) 00:37:13 ID:X3OoDaLl 耐えることなどできなかった。 成すすべなく傷ついていく事しか、彼女にはできなかった。 あれから、もう何度泣いたか知れない。 カイルが帰っていった後、本当は、寒さで死んでしまうまで泣き続けていたかった。 あの時は本当にショックだったし、何もかも失ってしまったような気持ちだった。 もう、明日が来るのが怖くて仕方無かった。 だから、本当にそうするつもりだった。 でも、寒さは彼女の体にはあまりにも辛くて、目の前にお風呂もあって、結局、その暗い考えを最期まで貫くことはせずに終わった。 でも、お風呂に入ることはできなかった。 温泉のお湯は、彼女の傷に酷くしみるのだった。 耐えられないほど痛かったし、その上、痛みから先程の事の記憶が蘇ってきた。 あの鼻を突く生臭い匂いまでどこからか漂って来る様だった。 それは、ジュリアには辛過ぎた。 そうしてジュリアは、自分の身に起こった悲劇が決して悪い夢などではなかったのだと、改めて思い知らされた。 泣きながら汚れた体をきれいに拭いて、それでもいくらか落ち着いた。 ベッドに潜り込み、小さな体を丸めて、震えながら目をつむり、できる限り辛いことを考えないようにして、眠ろうとした。 しかしなかなか眠れず、やっと眠りにつけたころ、ジュリアは、カーテンの隙間から部屋の中にうっすらと陽が差しているのを見た気がした。 この夜は彼女にとってつらいものだったが、悲劇は今晩限りではない。 この日の出来事は、はっきりとジュリアの人生にも傷として残った。 この日を境に彼女を取り巻く色々なものが変貌してしまった。 どんなに望んでも、以前に戻る事は、できないのだ。 ジュリアは、体に違和感を感じて目を覚ました。 下着の中がぬるぬるして冷たい。 布団から出て下着を下ろすと、お腹から太股にかけて濡れていて、所々で何かが糸を引いている。 「あ…あ……」 それが何か、分からない筈がなかった。 注ぎ込まれたカイルの精液が、溢れ出していたのだ。 そんなものを見てしまっては、嫌でも、彼女の恐れる最悪の結果を想起させられる。 妊娠、という。 血の気が引いた感じがした。 急激に覚醒したジュリアは、その上でショックの余り卒倒しそうになった。 265 名前:カイル×ジュリア(3/8)[sage] 投稿日:2009/03/23(月) 00:39:39 ID:X3OoDaLl 貧血を起こしたように、視界が影に覆われ、揺れている。 それでもジュリアは、何とかしなければ、という思いでベッドから降りた。 「く、う……っ」 床に足をついて、両足が華奢な体を支えようとすると、体がみしみしと軋むように痛んだ。 純潔を破られた傷が、恐らく、まだ消えないでいる。 相変わらず視界は暗く曇っているようだったし、階段を一段降りる度に痛みで呻き声を上げたが、それでもジュリアは風呂場に向かって少しずつ歩いていった。 しかし、その時間がいけなかった。 必死に歩いている間、とにかくどうにかしなければ、と思っていた。 けれど、どうすればいいかなんて少しも分からなかった。 なにしろこんな事は初めてだったのだから。 その不安に、マイナス思考が強烈に作用した。 やがて頭に浮かんだのは、最悪の結果の想像図だった。 もし自分が妊娠すれば、街の皆は驚くだろう。 そしてそれが非難に変わるのに理由はいらない。 そんなことになったら、自分は街に居続けられるだろうか。 でも、もしそれが辛くなっても、街の外で生きることなんてきっとできない。 今まで自分のイメージを守ってきた美しい体は、妊娠することで失われる。 そうしたら、どうすればいいのか。 もはや、自分を守るものなんて、何もなくなってしまった。 これからどうやったらみんなに嫌われずに生きて行くことができるというのか。 その時のジュリアには、そういう風にしか考えることができなかった。 妊娠することが、既に決まった未来のように思えていた。 風呂場にたどり着くまでにかかったその時間が、ジュリアを打ちのめしていた。 一階に降りると、脱衣所の前に、赤黒く汚れたバスタオルが一枚、昨日のまま、広げてあった。 それはまさに昨日のまま、あの時のジュリアの身悶えの一つまで皺として残していた。 「……」 ジュリアはそれを拾い上げるために屈もうとしたが、力が入らず、畳んだ膝が、とん、と床についた。 「……?」 気付くと、水滴がタオルに落ち、それは見る見るうちに染み込んで、小さな円を描いた。 ジュリアは涙を流していた。
48:カイル×ジュリア 2009/12/13(日) 21:40:13 ID:kh1UIBdU 267 名前:カイル×ジュリア(4/8)[sage] 投稿日:2009/03/23(月) 00:43:03 ID:X3OoDaLl どうして気付かなかったのか、という程たっぷりと溢れた涙が、あるものは頬を伝って顎に、あるものは鼻の先に集まり、ぽつぽつと雫をつくってこぼれ落ちていった。 いつから泣いていたのか分からない…、でも、気付いた時には、彼女の心は折れてしまっていた。 それから、何も考えていない時間と泣いている時間を、ただただ何度も繰り返した。 あれ以来人は来ていない。 あるいは、誰もが扉に手を掛けずして帰って行くのか。 そうか、既に突然の無断休業が、皆の知るところとなっているのかもしれない。 それなら、明日は、どうしよう。 店を開けるべきか、家に籠るべきか。 明日こそは皆のために店を開け、その上で非難を一身に受けるべきか、それに耐えられるとも分からない自分を、皆にどう思われても、もう少しだけ守るべきか。 ジュリアにはどちらも辛い選択に思えた。 そんな時、あの音がした。 ガチャ、という、扉を鍵が押さえる音が。 ジュリアは再び緊張する。 また、あんな辛い思いをさせられるのか。 それきり音は聞こえてこない。 帰って行ったのだろうか…、また… コン、コン、と、扉をノックする音が聞こえた。 この客は、ジュリアが出て来ることを望んでいる。 とはいえ、ジュリアはそんなことができる状態ではない。 大体お風呂にお湯も張っていないのだから、出ていったところで何もできない。 その音は、より彼女を追い詰めていく。 「ジュリアさん?」 「!」 聞き慣れた声。 「わたくしです、起きてらしたら、返事をして」 ロザリンドだ。 ジュリアを特別好いてくれている、大切な友達だ。 「具合が悪いんですの?怪我をなさったの?」 ジュリアがどこにいても聞こえるように、大きな声で呼び掛けている。 「返事をして、ジュリアさん」 どうしよう、と悩む前に、ジュリアの体は動き出していた。 ロザリンドが自分の窮状をいかにして知ったかは分からない。 大体、いくら親友とはいえ、今回の事は、話してしまうべきか悩んでもいいものだったろう。 しかしジュリアは、自分を助けようと手を伸ばす彼女に、反射的にすがったのだった。 痛みを堪えながら窓まで歩き、それを押し開けた。 窓から通りを見下ろすと、ロザリンドがいた。 目が合うと、彼女は安心したように微笑んだ。 それを見ると、ジュリアは泣きそうになってしまう。 268 名前:カイル×ジュリア(5/8)[sage] 投稿日:2009/03/23(月) 00:45:45 ID:X3OoDaLl 「い、いまいくから、まってて」 取り乱しているのを気付かれないよう、ちゃんと声を出したつもりだったが、かすれた、驚く程小さな声しか出なかった。 「わかりましたわ」 ロザリンドは、しっかりと答えた。 ロザリンドは扉の前で、ジュリアが出て来るのを待っている。 なかなか開かない扉が、不安を煽った。 そして、やっと開かれた扉から出て来たジュリアを見て、ロザリンドは言葉を失った。 「ロザリンド」 それだけ口にしたジュリアの目の下には、黒いくまができていた。 目は真っ赤に泣き腫らして、白い肌に痛々しいほどに映えている。 声も、信じられないほど弱っている。 他でもないあのジュリアが、他人に見せる姿ではなかった。 目の前に立っているのは、本当に彼女なのか。 ジュリアに何があったのか。 分からない。驚くしかなかった。 それでも、今自分にできることは、と考え、ロザリンドは何も考え付かなかったが、ただジュリアの手を握った。 「何があったんですの…?」 そう聞いたが、ここまできてジュリアは答えるのを渋った。 「だいじょうぶよ、たいしたことじゃないから……」 しかしロザリンドには、どう見ても異常事態にしか見えなかった。 きっと予想もできないような。 誤魔化すようなその言い方が、やはり、ただ体調を崩したとかではなく、もっと深刻な何かがあったのでは、と思わせた。 「いいから、答えて」 「……でも……」 「わたくし、まだなにも分かっていませんのよ。何があったのか分からないと、ジュリアさんを助けられませんわ」 ジュリアは、「助ける」という言葉に反応したようだったが、それでも答えなかった。 繰り返し諭すうちに、泣きたくなってきた。 こんな弱ったジュリアを見るなんて。 今すぐこの子を抱きしめて大声で泣きたかった。 目の前で傷ついている親友の悲しみを、少しだけでも肩代わりしてあげたい。 でもそれで解決できるとは、ロザリンドは思わなかった。 だから何度も言った。 「話して、大丈夫ですから」 「うぐ…っ」 ジュリアの赤くなった目に、涙が滲んだ。 それは下まつげにたっぷりと溜まり、やがてぽろりとこぼれ落ち、少しだけ線をつくって頬を離れた。 「ジュリアさん、ずっと一人で悩むのは、辛いんですのよ。話せば、きっと楽になりますから」 「うう…うう…っ」
49:カイル×ジュリア 2009/12/13(日) 21:40:43 ID:kh1UIBdU 269 名前:カイル×ジュリア(6/8)[sage] 投稿日:2009/03/23(月) 00:48:56 ID:X3OoDaLl それでもジュリアは、ぽろぽろと涙をこぼしながら、首を横に振った。 「どうして…、もう、そんな、一人で苦しむ必要ありませんのよ。お願いですから、わたくしに助けを求めて…」 「ううっ…だ…だって…、だれかにいえるようなことじゃないもん、いったら、き…っ、きらわれるもん…っ」 泣きながらそう言うジュリアの手を、ロザリンドはもう一度、しっかりと握った。 「誰があなたを嫌いになんかなりますか!」 ロザリンドの声は震えていたが、ジュリアをしっかりと見据え、強く言った。 「ジュリアさんは、わたくしがどんなにあなたを好きかご存じないようですから、はっきりと言います。 わたくしは、どんな事があっても、ジュリアさんを嫌いになんてなりません。絶対です。いつだって、何があったって、わたくしは、ジュリアさんが大好きなんです。 ですから…、ですから、ジュリアさんが苦しんでいるのを見るのはとても辛いのよ…。苦しい時は、お願いだから相談して。友達なんだから」 そう言ってロザリンドは、ジュリアを抱き寄せた。 母親が子供にするように、優しくジュリアを包むように抱き締めた。 ロザリンドは、ジュリアよりちょっと背が低い。 それでもジュリアは、ロザリンドにすっかりもたれるようにして、泣いた。 二人の涙に濡れた頬が、触れ合った。 それから、ジュリアは、すべてをロザリンドに打ち明けた。 ロザリンドは、ジュリアをベッドに寝かせ、パンとスープを用意し、食べるように言うと、一階の掃除に取り掛かった。 お湯を抜いただけのお風呂も勝手は分からなかったものの、丁寧に掃除した。 女湯の脱衣所は、念入りに水拭きした。 血の付いたバスタオルも、さすがに直ぐには手を付ける気になれず後回しにしたが、綺麗なタオルにくるんで廃棄した。 ついでに近くに丸まっていたカイルの上着も捨てた。 しかし、カイルがそんなことをしたとは…。 日頃の彼からは想像できなかった。 そして同時にこのことは、ロザリンドが彼に抱いていたささやかな慕情が破れたことも意味していた。 しかし、今はそんなことはよかった。 第一、ジュリアを傷付けた事への怒りの方が、遥かに大きく、激しかった。 270 名前:カイル×ジュリア(7/8)[sage] 投稿日:2009/03/23(月) 00:50:51 ID:X3OoDaLl もしこの場に奴がぬけぬけと謝りにでも現れようものなら、5、6発殴り付けた上で塩を撒いて追い払ってやっただろう。 本当なら、彼はジュリアを守ってやらなければいけなかったのに。 彼女の理解者になってあげなければならなかったのに。 彼になら、それが出来たはずだった。 それができる人間だと、自分なりに評価するくらいに、彼はいつも優しくて、何にだって馬鹿みたいに真面目だった。 ロザリンドは、紅茶を淹れて二階へ上がる。 ジュリアはしっかり言う事を聞いたようで、パンとスープは綺麗に片付いていた。 「少しは…、元気になりました?」 「うん…、ありがと」 相変わらずジュリアは見るからに弱っていたが、それでも笑顔を返した。 彼女のいじらしさに、ロザリンドはまた泣きそうになる。 しかし、もう十分泣いた。 泣くのはもういい。 そう思って、これ以上取り乱すことはしなかった。 「痛みは?まだ治まりませんか?」 「うん…、ちょっとだけ。でも、よこになってればへいきよ」 「そう…、それで、一番大切なことですけど…」 この質問は、ジュリアもさすがに重くて、少しうつむいた。 「まだどちらとも言えないと思いますわ。毎月の体調はどうですの?」 「…わからないの。くるときもはっきりしないから。もうずっときてないし…」 スタイル維持のためといって、無茶な生活のし過ぎで体調を保てていないのではないのか。 そうだとすれば呆れる。 しかしそれは、妊娠の可能性について、希望的に見てもいいということだろうか。 恐らく彼女の身体にそんな余裕は無い。 勿論それも推測で、自信を持って言えはしない。 まあ、そのあたりの知識量は二人とも似たり寄ったりだろう。 「はっきりとは言えませんけど、このままならきっと…大丈夫。ジュリアさんがストレスで倒れてしまう方がよっぽど有り得ますわ」 「…ねえ、もし、このまま…」 「?」 ジュリアは何か言おうとしたが、途中で思いとどまった。 「…ううん」 「何ですの?」 「ごめん、なんでもないの」 本当は、もしこのまま何日か何も食べずにいたら、そうして体をもっと弱らせたら、妊娠することは無いんじゃないか、と言おうとした。 でも、それをロザリンドに言うことはできなかった。 ジュリアはちょっとくらい食べないのなんて我慢できると思った。
50:カイル×ジュリア 2009/12/13(日) 21:41:13 ID:kh1UIBdU 271 名前:カイル×ジュリア(8/8)[sage] 投稿日:2009/03/23(月) 00:53:34 ID:X3OoDaLl それで妊娠を防げるとするなら十分やれる。 しかし、それをロザリンドに言うことはできなかった。 ロザリンドに嫌われるのが嫌だったからだろうか。 もしかしたら、言ってしまってロザリンドを傷付けることが、ジュリアは、嫌だったのかもしれなかった。 「ごめん、ロザリンド、わたし、いま、ちょっとだけ、いやなこといおうとしたの」 ジュリアは、言わなければ何事も無く済んだものを、わざわざ謝った。 ロザリンドはそれに首を傾げて見せる。 「どんなのかはいえないけど、…いえないけど、いやなこと…」 ロザリンドはにっこりと微笑むと、しょげ返るジュリアの額に手を伸ばし、そのさらさらと美しい髪を指で梳いた。 「わたくしが一番嫌なのは、ジュリアさんが傷つくことですわ」 ロザリンドは、夕飯を一緒に食べようと言ってくれた。 「ご飯はわたくしがこしらえますから、ジュリアさんはお家で待っていてくださいね」 「うん…ありがと」 ジュリアは一旦帰るロザリンドを見送った。 「いいですか?ジュリアさん、困ったことがあったら、すぐに、必ず、わたくしに言ってください。一人で悩んでは絶対にいけませんからね」 「うん。きょうはほんとにロザリンドのおかげでげんきになれたわ。ありがとうね」 「ええ。これからもわたくしは、ジュリアさんの味方ですわよ」 「あら、そういえば、どうしてきょうきてくれたの?」 そうだ。ロザリンドは一体いかにしてジュリアの窮状を知ったというのか。 「ああ、それは、ドロシーさんが教えてくれたんですの」 「ドロシー?」 それでは、さっきの一人目の客は、ドロシーだったという事か。 「お風呂に行ったら開いていなくて、それで真っ直ぐわたくしの所へ来てくださったのね、ジュリアさんは黙ってお休みするような人じゃない、すごく心配だ、って」 ロザリンドは目をつむって思い出すように語った。 「それでわたくしも気になって、ドロシーさんに代わって様子を確かめに来たんです」 そうだったのか。 ドロシーも自分のことをそんなに気にかけていてくれたのか。 胸が詰まって、ジュリアは堪らず下を向いた。 「ですから、わたくしだけでなく、ドロシーさんもジュリアさんの味方、ということですわね」 「うん…」 272 名前:カイル×ジュリア(9/9)[sage] 投稿日:2009/03/23(月) 00:58:51 ID:X3OoDaLl 「今度は三人で、ご飯食べましょうね」 「うん…」 「それでは、わたくしは戻りますわね」 ジュリアも顔を上げ、ロザリンドを見送る。 「特別美味しいのを作ってきますから、期待しててくださいね」 「うん!ロザリンドのおりょうりだもの、たのしみにしてるわん」 ジュリアは満面の笑みで答えた。 ジュリアに見送られ扉を閉めると、ロザリンドはため息を一つついた。 今回の事には、彼女もひどく精神力を消耗させられた。 ドロシーに知らされた時にはロザリンドも何事かと思ったが、まさかこんなことになっていたとは思わなかった。 それに、まだ問題は解決していない。 まだ彼女は救われてはいないのだ。 これからどうなるか分からない。 でも、彼女のために、自分にできる事があるなら、その全てをやろう。 そう決めた。 ロザリンドは両手を握り締める。 そして、誰もいない通りの真ん中で呟いた。 「神様、ジュリアさんは本当に良い子です。誰にだって優しくて、人に自分の弱いところを絶対に見せません。毎日を幸せに生きられる事を、誰よりも強く望んでいるんです。 でも、わたくしは、あの子がいつも一人でどんなに寂しい気持ちでいるか知っています。そして今、あの子は、だめになってしまいそうなくらい、心細い思いをしているんです。 どうか、どうか神様、あの子を守って下さい。あの子に、誰より大きな幸せをあげて下さい…」 273 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/03/23(月) 01:14:13 ID:X3OoDaLl 終わりです。本当はせっかくだからエロもあったんだけど自重しました。 見直したらケータイ小説みたいな話だ… 前回書いてからなんか可哀相になって助ける感じのものを書きたかったんだけど、いかにもなワードが鼻に付くかも。 それ以前に続きから読み始めて伝わる話になってたかが怪しい…。 もう細かいことは気にせずに>>261を待つんだ!
51:トーイ×アリス 2009/12/13(日) 21:42:09 ID:kh1UIBdU 299 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/04/24(金) 11:26:27 ID:HD/voyUO 悪い、いろいろあってこの時間になった とりあえずトーイ×アリスで投下する 300 名前:トーイ×アリス1[sage] 投稿日:2009/04/24(金) 11:29:00 ID:HD/voyUO 「なんで君は毎日ここに来るのよ」 アリスは苛立っていた、目の前に立っている青年……牧場主のトーイの行動が理解できないからだ。 「それは……アリスに逢いたいからなんですけれど……」 ……真顔でそんなこと言わないでほしいわ、まったく。 ため息を一つついた。 彼の行動がやっぱり理解できないことと、そして一瞬赤面しそうになったのをおさめるためだ。 「そうじゃなくて!いい?私と君は敵対関係にあるのよ?そんな人間が敵の本陣に来たら何かしら裏があると思わない?」 「はぁ……そういうものなんですか。あ、今日採れた鉱石です、どうぞ」 問い詰めようとして鉱石をプレゼントされた、やっぱり理解できない。 ……物の価値もよくわかっていないみたいだし、馬鹿なのかもね。 はぁ、とまた一つため息をついた。 なんだかここに来てからため息が増えた気がする。 「理解できないわ、私」 椅子に座りながら呟いた、それは彼にも聞こえていたらしい。 「僕もアリスのことよくわかってませんよ、だから毎日逢いに来るんです。おかしいですか?」 ……だから捨てられてる子犬みたいな目で見ないで。 「……いじめたくなるじゃない」 「え?」 301 名前:トーイ×アリス2[sage] 投稿日:2009/04/24(金) 11:31:23 ID:HD/voyUO 呟きは聞き取れなかったらしい。とそこでちょっとした悪戯アリスは思いついた。 「そんなに私を理解したいのかしら?」 「ええ、まあ……」 トーイはアハハと笑っている。 ……これで毎日押しかけられなくなるわね、普通の人間ならまず引くもの。 靴を脱ぎ捨て、トーイの目の前に生足をつきだす。 「跪いて舐めなさい」 ニヤリとアリスは笑みを浮かべ、トーイは逆に凍りついた。 「えっと……本気ですか?」 ……ふふっ、引いてる引いてる。 「冗談で言うと思う?」 そう言ってアリスはそっぽを向き目をつぶった、怒ったように見せるためなのだ。 「……どうしても?」 「私を理解したくないのであれば別にいいわ、それで?どうするのかしら?」 そう言い捨てるとトーイは戸惑っているような衣擦れの音を出した。 アリスはそれを部屋から出て行く音だと思っていた、刺激がくるまでは。 「……っ!?」 アリスが目をあけて足元を見ると、トーイが言われた通り跪いて右足を優しく両手でつつみ口づけしていた。 ……嘘でしょ!?何でそんなことできるのよっ! トーイは親指についばむように口づけし、舌を伸ばして優しく舐めている。 「こう……ですか?」 ……ああもうお願いだから上目遣いで見ないでよ。
52:名無しさん@カブ好き 2009/12/13(日) 21:43:16 ID:kh1UIBdU 302 名前:トーイ×アリス3[sage] 投稿日:2009/04/24(金) 11:34:11 ID:HD/voyUO 舐められる度にぞくりと背中に刺激が走る。 「っ……もっとよ、ちゃんと丁寧に舐めなさい」 そう言うとトーイは言われた通りに丁寧に舐めはじめた。 親指をついばみ、しゃぶり、指の股を舌先で刺激する。 ……なんなのこの感覚!? 舐められているアリスは戸惑っていた、止めさせることはいつでもできるが甘美な刺激がそれをさせようとしないのだ。 静かな部屋にトーイのちゅぶっ、ちゅるっと指を舐める音が響く。 それが非日常的であることを演出していた。 「っ……ふっ……」 ……声が、出ちゃう!? 「アリス?」 トーイが舐めるのを止めアリスの顔を覗きこむ、目があってしまったアリスは顔が赤くなってしまった。 「えっと……大丈夫?」 「……もっと」 アリス自身驚くような小さい声で、咄嗟にねだった。 「え?」 「……続けなさい」 ……体が熱いっ……もっと、もっと刺激がほしいっ。 アリスにはこういった刺激への耐性がなかった、今まで仕事一筋であったため恋人なんてものはなかったのだ。当然処女である。 「んっ……はぁっ」 ……だめっ、おかしくなりそうっ! と、そこでトーイはいきなり舐めることを止めた。 「なんっ……で止めるのよぅ」 はぁっはぁっと息を乱しているが刺激に飢えているアリスはそんなことどうでもいいことだった。 303 名前:トーイ×アリス4[sage] 投稿日:2009/04/24(金) 11:36:34 ID:HD/voyUO 「いや……この格好だとさ、見えちゃうんだけど。その……スカートの中が」 そうトーイに言われて、熱に浮かされていたアリスはハッとした。 ……下着をずっと見られてたのっ!? 「……見たの?」 「はい」 ……なんでも正直に答えないでよ…… 見られていた恥の感情と、禁忌を犯したような甘い感情が体を支配していく。 「それで、ですね……」 すっとトーイが足から脛、膝裏、ふとももへとソフトタッチで撫でていく。 そのトーイの突然の行為にアリスは驚き動けなかった。 ……やだ、少し気持ちいい。 「ひぁっ!?」 と、トーイの手がスカートの中に潜り込んだ。アリスは突然の刺激に普段あげないような悲鳴と共に体をびくりと硬直させる。 「どうしてここが濡れてるの?アリス?」 とトーイは耳元で優しく囁いた…… 308 名前:トーイ×アリス5[sage] 投稿日:2009/04/24(金) 23:52:53 ID:HD/voyUO 「や……あっ」 アリスは初めての快感に戸惑っていた。 トーイが下着の上から刺激を与える度に体がびくりと跳ねそうになる。 ……なになにっ!?なんなの!? 「結構敏感なんですね?」 トーイはアリスの耳元で囁く。吐息が耳に当たる度に声が漏れそうになっていた。 「……黙りなさ…ぁんっ」 くちゅり……と音がした、トーイの指先が下着の中に入ったのだ。 「っ!?ちょっとどこ触って」 アリスは慌てて離れようとする、しかしその動きはトーイの手によって封じられた。 「アリス、少しうるさいよ?」 とトーイは言うと唇を奪った。 「んむっ!?……ちゅぶるっ……んっ……」 トーイの舌がアリスの口内を蹂躙する。歯茎を舌先でちろちろと刺激し、唇をついばみ、舌を優しく吸った。 ……あ、だめ……。 アリスの体から力が抜け、トーイに身を任せる形になる。 やがて長いキスも終わるころには2人の口元はよだれでべたべたになっていた。 「ぷはっ……はぁっ……」 ……なんでこんなにキスがうまいのよ……初めてだったのに アリスの体はもう火がついていた、疼いて仕方ない。だがトーイは 「……さて、そろそろ時間ですね」 と立ち去ろうとしていた。 309 名前:トーイ×アリス6[sage] 投稿日:2009/04/24(金) 23:54:56 ID:HD/voyUO なにしろヴァギナに触れていてもキスの最中には刺激されてなかったのだ、おあずけをくらったとも言える。 「それでは、アリス。また明日」 トーイはすでにアリスに背を向けている。 「……待ちなさいよ」 −焦らされたアリスは、彼を呼び止めるしかなかった。 「なんでしょう?」 振り向いて見せる屈託のないトーイの笑顔。 ……この男はっ…… アリス自身、この言葉を口にするのは羞恥の極みだ。だが焦らされた体は正直になっている。 「もっと……いえ、私を満足……させなさい」 そうアリスが言うとトーイは 「……依頼にしても頼み方があるんじゃないかな?」 と笑顔で問いかけた。アリスは赤面し小さな声ながらも 「気持ち良く、させて……」 と呟く。 「自分でも気持ち良くなれますよ?あーでも爪が長いと危ないかも……」 ……自分でって……どうやるのよ。 そんなことを考えている間に再びトーイはスカートの中に手を入れ、今度は下着を下ろし脱がせる。 「はい、足を開いて……」 なすがままになっているアリスは、足を開いてはっとした。 「待って、誰か来たら見られちゃ」 う、と最後まで言わせずにトーイはキスをした。先ほどと同じように口内を蹂躙し、指先は緩急、強弱をつけながらヴァギナを刺激する。
53:トーイ×アリス 2009/12/13(日) 21:43:41 ID:kh1UIBdU 310 名前:トーイ×アリス7[sage] 投稿日:2009/04/24(金) 23:56:10 ID:HD/voyUO 「んんっ…はぁっ、んっむ…ぅぅっ!?」 ぴちゃぴちゃと水音が部屋に響く。 「ぷはっ…まっ…やぁぁっ!」 息をしようにも主導権はトーイに握られているため息を整える間もなくアリスは口を塞がれた。 「んっんっ…ちゅぶっんっっ」 アリスは無意識のうちに舌を突き出していた、それを感じたトーイは舌と舌を絡ませたあと、ゆっくりとキスを止める。 だが愛撫は止めていなかった。 「あっああっ…やぁっ」 「……アリス、声大きいと聞かれちゃうよ?」 トーイの言葉にアリスはんっと唇を噛み声を殺す。 「んんっ!んんんっ」 だがそんなアリスを見てトーイは耳元で 「必死で耐えてるアリスも可愛いね」 と囁き、アリスの噛み締めが甘くなった時を見計らってクリトリスを指先で軽くはさみ刺激した。 「んぁっ!あああああっ!」 アリスは一度腰が跳ねた後、ぐったりとした。 ……今のは…なに? 「アリス、イッたんだ?」 ……イッたってなに? アリスは質問しようにも息を荒げていて何もできなかった。 「でもさ、まだ指入れてないんだよね」 311 名前:トーイ×アリス8[sage] 投稿日:2009/04/24(金) 23:57:43 ID:HD/voyUO どこに、と聞く前に刺激がアリスを貫いた。再び腰が浮く。 くちゅくちゅと音がなる度にアリスに羞恥心が襲ってくる。しかしそれを上回る刺激が体を支配していた。 「やぁぁっ!まだっ!まだびんかっ……敏感なのぉっ」 その様子を見ているトーイはクスクスと笑っている。 「だめぇっ!ぁぁっ…はぁぁっん」 「なにがダメなんです?」 指を抜き差ししつつクリトリスを責める彼の技にすでにアリスは溺れていた。 「おかしいっ…おかっぁっぁっ…おかしくなっちゃぁぁっ!ゆるひっゆるひてぇっ」 「何を許せばいいんですか、おかしくなりたいんでしょう?」 クスクス笑いながらトーイはアリスの顔に近づき… 「もうイきたいんでしょう?目の前でイッて見せてください」 と囁き耳に息を吹きかけた、と同時に指の刺激も激しくする。 「はぁっはぁっゆるひてぇっ……ゆるひてぇぇぇっ!見られてなんてぇぇっ!やぁっ……ぃやあああああ!」 ぴんっと体が反り返り、アリスの意識は刈り取られた。
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