牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
49:カイル×ジュリア2009/12/13(日) 21:40:43 ID:kh1UIBdUAAS
269 名前:カイル×ジュリア(6/8)[sage] 投稿日:2009/03/23(月) 00:48:56 ID:X3OoDaLl
それでもジュリアは、ぽろぽろと涙をこぼしながら、首を横に振った。
「どうして…、もう、そんな、一人で苦しむ必要ありませんのよ。お願いですから、わたくしに助けを求めて…」
「ううっ…だ…だって…、だれかにいえるようなことじゃないもん、いったら、き…っ、きらわれるもん…っ」
泣きながらそう言うジュリアの手を、ロザリンドはもう一度、しっかりと握った。
「誰があなたを嫌いになんかなりますか!」
ロザリンドの声は震えていたが、ジュリアをしっかりと見据え、強く言った。
「ジュリアさんは、わたくしがどんなにあなたを好きかご存じないようですから、はっきりと言います。
わたくしは、どんな事があっても、ジュリアさんを嫌いになんてなりません。絶対です。いつだって、何があったって、わたくしは、ジュリアさんが大好きなんです。
ですから…、ですから、ジュリアさんが苦しんでいるのを見るのはとても辛いのよ…。苦しい時は、お願いだから相談して。友達なんだから」
そう言ってロザリンドは、ジュリアを抱き寄せた。
母親が子供にするように、優しくジュリアを包むように抱き締めた。
ロザリンドは、ジュリアよりちょっと背が低い。
それでもジュリアは、ロザリンドにすっかりもたれるようにして、泣いた。
二人の涙に濡れた頬が、触れ合った。


それから、ジュリアは、すべてをロザリンドに打ち明けた。





ロザリンドは、ジュリアをベッドに寝かせ、パンとスープを用意し、食べるように言うと、一階の掃除に取り掛かった。
お湯を抜いただけのお風呂も勝手は分からなかったものの、丁寧に掃除した。
女湯の脱衣所は、念入りに水拭きした。
血の付いたバスタオルも、さすがに直ぐには手を付ける気になれず後回しにしたが、綺麗なタオルにくるんで廃棄した。
ついでに近くに丸まっていたカイルの上着も捨てた。
しかし、カイルがそんなことをしたとは…。
日頃の彼からは想像できなかった。
そして同時にこのことは、ロザリンドが彼に抱いていたささやかな慕情が破れたことも意味していた。
しかし、今はそんなことはよかった。
第一、ジュリアを傷付けた事への怒りの方が、遥かに大きく、激しかった。


270 名前:カイル×ジュリア(7/8)[sage] 投稿日:2009/03/23(月) 00:50:51 ID:X3OoDaLl
もしこの場に奴がぬけぬけと謝りにでも現れようものなら、5、6発殴り付けた上で塩を撒いて追い払ってやっただろう。
本当なら、彼はジュリアを守ってやらなければいけなかったのに。
彼女の理解者になってあげなければならなかったのに。
彼になら、それが出来たはずだった。
それができる人間だと、自分なりに評価するくらいに、彼はいつも優しくて、何にだって馬鹿みたいに真面目だった。


ロザリンドは、紅茶を淹れて二階へ上がる。
ジュリアはしっかり言う事を聞いたようで、パンとスープは綺麗に片付いていた。
「少しは…、元気になりました?」
「うん…、ありがと」
相変わらずジュリアは見るからに弱っていたが、それでも笑顔を返した。
彼女のいじらしさに、ロザリンドはまた泣きそうになる。
しかし、もう十分泣いた。
泣くのはもういい。
そう思って、これ以上取り乱すことはしなかった。
「痛みは?まだ治まりませんか?」
「うん…、ちょっとだけ。でも、よこになってればへいきよ」
「そう…、それで、一番大切なことですけど…」
この質問は、ジュリアもさすがに重くて、少しうつむいた。
「まだどちらとも言えないと思いますわ。毎月の体調はどうですの?」
「…わからないの。くるときもはっきりしないから。もうずっときてないし…」
スタイル維持のためといって、無茶な生活のし過ぎで体調を保てていないのではないのか。
そうだとすれば呆れる。
しかしそれは、妊娠の可能性について、希望的に見てもいいということだろうか。
恐らく彼女の身体にそんな余裕は無い。
勿論それも推測で、自信を持って言えはしない。
まあ、そのあたりの知識量は二人とも似たり寄ったりだろう。
「はっきりとは言えませんけど、このままならきっと…大丈夫。ジュリアさんがストレスで倒れてしまう方がよっぽど有り得ますわ」
「…ねえ、もし、このまま…」
「?」
ジュリアは何か言おうとしたが、途中で思いとどまった。
「…ううん」
「何ですの?」
「ごめん、なんでもないの」
本当は、もしこのまま何日か何も食べずにいたら、そうして体をもっと弱らせたら、妊娠することは無いんじゃないか、と言おうとした。
でも、それをロザリンドに言うことはできなかった。
ジュリアはちょっとくらい食べないのなんて我慢できると思った。

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