牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
15:蕪は無慈悲な畑の女王2009/12/11(金) 13:14:30 ID:LfAy+aOs [sage] AAS
69 名前:蕪は無慈悲な畑の女王[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 16:36:46 ID:jPZN87y6

「ラグナさん、今日のお夕飯、何か食べたいものあります?」
「いやぁ、今はあんまり食欲がないんですよ」
「それはいけません、食欲がないからって食べないでいるとどんどん悪くなる一方ですから。
栄養はきちんと取ったほうがいいですよ」
「ごもっともです。でも食事の前にもっともっと大事なことがあると思うんです」

そう言うとミストさんはきょとんとした顔で、

「そうなんですか。ごめんなさい、あたしったら気が回らなくて。でも、大事なことって何でしょう?」
「まあ、言いたい事はいろいろありますけど、とりあえずこのロープほどいてくれませんか?」
「ああ、それはダメですよぉ。ラグナさんにはもうしばらくの間そのままでいてもらわないといけませんから」
「ですよねー」

窓にはカーテンがかかっていて外の様子はよく分からないけど、もう日が落ちてからだいぶ経っているのだろう。
あまり自由にならない体で辺りを見回してみる。
何度か来たことがあるので間違いない。ここはミストさんの家だ。
……こんな形で訪れる羽目になろうとは夢にも思わなかったけど。
自分がいるのはおそらくベッドの上か。ほのかに甘い香りがするのはやっぱり女の子だからだろう。
……両手両足を縛られていなきゃ格好のシチュエーションだったろうに。
改めて自分のおかれた状況を整理してみる。
……改めて考えるでもなく、まごうことなき拉致監禁であった。


70 名前:蕪は無慈悲な畑の女王[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 16:37:46 ID:jPZN87y6

「えーっと、ミストさん、聞きたいことがあるんですがいいでしょうか」
「やだなぁ、あたしとラグナさんの仲じゃないですか。遠慮なんてしなくてもいいんですよ」

拉致監禁されるとか、どんな仲ですか。

「まずですね、どういった訳で僕はこんな目にあってるんでしょう」

するとミストさんはほのかに頬を赤らめ、

「えぇ、言わなきゃいけないんですか? それはちょっと恥ずかしいですね……」
「いやいやいや、人を掻っ攫っといて今さら恥も外聞もないでしょう!」

いやもうホントに、何でこんな目にあうのか皆目見当もつかないんで、せめて理由だけは教えてほしいんですが。

「そうですね。そこまで言うなら」

そう言うとミストさんは目を閉じ、かすかに深呼吸をし、ゆっくりと口を開いた

「ラグナさん、好きです。愛しています」

……告白された。こんなところで、こんな状況で。しかも答えになってないし。

「お分かりいただけましたか?」
「はっはっは、もうなにがなにやら」

あれー、おかしいですねー、見たいな表情で首をかしげるミストさん。
おかしいのはあなたです。別に愛の告白くらい誘拐せんでも出来るじゃないですか。

「あ、そうだ、ラグナさんはこの街に来て日が浅いので知らないのかもしれませんが、
カルディアでは好きな人が出来たら攫って自分のものにしてもいいっていう風習があるんですよ」
「嘘ですよね」
「はい、嘘です」

ここに来て一年くらいたつけどそんな話聞いたこともなかったです。てか何でそんなすぐばれるような嘘つくんですか。

「ん、別に全部嘘ってわけじゃないです。ラグナさんのことが好きなのは本当ですよ」
「だったら尚更です。こんなことしといて告白が成功するわけないじゃないですか」
「え、そんなことないですよ。成功させるためにわざわざラグナさんを誘拐したんですから」

うわぁ……。
前々からどっかずれた人だとは思っていたけどまさかここまでとは。

「あのー、つかぬ事をお伺いしますが」
「はい、何でしょう?」
「もし断ったりしたら、どうなっちゃうのかなー、なんて……」
「決まってるじゃないですか。首を縦に振るまでそのままですよぉ」

まぁ、そんなことだろうとは思ったけどさ。
1-AA
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