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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
16:蕪は無慈悲な畑の女王 2009/12/11(金) 13:15:16 ID:LfAy+aOs [sage] 71 名前:蕪は無慈悲な畑の女王[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 16:38:39 ID:jPZN87y6 「ちなみに」 「はい?」 「ずっと首を縦に振らなかったら?」 「ずっとそのままです」 「死ぬまで?」 「はい、死ぬまでです」 「……」 「あ、もし死んじゃった場合はあたしもすぐ後を追いますから。 安心してください、ラグナさんを一人ぼっちにさせるようなことはしませんから」 なんて重い想い! いや、そんなこと言ってる場合じゃなくて。 「いや、でも真面目な話、ずっとこのままってわけにもいかないと思いますよ 言っちゃ何ですが体も汚れますし、トイレの問題もありますからね。人間一人を世話するって思ってるより大変ですよ」 「ふふ、こんな状況でもあたしのことを心配してくれるなんて、やっぱりラグナさんは優しい人です。 でも大丈夫。体は毎日きれいに拭いてあげます。排泄物だってきちんと世話してあげますから。 なんてったって愛する人のためですから。どんなことでもしてさしあげますよ」 やー、別に心配してるわけじゃないんですけどねー。 出来ればさっさと諦めてほしいなーとか思ってるんですけど。 「やっぱり僕なんかじゃミストさんとは釣り合いませんよ。もっといい人がいますって。 例えばザッハなんでどうです? ミストさんにぞっこんみたいですけど」 「もう、どんな時でも謙虚なんですね。でもあたしが好きなのは世界でただ一人、 ラグナさんだけなんですから。そういったお気遣いは無用ですよ」 ああ、なんという逆効果。 ていうかザッハはスルーですか。もうちょっと反応見せてくれてもいいんじゃないですか。 奴も浮かばれませんよ。 「まあ、そうは言ってもいつまでも監禁しておくわけにはいかないでしょうから」 「え?」 早くも方針転換? 「ラグナさんはとても責任感の強い人です」 「はあ」 そんな風に思われてたんですか、別に普通だと思ってますが。 「ですから」 「はい」 「既成事実さえ作ってしまえばきっとラグナさんはあたしのこと受け入れてくださるんです。きっとそうなんです」 「はい、って……ええええええ!」 そういうが早いかミストさんは着ている服に手をかけた。 スカートがすとん、と床に落ちる。 72 名前:蕪は無慈悲な畑の女王[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 16:39:20 ID:jPZN87y6 「不束者ですが、よろしくお願いしますね、ラグナさん」 そういいながらにじり寄ってくるミストさん。まさかこんなところで貞操の危機を迎えることになろうとは、 いいや、もう、どうにでもなっちゃえー、とか思ってると、不意に、 「ミストー、いるんでしょー? ちょっといいかしらー」 ドンドン、と扉をたたく音とともになにやら声が聞こえてきた。 あれは……ロゼッタ?なんでまたこんな時に。 「むぅ、せっかくのいい雰囲気が台無しになっちゃいました。ちょっと待っててくださいね」 この状況をいい雰囲気といいますか。 一度いい雰囲気の定義についてとことんまで話し合う必要があるんじゃなかろうか。 ミストさんは脱ぎかけた服を再度着なおすと、こちらに向かって毛布をばっさりとかけてきた。 「お願いですからほんのちょっとの間、静かにしててくださいね。 もし大声を出したりなんかしたらどうなっちゃうか分かんないですから」 「はは、もうとっくに諦めはついてますよ。僕なんか今更どうなったっていいです」 「ロゼッタさんが、ですよ」 「……」 怖えー、ミストさん、超怖いです。 さすがにロゼッタまで巻き込むのは忍びないので、大人しくしていようか。 頭から毛布をかぶせられているせいで、周囲の状況がよく分からないが、どうやら玄関先でロゼッタを迎えているようだ。 この分なら中まで入ってくることはないだろう。 残念と思う気持ちと、安堵した思いがない交ぜになって微妙な気持ちになる。 毛布の中でじっと息を殺していると、二人の会話が耳に入ってくる。 「あらロゼッタさん。こんな時間にどうしたの?」 「うん、急に悪いわね。ところでさ、ラグナがどこにいるか知らない?」 一瞬、間があってから 「いえ、知らないわ」 「そう、おっかしいわねー。どこほっつき歩いているのかしら」 「ラグナさんがどうかしたの?」 「ん、まーね。野菜の在庫が無くなっちゃったからラグナに今日中に出荷するよう頼んどいたのよ。 なのにいつまでたっても来やしないし。約束破るようなヤツじゃないのは分かってるんだけどね、 ちょっと文句の一つ位は言ってやろうかと思って探してたらどこにもいないし。さすがに心配になってきたのよ」 まあ、モンスターにやられるようなことはないと信じたいんだけどねー、とつぶやく声が耳に入る。 ロゼッタ、惜しい! 相手はモンスターじゃない、もっと恐ろしい何かだ。 「ラグナさんならきっと大丈夫よ。しばらくしたら戻ってくるんじゃないかしら」 「え、あんたラグナがどこ行ったか知ってるの?」 「……ううん、なんとなく、そんな気がしただけ」 「ふーん? ま、いいわ。もしラグナを見つけたらお店のほうに顔出すように言っといてよ」 「ええ、分かったわ」 「じゃ、お願いするわ。ごめんね、こんな時間に来て」 「気にしないで、ロゼッタさんこそ、帰り道、気をつけてね」 「あは、あんたに言われなくても分かってるって、それじゃねー」
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