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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
21:グレポプ1 2009/12/11(金) 13:20:04 ID:LfAy+aOs 108 名前:グレポプ1[sage] 投稿日:2009/01/25(日) 15:53:33 ID:4s/uct6m その日は牧場の店舗が休みだったこともあり、グリーン牧場の面々は常よりいくらか早く仕事を終えていた。 「あれ、兄さん。どっか行くの?」 何も言わずに(元々寡黙な質ではあるが)ふらりと家を出ようとするグレイに、ランが声を掛ける。 グレイは少しだけ立ち止まり、背を向けたまま一言、 「……散歩だ」 それだけ残して扉を閉めた。 「…最近、よく出掛けるようになったよね、兄さん」 以前は仕事を終えた後でも、暇さえあれば馬と戯れ、牛と会話し、羊の様子を窺っていた彼だが、このところ頻繁に外へ足を向けるようになった。 それも妹のランや、父であるダッドにも行き先を告げないままである。 「なーんか怪しいんだよなぁー…」 「まあそう気にしてやるなラン、グレイもそういう年頃ってこった」 「ん?」 よく分かっていない娘の頭に大きな手を乗せ、ダッドはニヤニヤ笑いながら、今度あいつとサシで酒でも飲むか、と感慨深げに呟いた。 109 名前:グレポプ2[sage] 投稿日:2009/01/25(日) 15:55:15 ID:4s/uct6m 牧場を出て、坂をまっすぐ。うららかな午後の道を、グレイは黙々と歩く。その先には月山があった。 この季節には山のあちこちにムーンドロップの花が咲き、甘い香りを振りまいている。グレイの目的はまさにその花だった。 ちょうど綺麗に開いた花を見つけると、グレイは手を伸ばして一輪手折る。 そっと匂いを嗅ぐと、伏せた瞼に無垢な少女の笑顔がよぎった。 いつ頃からかは分からない。 口下手で無愛想な自分に、物怖じもせずふわふわと笑い掛けてくる彼女。 子供のように純粋なその姿に、気付けばひどく惹かれていた。 グレイの手にした花は、彼女への贈り物だった。 我ながら全く柄にもない、こんな姿を友人家族が見たらどう言うか。 それでも彼女の喜ぶ顔を思うだけで、その仏頂面には微かな笑みが浮かぶのだった。 そろそろ誰かに会う前に、彼女の家に急がなくては。グレイが花束片手に下山しようとした、その時だった。 「きゃーーー!!」 高い悲鳴が耳に届く。それほど離れていないようだ。いやそれより、自分の耳がおかしくなければ、今のは。 意識より先に、グレイは声のした方へと駆け出していた。
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