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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
23:グレポプ2009/12/11(金) 13:21:00 ID:LfAy+aOsAAS
112 名前:グレポプ5[sage] 投稿日:2009/01/25(日) 16:00:20 ID:4s/uct6m
「痛ったたたた!痛い痛ーいっ!!」
「我慢しろ」
脚をばたつかせて叫ぶポプリを少し気の毒には思うものの、どうにも仕方がない。
できる限り優しく、グレイは傷口の血と泥を拭ってやった。
「う…っ、ん」
律儀に我慢しているらしく、ポプリは口元に手をやって声を抑え始めた。
強く閉じた目尻には新しい涙が浮かんでいる。
「ん、うぅっ…!ふ…っ」
そんなにしみるのか、傷口に触れるたび、ポプリの肩が小さく跳ねた。
塞がれた唇の隙間から、堪え切れない声が漏れる。
「んあっ…、ふ、うっ、やぁ…」
「…………。」
「痛…ぁ、だめっ、グレイ…もっと、ゆっくり…!」
グレイの手が止まる。
不思議に思ったポプリが目を開けると、グレイはすっかりそっぽを向いて、自分の顔を空いた手で覆っていた。
覗く耳やら首やら手の甲まで、見えるところが全てトマトのように赤い。
「ど、どうしたの?」
「………い、や…後は、帰ってやれ」
何やら酷くぎこちない動きで、顔もほとんど背けたままタオルを膝に巻きつける。
グレイの不自然な様子に、ポプリは怪我も忘れて首を傾げた。
113 名前:グレポプ6[sage] 投稿日:2009/01/25(日) 16:02:05 ID:4s/uct6m
「…歩けるか?」
「え、えっと」
地面に手を突いて立ち上がったが、膝の曲げ伸ばしに伴って傷口がずきずき痛む。
「い、痛い……」
「……。」
軽い溜め息の後、グレイはポプリに背中を向けてしゃがみ直した。
「乗れ」
「え、」
「おぶってやる」
「いい、の?」
「…早くしろ」
「う、うん」
ポプリは遠慮がちにグレイの背中に乗っかった。首に手を回してしっかり捕まる。
グレイは少し躊躇した後、恐る恐ると言わんばかりにポプリの太股を持ち上げた。
「…や、やっぱり重い?」
「いや…平気だ」
「あの、その、最近ケーキ食べ過ぎちゃったから」
「……気にするな、むしろ軽い」
さすがに尻に手をやるのは憚られたが、直に肌を触ってしまうことを考えればむしろ逆の方が良かったか、
などという葛藤を知る由もないポプリは、グレイの微妙な間を勘違いしたのか言い訳ばかりを口にした。
(もっとも、聞かされている本人の頭にはろくに届いていなかったのだが)
「…帰ったら、ちゃんと消毒して、絆創膏でも貼れ」
「はぁい」
まるでお兄さんみたいだなぁなどと笑みを零したポプリには、背中に意中の女性を乗せた青年の、悶々とした胸中など当然ながら伝わることはなく、
後ほど見舞いと称して届いた黄色い花束の中にあった一輪の赤い花にも、無邪気に喜ぶだけだった。
青年の努力の甲斐あり、彼女が教会でドレスを着る、一年ほど前の話。
終わり。
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