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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
93:ラグナ×タバサ2009/12/20(日) 13:45:55 ID:+wKP3/Ms [sage] AAS
474 名前:ラグタバ ◆uaXXkWe4dU [sage] 投稿日:2009/07/03(金) 23:49:33 ID:Xdn3Lsz7
鳥つけました。では投下します。
長いので、今日と明日の二回に分ける予定です。
475 名前:ラグタバ ◆uaXXkWe4dU [sage] 投稿日:2009/07/03(金) 23:52:07 ID:Xdn3Lsz7
(1)
僕がカルディアの町に住み着いてから二年経った。
思えば実に色んなことがあった。記憶は相変わらず戻らないが、戻らなくてもいいと僕は思い始めていた。
ある祝日、僕は、カジミール遺跡前のいつもの場所に向かった。
そこには、いつもどおりタバサさんが待っていた。
「ラグナ様…おはようございます」
「おはようございます。今日もいい天気ですね」
僕たちは挨拶を交わすと、並んで近くの岩に腰掛けた。水面を通る風が心地よい。
この二年の間で、僕たちの距離は随分と縮まっていた。
僕は、タバサさんを、ひとりの女性として意識している。
自惚れとは思うけど、多分、彼女も同じ気持ちかもしれない…。でも、確信はない。はっきりと彼女の気持ちを聞いていないからだ。
昨日、酒場でノイマンさんと酒を酌み交わしたとき、ノイマンさんから「お前はいつ結婚するんだ?」と訊かれた。
サラさんと再び夫婦になったノイマンさんは、「お前は俺たちのキューピッドだからな」と毎週僕を誘って酒を奢ってくれるのだ。
僕が断っても強引に勧めるのだから、最近は酒にも馴れてすっかり習慣に組み込まれてしまった。
この町に来る前の記憶がないから、僕は本当に酒が呑める歳なのか判らないが、ノイマンさんはもう僕は十分に大人だといってくれた。だから、こうして一緒に呑んでいる。
「け、結婚って…誰と」と僕は訊き返した。
「この野郎、カマトトぶりやがって…。タバサとだよ」とノイマンさんは肘で僕の脇腹を小突く。
カウンターでカクテルを作っていたセバスチャンさんも、「町の中ではまだか、まだか、と噂になっていますよ」と相槌を打ってきた。
僕は気恥ずかしかった。確かに僕とタバサさんは毎日のように会っているし、二人きりで出かけたことも数え切れないほどある。
お月見も、感謝祭も、聖夜祭も、二人で過ごした。傍から見れば僕たちはほとんど恋人同士なのだろう。
…でも、僕は、まだ、彼女に気持ちを伝えていない。
「真面目な話、あんまり女を待たせんなよ…」と、ノイマンさんは酒臭い息を吐きながら僕の首に太い腕を回してきた。妙に含蓄深い。
「でも…僕はまだ気持ちを伝えていません」
言った途端、ノイマンさんとセバスチャンさんは顔を見合わせた。
「ラグナ…お前…何やってんだ」
「まだ気持ちを伝えていなかったのですか」
「だって…もし断られたら…」
「馬鹿野郎。どう見ても相思相愛だぜお前ら」。
セバスチャンさんも、「そうですよ」とうなずく。
「ラグナ、簡単なことじゃないか。俺と結婚してくれ、と一言言えばいいだけだ」と背中を思いっきり叩いて発破をかけてくれた。
セバスチャンさんは、自分の気持ちを正直に打ち明ければうまくいきますよ、とアドバイスしてくれた。
セバスチャンさんは独身なのに、仕事柄かこの街の誰よりも女性の扱いに馴れているように見える。
…そんな話をしたものだから、今日の僕はタバサさんの顔を見るのがすごく恥ずかしい。
本当に彼女は僕を待っているのだろうか…。
…もし伝えるなら、勇気を出さなければ…。
横に目をやると、タバサさんの小さな手が僕の手のすぐそばにあった。
よし…少し強引に…と僕がその手をつかもうとしたとき、タバサさんが話しかけてきた。
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