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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
83:二人で店番 2009/12/13(日) 21:57:25 ID:kh1UIBdU 417 名前:二人で店番[sage] 投稿日:2009/05/20(水) 23:27:03 ID:PsD2U2vH 一応僕らは恋人同士であった。 だから実を言えばこの仕事の依頼は願ったり叶ったりだった。 二人っきりで店の中で働く。なんとも喜ばしい状況ではないか。 でも実際は手足のようにこき使われているのだから、プラスとマイナスでイーブンかも。 そのちょっとした期待が肩透かしにあったのも疲労の原因であることは間違いなかった。 「期待持ちすぎたかなぁ……」 「何? なんか言った?」 「な、なんでもないですよ。ははは……」 「なによ、変なラグナ……あ」 ロゼッタさんがちらりとこちらをにらんだとき、机の端っこにあった消しゴムがコロッと下に落ちた。 ロゼッタさんはそれを拾おうと首を曲げて下を見渡すが、見つからないだろう。消しゴムはちょうど彼女の座る丸椅子の真下におちていたのだ。 「あぁ、僕が拾いますよ」 「ありがと、悪いわね」 姿勢をもどしてカウンターに戻るロゼッタさん。僕はしゃがんで椅子の下に手を伸ばした。 その時。 「こんにちはー」 「あらミスト。いらっしゃい珍しいわね」 店のドアが開いた音が聞こえたかと思うと、頭の上からそんな話が聞こえた。 まずい。 あせった僕はとっさにカウンターの下に身をもぐりこみ、ひざを抱えて隠れた。 気づかれては、ならない。 カウンターの下から出ないままでいると、ロゼッタさんが眉をひそめて下を覗き込んできた。 「ちょっとなにして……」 (しーっ、しーっ) 口元に人差し指をあて、僕の存在をごまかすように要請する。 ますます怪訝な顔をするロゼッタさんは一応は願いを聞き届けてくれたようで、その後は何も言わず姿勢を戻した。 「? どうかしましたかロゼッタさん」 「さぁね。私にもよくわからないわ」 やれやれ、といった口調でロゼッタさんはそういった。ミストさんもそれ以上は何も追及してこないようだしひとまず安心した。 なぜ僕がミストさんから隠れなければいけないのか。それは至極単純な話で。育てたカブを送る約束を忘れ季節が過ぎ、全て枯れてしまったことが原因だ。 収穫はモンスター任せだったから蓄えもなく、うちに今カブは一欠けらもないのだ。 しかもなんとなくことの次第を言いあぐねているうちに時間はすぎていってしまった。 それも気まずさに一役買っていて、この前遠くから見たときはいつもの笑顔の中に何かを含めているかのような恐ろしげな雰囲気をかもし出していた。 とにかくこちらの覚悟が決まらないうちは顔を合わせたくないのが本音だった。 こんなに思い悩んでいる机の下の僕とは反対に机の上の彼女らはのんきな世間話を続けていた。 「最近暑いですねぇ。池のアヒルさんたちもばててしまってますよ」 「うちは毎日西日がきつくて困っているわ」 そんな話を聞いてると、目の前でもぞもぞと何かが動いた。 気になり、目を凝らしてみるとそこには白い布があった。そこから二本の太い大根が生えていて――て。 (!?)
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