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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
94:ラグナ×タバサ 2009/12/20(日) 14:07:07 ID:+wKP3/Ms 476 名前:ラグタバ ◆uaXXkWe4dU [sage] 投稿日:2009/07/03(金) 23:53:53 ID:Xdn3Lsz7 (2) 「実は私…、ラグナ様だけにお話したいことがあるのです」 僕は手を引っ込めて、タバサさんに先を促した。タバサさんは立ち上がって、僕に背を向けながら話し始めた。 「私がエルフだということは前にもお話ししましたが、私はあるエルフの国の王女です」 「…王女?」 僕は驚きを覚えた。そういえば以前から思っていたが、彼女の振舞いには、一朝一夕では身に付けられないような高貴な雰囲気があった。 王女だというのならそれも納得できる。 「はい。私が人間界に来たのは…」 タバサさんはそこで言葉を切り、やや深呼吸してから言った。 「結婚相手を探すためなのです」 結婚…何というタイミングだろう。昨日の酒場での話が僕の脳内を駆け巡った。僕は、口の中が急速に乾いていくのを感じた。 「………」 「私の結婚相手の条件は、人間と…私たち異種族の絆を紡ぐ者。架け橋になれる者」 タバサさんは振り返ると、僕の前まで歩いてきて、顔を赤らめながら続けた。 「ラグナ様、貴方はたくさんのモンスターを可愛がり、全ての生命を慈しんでいらっしゃいます」 「え…僕…?」 「はい。貴方こそが、私が探し求めていた結婚相手なのです。…私と結婚してください」 ノイマンさんは言った。女かプロポーズされるのは恥ずかしいことだ、と。 でも、今、タバサさんは、僕の返事を待っている。僕の気持ちを伝えるのは、今この瞬間しかない。 「ラグナ様」「タバサさん」 僕たちは同時に名前を呼んだ。視線が合った僕たちは、魅入られたかのようにお互いの顔から離れられなかった。 僕はタバサさんの手を取った。タバサさんはちょっと驚いたようだったが、手を振りほどこうとしない。 「タバサさん、僕は貴女が好きです」 「ラ…ラグナ様…」 タバサさんの碧い瞳が見開かれる。同時に彼女の頬も紅く染まっていく。タバサさんも僕と同じだったのだと悟った。 僕はタバサさんを引き寄せて抱きしめようとしたが、彼女は僕の胸に手を当てて、抱擁を拒む仕草をした。 「待ってください…。この先に進んでしまわれたら、私たちはもう後戻りできません」 彼女は、いつになく真剣な表情をしていた。 「ラグナ様にはいずれ、私のふるさとの森に来ていただくことになるでしょう」 バサさんは少し暗い眼をして続けた。 「残念ですが、私たちエルフの中には、人間を快く思わない方もいます。 貴方は、人間というだけの理由でその方たちから言われようのない差別、蔑視を受けることもあるかもしれません」 「………」 「ラグナ様…貴方は、それでもよいのでしょうか?私と一緒に歩いていく覚悟がおありでしょうか?」 差別?蔑視? …それが一体なんだというのだろう。 彼女は、人間と異種族の架け橋になるために、慣れない人間界で今まで頑張ってきたのだ。 それまでにはいろんな苦労もあったろう。 僕は、エルフだとかそんなのは関係なく、ただ、タバサさんという女性に惹かれた。僕も彼女のように、異種族間を紡ぐ架け橋になりたいと願った。 なら、そのための苦労など既に織り込み済みだし、何より瑣末なことだ。 「構いません。たとえどんな困難がこの先に待っていようと、僕は、貴女と一緒に歩いていくという道を選んだのですから」 僕は強い決意をこめて、言った。 「ラグナ様…貴方は私の想像以上の方でした。貴方となら私も共に歩んでいけます」 「僕たちが架け橋になりましょう」 「はい…!ラグナ様、ずっとお慕い申しておりました…」 タバサさんは今までの中で最高の笑顔を浮かべて言った。 「ラグナ様…愛しています」
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