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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
68:トーイ×ディア 2009/12/13(日) 21:50:15 ID:kh1UIBdU 360 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/04/30(木) 14:39:00 ID:YEasRRUS 昨日の夕方のつもりがいろいろ立て込んでいてできませんでした、これからトーイ×ディア投下します あといつの間に俺の名前『ほのぼのレイプ』になったのw 361 名前:トーイ×ディア1[sage] 投稿日:2009/04/30(木) 14:40:06 ID:YEasRRUS 「……そうかい、変なことに巻き込まれるのもお爺さんそっくりだねえ……」 とマーサは笑いながら遠い目をした。 「ええ……それで」 「わかっていますよ、ただディアさまも初めてだから……」 「はい、優しくするつもりです」 それを聞くとマーサは頷き 「それなら任せられるわね、じゃあジーナと外出するわ。ディアさまをよろしく頼むわね?」 とマーサは軽く頭を下げたあとジーナを呼び、別荘をあとにした。 残されたトーイはにやりと笑みを浮かべて二階への階段を歩き始めた…… 362 名前:トーイ×ディア2[sage] 投稿日:2009/04/30(木) 14:41:16 ID:YEasRRUS 扉を開けるとベッドに腰かけていたディアは立ち上がり 「トーイさん……どうしました?」 とたずねる。実は一度トーイは昼間に別荘を訪れていた。 「……トーイさん?」 無言のままのトーイを見てディアは疑問を覚えた。 彼が家に来てくれることは彼女にとって嬉しく感じるものだ、だが今回は様子がおかしいのだ。 思わずあとずさりするとトーイはディアの両手を掴み彼女をベッドに押し倒した。 「トーイさんっ!?いったい何をっ!?」 暴れて抵抗するもトーイの力は強くディアの腕力ではどうにもならなかった。 「ばあやっ!ジーナ!助けっ」 「いいんですか?こんなところを見られても……」 とトーイは耳元で囁くとびくりとディアは硬直する。 「……さっきまでディアは何をしていたのかな?」 と問いかけるとディアは顔を赤くしてうつむいた。 「……気づいて……らしたのですか?」 ディアはきゅっと足を閉じる。 「この部屋……換気してないでしょ?オナニーしたあとは換気しないと匂いでバレますよ」 オナニー、と単語を出した時にディアは真っ赤になった。 「お、お願いします、ジーナには、ジーナには言わないで」 「…なんでもしますか?」 ディアはこくりと頷いた
69:トーイ×ディア 2009/12/13(日) 21:50:36 ID:kh1UIBdU 363 名前:トーイ×ディア3[sage] 投稿日:2009/04/30(木) 14:42:23 ID:YEasRRUS 「全裸になってください」 「……え?」 ディアは考えてもいなかった答えに驚く。 「それとも……脱がされたいですか?」 「い、いえ……その……」 ぷち、ぷち、と彼女の服のボタンを外していく。ディアはその手を払いのけた。 「じ、自分でやりますっ!」 と言って立ち上がり赤面しながら服を脱ぐ。 「……乱暴する方には見えませんでした……」 ぐすっと泣きそうになりながらディアは下着に手をかける。 「本には書いてありませんでしたか?男は狼だって」 トーイはそう問うと 「書いては……ありました、けれどっ」 涙目になったディアをトーイは後ろから抱きしめ耳を噛む、ひっとディアは小さな悲鳴をあげた。 「ま、まさか……」 「そのまさか、ですね」 と囁き首筋に口づけし、思い切り吸う。 「んぁっ!?」 音が鳴るまで吸われた肌は赤くなって痕になる。 「ディアは外出ないから肌が白いですね、キスマークもくっきり見えますよ」 「キ、キスマーク!?そんな、ジーナに見つかったら何て言われるか……んっ!」 「キスマークくらいで慌てないでくださいよ」 トーイは耳元で囁きながら乳首を責める、ディアの体は全体的に色が薄いが今は羞恥の朱に染まっている。 364 名前:トーイ×ディア4[sage] 投稿日:2009/04/30(木) 14:43:17 ID:YEasRRUS 「ぃやっ……ぁっ……」 ディアは責められ抵抗を弱くした。 「オナニーしていたからまだ敏感なんですか?」 びくっとディアは目をつぶる。それを見てトーイはさらに指先で乳首を震わせ責めていく。 「ふぁ……ぁ、ぁっ……」 「誰のことを想ってしてたんですか?」 乳首を責めながら指をディアの口元に持っていく、ディアはその指を口でくわえた。 「はむ…んっ」 ディアの涎まみれになった指を再び彼女の乳首へ持っていき、秘所へと持っていく。 「あっ!?だめっ」 ディアは慌ててそれを防ごうとしたが、乳首を責められ脱力しかけていた彼女に防げるわけもなくトーイの指先は秘所に到達する。 少し動かしただけでくちゅり、と粘り気のある音を出した。 「っっっっっっ!」 羞恥に耐えるようにディアは声を出すまいとする 「オナニーしていただけあって……もうほぐれてますね」 そんなディアをトーイはゆっくり、ねぶるように言葉で責め、耳に息を吹きかける。 「くぅっっ……」 クリトリスに触れそうになるたびに彼女の体は震え、硬直した。 「そういちいち反応されると……いじめたくなるんですよ」 とトーイは囁き耳に舌を入れ、乳首を引っ張り、クリトリスを摘んだ
70:トーイ×ディア 2009/12/13(日) 21:50:58 ID:kh1UIBdU 365 名前:トーイ×ディア5[sage] 投稿日:2009/04/30(木) 14:44:16 ID:YEasRRUS 「ひっっ!はぁぁぁっっっ」 けして大きな声ではなく、それでいて脳髄に甘く響きわたるような喘ぎ声をディアはあげた。 秘所に入れた指はきゅうきゅうと締めつけている。 愛液まみれになった指をディアの顔にこすりつけ、舐めさせ 「ほら、こんなになっていましたよ?」 と聞くとディアは指をしゃぶったままこくりと頷いた。その指をトーイは抜き、自分も舐める 「いやらしい女の子なんですね、ディアは……いつも誰を想ってオナニーしていたんですか」 そう言ってトーイはディアの乳首をぴんと指ではじく。 「んっ…それは……言えません」 ふふっとトーイは微笑み、激しく秘所へ指を抜き差しする。 膣内に入れた指は先を少し曲げ敏感なポイントをつつくようにこすった。 「あっっ!なっ!…いきなっ……りっ!?」 思いもしなかった行動にディアはトーイのなすがままになる。 「っあっ!だめっ!だめだめっ!おねがっ…やぁっっ!」 再び絶頂にのぼりつめるディア、だが彼女はイくことができなかった。 トーイが刺激をぴたりと止めたのだ。 「…え?なん…で…」 「誰を想ってオナニーしていたのか教えてくれないと……このままイかせません」 とトーイは囁いた。 366 名前:トーイ×ディア6[sage] 投稿日:2009/04/30(木) 14:45:34 ID:YEasRRUS ややディアは迷ったのち、小さな小さな声で降参する。 「ぁなた……です」 「え?」 「だから……トーイさんを想って……していました。あなたが帰ったあとはいつもいつも胸が苦しくなって自分を慰めてましたっ」 とディアは言って顔を赤くしながら黙りこむ、よほど恥ずかしかったらしい。 「じゃあそんな僕にレイプされても良かったんですか?」 と囁くと 「……一つだけ、お願いがあります」 と言ってディアは振り返りトーイを見つめたあと 「キスを……してください」 とねだった。トーイは笑顔で了承しキスをする。トーイが舌を舐めたところでディアは舌をひっこめずに、トーイに納得いくまで舐めさせた。 「はぁっ、はぁっ……トーイさんの唾液……甘いんですね」 ディアの目はとろけていた。そんなディアにトーイは布で目隠しをする。 「なにを……するんですか?」 もはやトーイが自分に何をしようと恐れなくなっていた、むしろ楽しみにしているようにも見える。 ディアにトーイは口づけした。 367 名前:トーイ×ディア7[sage] 投稿日:2009/04/30(木) 14:46:34 ID:YEasRRUS ディアを目隠しさせたままトーイは移動させ、後ろから胸を揉みつつペニスを押し当てた。 「はうっ!」 入り口にペニスが入っただけでディアは悶える、だがトーイは貫かずに軽くつついて振動をあたえ刺激をあたえた。 「ふぁっ、はっ、はっ、ぁぁっ」 振動させるたびにディアはびくりと体を震わせた。 「そろそろ処女……いただきますよ?」 トーイが耳元で囁くと 「はぃ……」 と頷いた。それを聞いてトーイはぐぐぐっと腰を進めていく。 痛みにディアの体は逃げ腰になるが、トーイは体を固定させ一気に貫いた。 「っっっっ!痛っっっっ!!」 痛みでつらいのかディアは手近なものを握りしめる。 「っっっぁあ!」 そんなディアを見てトーイは奥に当たるように膣内に入れたままぐいぐいと腰を押し付ける。 「トーイっ……さん!まだっ…痛いのっ……っ!」 だがその懇願を無視してトーイはピストン運動を開始する。 「お、お願っ……いっ…ぁっ!ぁっ!ゆっ……くりしてえっ!」 しかし聞き届けるわけもなくトーイの一突き一突きは強くなっていく。 「んあっ!おっ、お願いっ!ですっ!許してっ!許してえっ!」 トーイは後ろから責めながらクリトリスを刺激する
71:トーイ×ディア 2009/12/13(日) 21:51:21 ID:kh1UIBdU 368 名前:トーイ×ディア8[sage] 投稿日:2009/04/30(木) 14:47:46 ID:YEasRRUS 「ひっっっ!」 びくりとディアは体を震わせ、脱力した。 「許してぇ……くださいぃ……」 脱力したディアをトーイは抱きかかえ、目隠しをはずす。 「ふぁ……ぇ?」 ディアの目に入ってきたもの、それは二階の手すりだった。部屋ではないので当然下にも声が響いている。 「え?……やだ……嘘……」 紅潮していたディアの顔が一気に青ざめる。 「トーイさん……もう、もう許してください……」 だがトーイは無情にも 「ダメですよ、まだ僕イってませんから」 と再びディアを後ろから責め始める。 「い、いやっ!いやあぁっ!」 涙を流し懇願するディアにトーイは音が響くように彼女の尻をひっぱたき 、膣内をえぐるように腰を動かす。 「お願いっ…ですからっ……もう、もう許してくださいっ!」 「でも……ディアの締めつけ……すごいですよ?」 膣内をえぐるような突きかたをしたかと思えば、子宮に響くように小刻みに奥を突く。 あまりにも暴力的で、強制的に与えられる快感にディアは溺れかけていた。 「ああっ!いやっ!いやなのにっ!いやなのにぃぃぃぃっ!」 そして最後の強烈な一突きで、ディアの意識は持っていかれた。 369 名前:トーイ×ディア9[sage] 投稿日:2009/04/30(木) 14:49:13 ID:YEasRRUS 「もう知りませんっ!」 ディアはむすっとしてそっぽをむいた。 ディアが目を覚ました時には自分のベッドで横になっており、全裸ではなく服を着ていて体もきれいにされていた。 そこへトーイが部屋に入り、怯えるディアに全てを打ち明けたのだ。 女神さまの失敗魔法のこと、そしてあの時別荘には2人きりであったことを。 彼女は顔を真っ赤にして怒り、今に至る。 「初めてを……あんな風にするなんてっ!女の子にとって初めては特別なんですよ!?」 怒るディアにトーイは苦笑いを浮かべ 「嫌だった?」 と空気を読まずにディアに聞く。 「嫌でした、嫌でしたけれど……だいたい赤ちゃんができたらどうするつもりですか」 う、とトーイは返事に困る。 「その時は……その時かなぁ」 あははと笑うトーイを見てディアは怒る気力もなくなった。 「はぁ……もういいです、好きな相手が初めてだったのは変わらないですし……」 トーイはお詫びにとディアの頭を撫でて抱きしめ、帰ろうとする。それをディアは呼び止め 「……明日は、逢えますか?」 と赤面しながら言うとトーイはディアに優しく口づけし 「また明日」 とだけ答えた。 終わり 370 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/04/30(木) 14:52:04 ID:YEasRRUS 以上です なおキャラクター違くね?等の苦情は善処してまいります。 次作はトーイ×ライラの予定です、が……ライラの性格をまだ掴みきれておりませんが故、時間がかかる可能性もあります ジャンル?言うまでもなく……
72:ラグナ×キャンディ 2009/12/13(日) 21:51:57 ID:kh1UIBdU 387 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/05/07(木) 00:16:43 ID:LC4bHXtk ラグナ×キャンディです。 「わかったわ。じゃあお願いしてみるね」 飴玉のようにキラキラと透き通った瞳の少女は、ニッコリと微笑むと両手を合わせて、いつもの精霊歌を唱えはじめた。 らん、らん、ららら。 細い糸のように繊細な歌声が、僕と少女と精霊の世界に響きわたる。 風なんて吹くはずのない時計台の中にも関わらず、栗色の髪と赤いケープと、白いスカートが――ふわふわと靡いていた。 その靡くスカートの間からチラチラと控えめに姿を見せる太ももが、なんだか変な雰囲気を醸し出していた。なんなんだろう? 「……」 ――気がつくと、その不思議な何かは少女からパッと消えていた。歌声も終わって、深い森のような静寂が訪れていた。少女は一息ついて、再び僕に子供らしく微笑んだ。どうやらお願いが終わったらしい。 僕もいつものお礼でお返しすることにする。 「ありがとう。今日はもう大丈夫だよ」 それから僕は最後にキャンディ、と名前を付け足した。 「うん、どういたしまして!」 「ところで、何を作ってるんだい?」 僕は台所の上のボウルを指差した。 それは何かの生地のようなもので、お願いに訪れた時から、ずっと気になっていたものだった。 「え? ああ、これはまだナイショよ。明日になったら見せてあげるね」 「ああ、そういえば明日だったね」 僕はキャンディとの約束について思い出した。 確か休日にボートに乗せてあげる約束をしたんだった。 ……そもそもの理由は、キャンディがマルコと魚釣り勝負をした時に、見事に惨敗したらしい。 『魚釣りで負けちゃったんじゃ、あたし、お姉ちゃんの妹として顔向けできないよ。お兄ちゃん、お願い……!』 それで、マルコを見返すべく立派な魚を釣り上げたいというキャンディのお願いを叶えるため、ボートに乗せてあげるという約束をしたのだった。 正直に言うと、ボートに乗りながら釣る場所を変えたとしても余り意味がないんだけど、それでキャンディが満足できるなら……まあいいか。 388 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/05/07(木) 00:18:04 ID:LC4bHXtk 湖。太陽。小さな雲。青空。 その中心のボートの中に僕は座っていた。 湖を覗くと、水が綺麗に透き通っていて、まるでボートが宙に浮かんでいるような錯覚を感じた。 さっきから目の前に座ったキャンディが真剣な面持ちで湖に向かって釣竿を向けていた……けど、そろそろ疲れたようで、軽い溜め息を付いて僕に向き直った。 「なかなか釣れないなぁ」 「釣ってあげようか?」 「そ、それじゃあ意味がないよ〜」 「ははは、大丈夫。元からそのつもりだから」 僕の言葉に、キャンディは少しだけ間を置いて、 「……あたしのわがままを聞いてくれて、ありがとう」 うつむきながら申し訳なさそうに呟いた。 「いやいや、そんなことはないよ」 むしろ僕としては――わがままを言ってくれるような間柄になれたのが――仲良くなれたみたいで、逆に嬉しかった。 「お、お礼と言っては、ええと、じゅうぶんじゃないかもしれないけど」 キャンディは鞄の中に手を入れて、小包を取り出すと自身の膝の上に置いた。 リボンを解いて中身を開いてゆくと、ふわっとバターの甘い香りが広がって、そこに包まれていたのは数枚のクッキーだった。 「きのう、作ってたものよ」 それから、お兄ちゃんが自分で作ったほうが美味しいかもしれないけどね、とキャンディは苦笑いしながら付け足した。 僕は返事を返さずに、クッキーを一つ摘んで口に入れる。 それから、もぐもぐと良く噛んで飲み込んでから、僕は言った。 「おいしいよ」 「……え? あ……」 さっきまで苦笑いだったキャンディの顔は、徐々に褒められた子供のものに変わっていって、そのまま頬を真っ赤にしながら、うつむいて口ごもってしまった。 しばらく僕は魚釣りの見学を休憩して、クッキーに舌鼓を打っていた。
73:ラグナ×キャンディ 2009/12/13(日) 21:52:23 ID:kh1UIBdU 389 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/05/07(木) 00:19:05 ID:LC4bHXtk ほとんど食べ終わってから、やがてキャンディが呟いた。 「うん、そうだったわ。あたし、お兄ちゃんを信じてたもん」 キャンディは再確認したように、確信に満ちた笑顔でキッパリと言い切った。 僕の何を信じていたんだろう? 僕は何とも言えないくすぐったさに胸を襲われて、言葉にすることができなかったので、笑顔だけで気持ちを返した。 「あっ! み、見てみてお兄ちゃん。あそこのルーニー、クリを食べてるよ! もしかしたら実りの木から取ってきたのかも!」 キャンディは、すぐに恥ずかしいことを言ってしまったと悟ったらしく、慌ててボートから身を乗り出し、彼方を指差した。 いかにも話題を逸らそうとしているのが丸分かりで、見ていて微笑ましかった。 ……そんな姿にすっかり気を取られていたから、あんなことになってしまったのだろうか。 もう一秒だけでも早く、この言葉を言っていれば。 「キャンディ、ちょっと、」 ボートからそんなに身を乗り出したら駄目だよ、と注意しようとしたその時、 「きゃあっ!」 案の定、キャンディはバランスを崩してしまった。 今にも湖に飲み込まれようとする小さな体。 「危ない!」 僕の体が、彼女を受け止めるべく勝手に前に飛び出していた。頭が真っ白で何も考えられなかった。 しかし――それが逆に災いし、前のめりになったことでボートの全体の重心まで崩れ、クッキーも、僕達も、丸ごと湖に放り投げられた。 じゃぼん、と大きな水飛沫を立てて、それから僕の視界は透明な青に包まれた。 390 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/05/07(木) 00:20:08 ID:LC4bHXtk 「はあ、はあ、はあ、はあ」 周囲を見渡す余裕ができたのは、脳に酸素が回ってきてからだった。 空が曇っていた。 僕は今、仰向けで倒れている。 背中に感じるのは、ジャリジャリとした感触。 ここは――海岸? …… そうだ。僕は湖に落ちた後、意識を失ったキャンディを右腕に抱き抱えながら、目の前に見える島を目指し――ひたすら泳いでいた。そして砂浜に辿り着くなり倒れ込んで、こうしてゼエゼエと息をしていたんだ。 隣に横たえたキャンディに目をやると、まるで起きる気配がなかった。背筋が凍った。 「キャンディ、キャンディ、大丈夫? キャンディ」 僕は急いで起き上がって、耳元に何度も何度も呼び掛けるが、反応はない。 ――これは本当にマズいかもしれない……。 加速してゆく不安の中で、僕はキャンディの胸元に手を当てると、何とか呼吸を確認することができた。 「良かった。びっくりしちゃって気を失ってるだけか……」 ほっと一息をついて安心したのも束の間、びゅうっと一陣の冷たい秋風が吹く。 「……くしゅっ!」 キャンディがくしゃみをした。 「へっくしょん!」 遅れて、僕もくしゃみをした。 秋の始めとはいえ、この肌寒い中――びちょびちょの格好でこのまま放っておけば間違いなくお互いに風邪をひいてしまうだろう。 風邪薬ひとつ飲むだけで治ってしまう僕はともかく、キャンディも同様に治るとは限らない。 「……」 ボートの上で、僕が注意してさえいれば、こんなことにはならなかった。 これは他の誰でもない、年長である自分の責任であることは明白だった。 「風邪なんかひかせないよ」 決意が――いつのまにか言葉になっていた。 僕にとって、何だか不思議な義務があるように感じられた。 それは決められたことじゃないのに、誰からもそうするように強制されてなんかいないのに、どうして? それはきっと、彼女が『お兄ちゃん』って僕を呼んでくれるから……。
74:ラグナ×キャンディ 2009/12/13(日) 21:52:47 ID:kh1UIBdU 391 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/05/07(木) 00:21:19 ID:LC4bHXtk とはいえ、そう決めたものの、どうすれば向こうに戻れるだろう? 僕は思考を始めた。 先に自分が向こうまで泳いで、改めてボートで泳いで此処まで来ようか? ……いや、それは無理だろう。ボートで泳いでさえ7〜8分弱なのに、ましてや直に泳いで向かい岸まで辿り着くのは非常に困難だった。 何か良い手段はないものかと――辺りを適当に見渡しながら、思考を巡らす。 天を突く螺旋の蔦。 足元を歩く蟻。 水に濡れた少女。 蒼く透き通る湖。 遥か遠くに見える陸地。 ――そうだ。 直に泳ぐことが無理でも、直に帰ることのできる最高の魔法が記憶から浮きあがる。 どうして忘れていたのだろう。こういう時のリターンの魔法があるじゃないか。 僕は空高く手を掲げ、魂の休まるべき場所を心の中に思い浮かべた。 「……」 しかし周りの景色は何も変わらない。 もう一度だけ思い浮かべた。 「……」 やはり何も起こらない。 『でも、どういうわけか、時々、使えなくなるんですよ』 突然、脳裏にミストさんの言葉が浮かんできた。 “どういうわけ?” 理由は全く分からないけど、どうやら今がその使えない状況であるらしい。 「はあ……」 結局、ここに誰かが来るのを待つしかないという事実に落胆し、僕は溜め息をついた。 392 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/05/07(木) 00:22:19 ID:LC4bHXtk ただ、待つ前に最低限やらなければいけないことが残っていた。こんな島に自ら訪れるような人は恐らく僕だけしかいないだろうから、ここに人がいて、しかも帰れなくなっていることを周りに知らせる必要があった。 自分のバッグの中に使えるものはあるだろうか。僕はゴソゴソと中身を漁りはじめた。 農業関係、探索関係、戦利品、アクセサリーと数あれど、せいぜい使えそうなものは、釣竿、ファイアロッド、細い棒切れ、上質の毛皮、首かけタオルくらいだろう。 僕は上質な毛皮のうち、特に大きなものを選んで地面に敷くと、キャンディを抱き抱えて、その上に仰向けに横たえた。 それから、いくつかの細い棒切れを重ねるようにして隣の少し離れた地面に撒いて、 「魔法なんて、あまり使ったことはないんだけど……」 不安を漏らしながらも、僕は片手の火杖を棒切れへと向かわせ、徐々に魔力を込めてゆく。 「ファイア!」 そして僕の掛け声と同時に放たれた火球は――棒切れを巻き込み――やがて見事な焚き火になった。 空へと昇ってゆく狼煙を見上げながら、僕は安堵した。 時間はかかるだろうけど、これで村人の誰かが気づいて船を出してくれるだろう。 チリチリと音を立てて燃える焚き火に両手を近づける。 「うん。これで暖かさも確保できた」 ……それから一足先に下着だけの姿になった僕は、キャンディの服を脱がすことにしたのだった。 濡れている服のままでいさせたら、どんどん彼女の体を冷やしてしまって、せっかく焚き火を起こした意味がなくなってしまう。 まずはケープと上着、それからブーツ、靴下を脱がし、ベルトを外してスカートに手をかけ、丁寧に脱がしてゆく。 服は濡れているせいか、どれも肌に張り付いていて、脱がすのに一手間かかった。 脱がした服は、焚き火の隣に釣竿を突き刺しておいて、そこに引っ掛けて乾かすことにする。 「後は下着も脱がして乾かせば完了――だけど、」 そしたら、彼女は■■■になってしまう……のか。 「あ」 その時、僕は当たり前のことに今さら気づいた。 どうして今まで気づかなかったのかが不思議だった。 ――僕は今、キャンディの――女の子の服を脱がして、ハダカにしようとしているんだ……。
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