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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
8:名無しさん@カブ好き 2009/12/11(金) 13:07:33 ID:LfAy+aOs [sage] 21 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/01(木) 00:57:13 ID:t9cwEGtq 「ねぇ、ラグナ……」 うつむいて目一杯乙女の恥じらいを演じる。 肩を寄せ軽く握った右手で口元を隠す。 ラグナもこちらの様子の変化に気づいたようで、小皿を手に固まったままこちらをじっと見つめて言葉を待っている。 「 ……ところで……さ……」 ちらりと視線だけ向ける。 「どうやって……飲ませたの……?」 自分が何を言わんとしているのかラグナには伝わった筈だ。あとは反応をじっくり見て楽しませてもらうだけだ。 「え……?」 「た、例えば……その……くち……うつしとか……///」 すっと視線を外し意味深な空気を演出する。 視界の外でラグナがどんな顔をしているか想像しただけで頬が緩みそうになる。それを必死でこらえる。 だがここではっと気がついた。 もし本当に口移しで飲ませていたとしたら? ラグナに限ってそんなはずはないと自分に言い聞かせるのだが頭の中では寝ている自分に唇を重ねるラグナの姿が意に反して勝手に浮かび上がる。 口内に差し入れられる舌が自分の舌と触れ合い錠剤を互いの舌で弄んだあと唾液を流し込まれそのままゴクリと飲み下し…… そこまで想像した途端顔面が火にでもあたったかといわんばかりに熱くなった。たとえの一切を抜きにして顔が真っ赤になる。 もしかして本当に口移しだったのかもしれない。もしそうだったらどんな態度でいるべきだろう。怒ろうか、それとも泣くべきだろうか? むしろ自分はその結果を期待しているのではないか? 実はラグナをからかってやろうと思っていたのではなく、加虐心によるものでもなく、自分の願望か何かで答えを引き出そうとしていたのではないか? 心臓の脈打つ音がいよいよ聞こえようかというころ。 「鼻をつまんで水で流し込みました」 ほのかな期待は打ち砕かれ、次の瞬間思わず手が飛んでいた。 22 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/01(木) 00:58:09 ID:t9cwEGtq 「バカッ! バカバカバカバカバカバカバカーッ!!!! そういうときは、嘘でも、したって、言わないと、いけないの!!!!」 「す、すいません……」 「謝ってもダメ! ダメだからね!」 激しい剣幕に狼狽えるラグナ。 自分の怒りがどれだけ理不尽なのかわかってはいるのだが、矢継ぎ早に飛び出す言葉を止めることができない。 「すいません……」 落ち度などまったくないというのに謝るラグナを見て胸が痛む。 本当はそんな顔などさせたくはなかったのに。 それでも気持ちは収まらない。身が引き裂かれるような思いは自分を放してはくれない。 「ラグナはほんとはミネルバのことが……嫌いなの? ねぇ、答えて……」 「そ、そんなことは!」 「だったら……ミネルバのお願い、聞いてくれる……?」 一連の流れの中で行き着く先がはっきりする。 「な、なんでしょう?」 今ならどんなわがままも許される、そんな確信めいた予感と暴走する欲求に歯止めをかけられない歯がゆさとが交錯する。今ならどんなタブーもタブーにはならない気がした。 こうなったら後戻りはできない。口に溜まった唾をゴクリと飲み下し、声を絞り出す。 「き……キスしてくれたら……許してあげる……」 ラグナの目を正面から見ることができず顔をぷいっと逸らしてしまった。 いったいどんな表情をしているのだろう。驚いているのか、呆れているのか、もしかして変な奴だと思われたかもしれない。 もしそうなら明日からどんな顔をすればいいのだろう。 もし嫌われていたら。早まったかもしれない。焦り過ぎたのかも。 突拍子もないことを言ってしまった後悔と焦燥からラグナの顔をまともに見ることができない。 ミネルバはぎゅっと目をつむりラグナの言葉を待った。
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