マルスが絶頂を迎える狂喜の悲鳴。
 なにも考えられなくなった頭で最期に口にした言葉は、悲しきかな愛の言葉だった。
 限界を向かえ、彼は達したのかすら分からないまま意識を手放して昏々と眠りについた。










 幸か不幸か一命を取り留めたアイクだが、悲しいことに。

「おはよう、早いね、アイク」
「・・・・・・・・・」

 あれ以来重度の鬱に陥ってしまったそうだ。
 会話もせず、食事も取らず、夜も眠らない。ずっと部屋の隅で膝を抱き、マルスの狂気に怯えて。
 しかしそれでもマルスは幸せだった。愛する人が試合にもどこにも行かずに自分の傍にいてくれるから。




















 彼女は悪くありません。
 それは彼女なりの“愛情表現”だったのだから。