マルスが絶頂を迎える狂喜の悲鳴。
 なにも考えられなくなった頭で最期に口にした言葉は、悲しきかな愛の言葉だった。
 マルスのからだに子種を吐き出して、アイクは息を引き取った。

 どんどん冷たくなる彼の手を取ると自分の頬に添えた。

「アイクの手、冷たくて気持ちいい・・・」

 狂気に満ち満ちた彼女は愛するアイクと共に眠りについた。




















 ふたりの部屋には異臭が立ち込めていた。しかし彼女は笑顔だ。なんといっても愛するアイクが試合にも行かずにずっと傍にいてくれる。それだけで彼女は幸せなのだ。
 紅茶をふたりぶん淹れて、茶菓子と共にテーブルに並べる。

「このお茶菓子すごくおいしいんだって。姫さまたちが差し入れにくれたんだ」

 日に日に腐敗していく蝋人形にそう言って、紅茶を啜るマルス。
 屍はただただ彼女の幸せそうな笑顔をみつめていた。




















 彼女をキ○ガイと呼ばないで下さい。
 世の中には、いろんな“愛のかたち”があるのだから。