垂涎の的 世の中には、自分の知らないものがたくさんある。 アイクはスマブラ界に来てみて、改めてそう思った。 まず、あのカービィと呼ばれるピンクの肉塊。 さばき方がわからない。調理方法もまったくもって見当がつかない。 食感はふにふにしてさぞかしいいものだろうが、果たして味はどうなのだろうか。 そもそも食せるのかどうかすら怪しいくらいだ。 それから、あの緑の恐竜。翼も爪ももたない竜ははじめて見た。 テリウスにも竜はいたが、食べたことはないし食べたという話も聞かない。 この機会に是非食してみたい。 大方肉なのだろうから、焼けば食べられそうだ。どんな味がするのだろうか。 そして、あの青い鳥。ラグズより獣じみているし食べて食べられないものではなさそうだ。 鳥ならば丸焼きしてしまえば食べられる。 そこらの鳥よりいいものを食べているからきっと美味かろう。 いや、逆に加工物も食べているから不味いだろうか? あと、あの狐や狼や黄色いねずみ、青い犬、ピンクの風船に赤・青・黄・白・紫の動植物は食べれるのだろうか・・・ みな動物だから食べられるのだろうが、どんな味がするのか非常に気になるところである。 そんな考え事をしながら廊下を歩いていると、誰かとぶつかった。 顔を上げる。そこにいたのはアイクよりひとまわり大きな男。スネークであった。 「・・・悪い」 「・・・よだれ垂らしながら歩くやつをはじめて見たな」 どうやら歩いている最中よだれを垂らしていたらしく、そしてぶつかった拍子によだれがついてしまったようだ。 スネークは服の一部を呆然と見つめている。 「そういうあんたもよだれ垂れてるぞ、スナック」 「・・・スネークだ。」 「そうか。すまん」 二人ともごし、と服の袖でよだれを拭く。 「何か考え事をしていたようだが」 「あぁ。・・・あの青い鳥に何を食わせたら美味くなるか、をな」 「奇遇だな、アイス。俺もそれを考えていた」 「・・・アイクだ。」 「・・・悪い」 今までろくに話したことのなかった二人だが、共通の話題を見つけ並んで話しながら歩く。 ・・・もっとマシな話題はないのだろうか。二人とも傭兵、バンダナという共通点をもっているのに。 「やっぱり、自然の鳥のように木の実や小動物を与えた方がいいのか?」 「小鳥はそうだろうが、あいつは鷹や鷲のような肉食の鳥かもしれない」 「食事のとき肉を食っているところを見た。」 「パンや野菜も食っていたぞ」 「雑食か?」 「おそらく、そうだろう。」 「となると何を与えたらいいんだ?」 ・・・・・・・・・・・・ 「「肉骨粉!!!1」」 こうしてはいられない、と二人は勢いよく踵を返す。 食堂の奥、厨房へ全力疾走していった。 目撃者の証言によると、厨房からはだい☆てん☆くう!とか、火器の爆発音が絶えず響いていたとか。 飛び散る肉塊、唸るラグネル、おどる重火器。 できあがったにく☆こっ☆ぷんはそれはそれはおぞましいものであった。 アイクとスネークがファルコのランドマスターに追い回されていた、というのはまた後のお話。 あとがき。 |