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■濃厚お抹茶ミルクでちゃうのおおおおおおおお

わくわくぷよぷよダンジョン、休憩室にて。

飲み干された茶碗に、指を伸ばす。
二本の指の中には、茶碗の底に残された一本の茶柱がつままれて、掌に載せられる。
サキュバスの手の中で、茶柱がしおれた葉に変化して、みずみずしい葉っぱに生き返り――
その葉っぱから細く枝が伸び、するすると化け物の触手のようにうねり、サキュバスの腕にからみつく。
「な、な、なんじゃあ?!」
「素敵なお茶をいただいたお礼に、生きていた頃のことでも思い出させてあげましょうかと思って」
サキュバスの顔に浮かび上がる邪悪な笑顔。
「何をするつもりじゃあ、今は仕事中じゃぞ!」
「ふふふ、おじいちゃんのようなしゃべり方したって、私にはお見通し……
 あなた、その骨盤の大きさ――生前は、女性だったのでしょう?」
「うっ」
動揺したスケルトンTの手から、湯のみが傾いてこぼれおちる。
「さあ、大好きなお茶で――楽しませてアゲル」
まるで意思があるようにひとうねりすると、お茶の枝がグネグネと細長く伸びて、スケルトンTの腕をとらえ
そこからさらに枝葉を伸ばし、体中にからみつく。
もがき、逃れようと暴れてみても、一度伝った枝が骨の一本一本に蔦を巻きつかせるように絡み合い、逃げることを許さない。
力任せに引きちぎっても、ちぎったところからすぐに新しい芽が伸びていってしまう。
「ふんっ、ワシャ骨だけだぞ?こんなことしたとて何ともないわ!」
「あら、そお?」
だから?と言いたげな笑顔でサキュバスはスケルトンTを愉快に眺めている。
「やめろ、やめろというに!」
なおももがくスケルトンTの姿に、抵抗できなくなっても反抗する姿に興奮を覚えたのかサキュバスは唇の端を嘗める。
「ふふっ。体の中からどころか骨を直接愛でられるなんて、どんな感じなのかしら……?」
心底うっとりした顔で、サキュバスはスケルトンTの頭蓋骨の頬のあたりを挟み込むと、
生きていた頃に目があったであろう穴を見つめる。
もう、目があるわけではないのに。スケルトンTは目の奥まで覗きこまれているような感触に、顔をそむける。
「骨だけだから何をされても感じない?本当に?」
「ああ、わしゃもう痛いとか、……きもちいとか感じるものは、何も、ないからのっ……」
骨だけの人間に何を考えているのかと、気持ち悪さにぞわり、と背骨が震えた。
サキュバスはスケルトンTの顔から手を離さず、まっすぐ見つめて言葉を紡ぐ。
「人が興奮を覚え、快楽につながるものは何も触感だけじゃないわ」
それは、呪いのように。
スケルトンTの言葉にも全く動揺せず、さらに枝を絡みつかせて身動きがとれないようにすると、
枝の先から若葉をはやし、ざわざわといつくしむようになでる。
「何を、何をするんじゃああ!?」
「視覚。聴覚。味覚。シチュエーション、羞恥、罪悪感やアンモラル感――」
失われた部分は、別のところで補えばいい。
「むしろそういうのは、私の得意とするところ。さ、快楽の世界へ連れて行ってあげる」
「はなせ、ワシには理解できんっ、やめろというに!」
サキュバスは笑う。
「肌はなくともお茶の熱さはわかる。お茶の美味しさはわかる。なら、きもちいことだってわかるはず。
 その証拠に、あなた、ものすごく焦ってる」
「ちがう、ちがうわっ、おぬしのおぞましさに本気で嫌悪を覚えてるだけじゃっ!!」
唾を飛ばす勢いで否定するスケルトンT。
その口に、口紅をたっぷり塗った唇が触れる。ぬめりとした舌が、スケルトンTの歯を嘗めた。
「ううっ」
ぞわり。
鎖骨の辺りが、ざわりと広がった感覚にぴくりと動く。
「ほうら……今感じた感覚は、本当に気持ち悪さかしら?」
「……ああ、だからやめい。頼むから、いい加減にその指を離すんじゃっ……」
「嘘ね」
きっぱりと言い切るサキュバスに、どきりとするスケルトンT。
「どんなふうに愛されていたのかしら。何人の男を受け入れたのかしら?
 この中に、何度熱いものを注ぎ込まれたのかしら――」
若芽が、骨盤のあたりをさわさわとなでる。
そのたびに、腰骨がぴく、ぴくと震える。
「ひっ、き、気色悪いわっ、いい加減に……」
「あら、思いだしてきたのかしら?たわわな胸をもみ砕かれて、熱いものを突っ込まれて、
 何度も欲望を受け入れた頃のこと、ぜひ教えてちょうだいな?
 ねえ、どんなふうに感じたの?どんなふうに乱れたの?」
「変なことをっ……いうでないわっ、生きていることのことなど
 ――とうの昔にっ、わ、忘れた――」
体の中から生まれ出る感情も感覚も、かき消すように追い出すかのように、顔を振る。
「ふうん、なら……」
パチリと指を鳴らすと、スケルトンTの体が上下さかさまにつりさげられる。
「な、何を……」
「いやでもおもいださせて、あげる」
つりさげた体のあちこちを、葉がなでまわす。
「やめい、やめんかっ、いい加減にせい、おぬしとてやらねばならんことがあるんだろうにっ!」
「ふふ……男になでまわされる手の感触でも思い出しながら、ちょっと待ってなさい」
「やめ、や、やめんかっ、ああっ」
ざわ。ざわざわ。
葉が骨にこすれる音。その感触と音が、骨に伝わり、少しづつだがびりびりとした感覚が広がっていって、
芯まで響くように反復され、ジーンと脳天まで伝わっていく。
「ひっ、いやじゃ、やめろというていうにっ、やめっ」
にやっ、とサキュバスは笑う。その笑顔に、スケルトンTは絶望を覚え、
また自分が反応しつつある自覚を見られていることにどうしても意識してしまい――さらに自覚を深めていってしまう。
とっくになくしたはずの肉体と官能、そこからくる羞恥。男の手、熱い人肌、注ぎ込まれる欲望。
「そうよ、それでいいのよ」
サキュバスは踵を返し、先ほどまで飲んでいた湯のみを手に取ると、熱い抹茶を注ぎ込む。
そのお茶の中に牛乳を注いで、茶筅で軽くかき混ぜる。
「あ、こりゃ!何をっ、わしのお茶で、な、なにをっ……」
「こうするのよ」
ゆっくりとスケルトンTのところまで歩み寄ると、その抹茶ミルクを尾てい骨のあたりから、注ぎ込む。
「あっ、あつぅぅぃっ!!おちゃあ!おちゃいれないでぇぇぇ」
さかさまに熱い抹茶ミルクを注ぎ込まれ、喉元をすぎない熱さにスケルトンTはびく、びくと体を震わせる。
「ふ、あはははは!!どう、だーいすきなお茶をこっちから注ぎ込まれた気分は?
 濃厚ミルクも一緒に入れてあげたのよ?どう?
 中にいっぱいあっついもの注ぎ込まれた時の感触、思い出したんじゃない?」
「ひうっ、だめ、あついのおお、あつくて苦くて……って、もうや、やめるんじゃああ!!」
「まだまだのこってるわよ、ほら、ほらあ!」
サキュバスは、容赦なく第二弾をスケルトンTに注ぎ込む。
満たされたお茶が暴れ、こぼれていく。抹茶ミルクがスケルトんTの全身を伝い、汚していく。
「だ、だめえ!お抹茶ミルクでちゃう、もれちゃうう!!らめええええええええええええええ!」
「さあ、あなたの大好きなお茶にまみれて――いっちゃいなさい!」
サキュバスが、茶筅でスケルトンTの恥骨の中をかき回す。
「いああああああああ、らめ、らめなのお、お茶、お茶ああああああああああああっ!!」
びくっ、びくびくっ!!
スケルトンTはその骨格をひときわ大きく震わせて……ばらばらに崩れ落ちる。
その骨格の隙間から、抹茶ミルクがこぽこぽとあふれて、床に大きな水たまりを作った。
「はあっ、はあっ、はあっ……」
それを眺め、サキュバスは自分のボンテージを脱ぎ捨てる。
「ああん、もうだめぇ!」
そしてスケルトンTの骨を一つつかむと――もう我慢できない、と自分の濡れた秘所に突き刺した。
「ああああああん、素敵、素敵いい!!」
狂った時間は、まだ終わらない。
もう一本お茶にまみれた骨を口にくわえ、舐めながら――サキュバスは、大きく自分の腰を動かした。


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