籠という檻
こほー様
「……ん……?」
アルルが目を覚ましたのは見覚えのないほの暗い部屋のソファーの上だった。周りには質素な机等があるが、飾り気のない殺風景なところである。それに、あまり清潔ともいえなかったので、アルルも少し疑問を持った。
「ふえ……? ボク……どうしてたっけ……?? っあ!」
両腕は後ろに縛られていて、上手く身動き出来ない状況に気がついた。
( ……?? ボク何かしたっけ…? ……ううん! 何もしてないよ! だって……おつかいに行って
……カレーの材料買って……そのあと……そのあと…… ……あれ?)
その葛藤の中それ以降の記憶がない事に気付くなりアルルは上半身を起こした。
「そうだ! あのとき変な魔法陣踏んじゃって……」
「ようやくお目覚めか?」
「えっ?」
声のする方を見てみても、その暗さ故にアルルにはあまり顔が見えなかったが、それはとても聞き覚えのある声だった。
「……? シェゾ………なの……?」
「ああ」
「あ、シェゾ! これほどいてよ。 えーと あと、どうしてボクこんなところにいるの?
なんか全然ワケ分かんないんだケド……」
アルルはどうしても知り合いに会うと気を許してしまう様だ。シェゾはそんなアルルをみて盛大に溜め息をついた。
「相変わらず……おめでたいな……お前は」
そう言ってシェゾは無造作にアルルに近付いてきた。
「……?」
そのふいに、アルルに唇を重ねる。
「……んっ……!?」
シェゾは、アルルが抵抗するかと思っていたが、よほと気が動転してるらしく、そんな素振りがまったくなかった事はシェゾにとっては好都合だった。
「……ん…ぅ……は…っぁ……」
舌を絡めて、貪る様なキスをしている。もうアルルの頭の中は現時点の状況すらハッキリとしていない。