no title
1-150様
ヒマ人アルルは今日もヒマなのでのらりくらりと散歩をしてました。
するとシェゾ発見。
「あ!シェゾだ!」
シェゾもアルルに気付きました。チッ、といやな顔をしました。
「ねえシェゾなにしてんの?」
「うるさい。おまえには関係ない。あっちいけ」
「なによう。そんな言い方しなくてもいいじゃない」
アルルぷんぷん。
だいたいシェゾってやつはこっちが(たまに)忙しいときには色々邪魔しにくるくせに、
ヒマなときになると急に冷たくてぶっきらぼうになるんだ。
でもそれはシェゾもおんなじ。
こっちがいざやる気になって会いに行ったときはこれ以上ないくらい変態扱いするくせに、
ほかの用があるときに限って「かまってオーラ」をまき散らして付きまとってくる。
つくづく巡り合わせの悪い2人であった。
「ボクヒマなの〜」
「そうか。それはよかったな。オレは忙しいんだ」
「なにが忙しいの〜?」
「おまえに説明する必要などない。だからさっさと失せろ」
「もう!ひどいことばっかり言って!もういいよ!シェゾなんて大嫌い!」
ダッ。シェゾのつれない態度についに怒ったアルルはダッシュでこの場を去ってゆく。
「シェゾの変態〜!死んじゃえ〜!」
と捨て台詞も忘れずに。
シェゾはアルルを追っ払うという目的は果たしたものの、
代償として多大なる不愉快をこうむるのであった。プチプチプチ…。
怒りは蓄積されてゆく…。
ちゅぢゅく。
翌日、アルルん家。アルルはまだ怒ってた。
「またくもー!あいつなんなんだろうね!」
するとチリンチリーン。玄関のベルが鳴った。お客さんだ。
アルルははやるテンションを抑えて玄関を開けた。
「はー……………………ぁぃ」
そこに立ってる人を見て口あんぐり。
「シェエゾオォー!??」
シェゾだった。でも違う。シェゾじゃない。
髪型を綺麗にセットして(いつものださいヘアバンドも外して)、暖色系の普段着で、
右手に小さな花束、左手にはケーキの箱を持ってるシェゾなんてシェゾじゃない。
「やあ、アルル…」
「え?あ?え?あ?」
「今日は魔力だとかぷよぷよ地獄の話じゃないんだけど…」
「あの、その、あの、その」
「昨日の事を謝ろうと思って、な。その、いいか?」
「…………………………ぅん」
なにがなんだか理解が分からずもうち中に通してしまう頭まっしろなアルル。
そのときはなんか「部屋を掃除しておけばよかった」とか思ってたらしい。
てゅでゅく。
とりあえずシェゾをダイニングキッチンに招く。
「とりあえず、これ、食べてくれ。それと、これも…」
シェゾがアルルにおみやげを手渡す。
「うん…。ありがと」
「いや、受け取ってくれて嬉しいよ」
「!…………じゃあ、ボク、お茶いれるね…」
アルルは大混乱中。まさかシェゾがうちに来るなんて。しかもスマートに。
てかそもそもうちに男が(まともな男がまともなスタイルで)来たこと自体初めてだった。
「はい、お茶…」
「ああ…」
と。言った後シェゾが黙っちゃった。アルルからはなにも言えない。思わず見つめあったり。
1分くらいの沈黙のあとで、ようやくシェゾが口を開いた。
「…昨日はすまなかったな。忙しくて少し気が立ってたから、ついひどいこと言っちまって」
「そ、そんなことなら…、ボクのほうこそ、忙しいところを邪魔しちゃったから…」
ついさっきまでは思いもしなかった譲歩の姿勢をしめすアルル。
「あ、じゃあ許してもらえるか?」
「…うん」
「そうか、良かった。はっ」
アルルの返事を聞いて緊張を解いて微笑んでみせるシェゾ。
「なあアルル。オレの今日の格好、変だよな」
「え!え!そ、そんなことないよ!すっごくかっこいいよ!」
ちなみにアルルはこのセリフを言ってから赤面。
「そ、そうか。あの、オレさ。お前と最初に会った頃は、ただ魔力を求めてただけだったけど、
こう付き合いが長くなったら、なんか、それだけじゃないように思えてきたんだけど、
でも、どうしていいか時々よく分からなくなって、お前を傷つけるような事言ったりしてさ。
バカだよな、オレ。こんな格好とかおみやげとかで御機嫌とれるわけもないのにな」
アルル、唖然。
つづーくー。