夜灯す明かり

7-756様

それは、たまたま不幸な偶然が重なっただけだったんだ。
言葉で誤解されるのも、全力を尽くして完膚なきまでに負けるのも、無念だがいつもの事だしな。
いつもと違っていたのは、何だったんだ。
勝敗が決した後の、アルルの行動か?それともそれにうっかり乗ってしまった、俺の行動か?

とにかくいつもとは違う結末が、今ここにある。
いつものように、抗っても変えられない、決まりきった未来のような。


順を追って思い出してみるとしよう。
まず、いつもどおり郊外に居たアルルに、勝負を挑んだ。

「お前が欲しい!」
「あ、シェゾ。ソコだけ聞くと、どうしても変態にみえるよ〜」
なれた調子で、にこにこと酷い事を言ってくれる。
「やかましい!さっさとお前が魔導力のすべてを俺に渡せば済む事なんだっっ!そうすれば変態呼ばわりもされなくなる!お前に付きまとうことも無い!さあさっさと魔力をよこせ!」
「つきまとってる自覚はあるんだ?」
「なっ…」
更に追い討ちをかけるように、少し気にしている事を言ってきた。
「それに、いつも思うんだけどさ、開口一番に『お前が欲しい』ってのは言うけど、『魔力が欲しい』って言わないよねぇ?」
「そ、それは………」
「ひょっとして…」
思わしげにこちらを上目遣いに眺めやりながら、ゆっくりと近づいてくる。
「ひょ、ひょっとして……?」
何か、持ち前の不思議な勘のようなもので、こちらの不利になるような何かを察知したんだろうか。意識せずとも、じりじりと迫ってくる対象に後じさりしている。
あまりこのように押されるのは好きじゃない。特に、相手が攻撃してくるでもなく、迫ってくるような状況は、特にだ。
「シェゾって…」
「お、俺って……?」
こめかみに汗が伝う。

「……恥ずかしがり屋さん?」

      「…………はああ!?」

「…っ何がどうなるとそういう結論になるんだーーーーーーっ!」
「て、うわあぁあぁぁ、ちょ、あぶないっ、ジュゲムっ!!」
思わず全力でアレイアードをぶっ放しそうになった所で、ジュゲムを喰らい、俺は町に連行された…ようだ。

ようだ、というのは、気がついたら町の安宿に寝かされていて。
「あ、起きた〜?気付け薬にどーぞっ」
かつ、酒でも飲んだみたいにくらくらした状態になっていて。
多分アルルあたりが移動の際に力を使いやすいよう、魔導酒あたりを飲んだついでに、俺にも飲ませたんだろう。
今差し出されているのは、多分普通の酒なんだが。
アルルのような小娘が飲むもんじゃないと思うんだが、魔導師に酒は案外相性がいいらしい。見ている前でカパカパ飲んでいる。
「おい……」
流石に水のように飲むものじゃない事は、受け取った杯の匂いでわかった。
「で、なんでこんなところに運んだんだ?こんな所に連れ込まれる位なら、放り出しといても構わなかったぞ俺は…」
どんな町にもあるような安い宿、それは流れ者たちのための側面と、もう一つの側面を持つものがあって、こちらは後者の向きだ。当然、俺の趣味ではない。おそらく、こいつの趣味でもないだろう。あんまり得意そうな空間ではない。
「んーとね、さっき言いかけてた事、聞こうと思って!」
……はて。

「覚えてないぞ」
「うそー、さっき確かに、結論はどうだとか言ってたよ!」
何を言ってるんだこいつは。
「お前が、勝手に、変な結論を、つけたんだ。俺は、何も!言ってない!」
それとなく心に浮かんだ、ひとかけらの感情を封鎖に掛かる。何かの予感がした。
「むう〜! じゃあたまには、ぷよぷよじゃなくて飲み比べでもする?」
「ふん、構わないが、つぶれた後の責任はもたんぞ」
「じゃ早速シェゾからだよ!」
「ん。……(ゴクゴクン)ふっ」
「いっきまーす!(ゴクッ)」

……というパターンで飲んでいて、明らかにアルルのほうがあらかじめ飲んでいたのに、俺が先に飲めなくなった。どんな体してんだ、お前。
「も……お前の勝ちでいい…腹に溜まってタプンタプンするみたいで不快だ」
「やった!じゃ、ね、『お前が欲しい』!!」
「……俺の何が欲しい」
「全部」
「断る」
「だいあキュート…」「待てコラ」
ああ、酔ってるんだな、アルルよ。お前の口からそんな事を聞く日が来るとはな。だが俺も相当酔ってる。
増幅の呪文と、その後に来るだろう攻撃呪文を防ぐために、小柄な体共々ベッドに倒れ臥した。

ベッドの上に、白と青と黒の服が折り重なる。
押し倒すというか、寄りかかって頬へキスする状態になっていた。
見おろすと、頬にでも俺にキスされるとは思ってなかったらしい。
アルルは目をまん丸に見開いた間抜け面。コミカルというよりも、嗜虐心を誘う。
「……で、この闇の大魔導師シェゾ・ウィグィィ様の、何が欲しいって?」
「え、やぁ、そうだなぁ。うーん……魔力とか?」
日中とはいえ薄暗い室内に、茶色の瞳が行き場を探してさまよう。
なかなかまれな状況から、優越感といたずら心を覚えて笑みを浮かべる。
と、今度はこちらの顔を見つめてくる。
そういや、こういうタイミングで確実にビームを撃ってくるあの黄色いのはどうしたんだ。
気がついてから見かけてないし、声も聞いてない。……まあ、それはどうでもいいか。

「魔力を奪う方法は幾つかあるが、具体的にどういう行為をするか知っているか?」
「そ、そりゃ、知らないし、考えたこともなかったけど……どうするの?」
「そうだな、例えば……」
細い肩をベッドに押しつけ、疑問を浮かべたままの唇に自分の唇を触れさせる。
のしかかるようにしながら彼女の唇をぺろりと舐めとって、放す。
「フッ。これだと僅かしか奪えないけどな」
「……あ! ボクの魔力」
「返して欲しいなら、奪ってみせたらどうだ?」
「ゆったなー!」
「うお、」
身をよじって逃げに出ると思っていたら、逆に引っ張られた。
目を見開いたまま、額をくっつけた状態で一度止まる。
「……フッフッフ」
「〜〜!」

効果音にするなら、ごちん、だな。
「いって」
「いたい……」

それでも引っ張る腕はそのままで、華奢な体はくっついたまま。
正直(触れ心地はいいのだが)居心地は悪いし、ラッコ状態で体重は預けられているし。
気合で起きるか、押しつぶしにかかるか悩ましいところだ。衝撃をごまかそうと首を振る。
と。くら、と自分の頭が揺れる。
揺れをそのままに、左から倒れ込んで体を沈める。
「シェゾ……?」
全身の酩酊感に白旗を上げて、ブーツにガード、マントを外してベッドの上へ。無防備な姿勢で横になる。
そういえば今視界の隅にでかい鼻ちょうちんが見えたんだが。
いっそ俺もこの小娘を放り出して寝入るって手は……

「おーい、酔ってる? 大丈夫?」
「……酔っていたらなんだ」
多分使えないんだろう。

隣からの視線と沈黙を受けて、視線と微笑みとやる気の無い言葉を投げやる。
「何だ? 普段なら帰るなりどっか行くなりするんだろうに、まだ何か用があるのか?」
「魔力くれるんでしょ――!?」
「その方法を教えろってか」

眺めていると、アルルもブーツと胸のガードを脱いでから、隣に上がり込んで来た。
まだ子供っぽいその顔で、この俺に対してそういう行為に出るのか?お前は。
「興味や好奇心は、魔導にならボクだってあるよ?」
「ハッ、好奇心猫を殺すって言うがな」
「ボクは殺さないもん!」
ほう……。とりあえず隣に来ようとする度胸は買ってやるとしよう。
億劫ながらベッドの半分を空けてやる。
多分友達感覚で隣に来る少女を、興味津々に眺めてから、耳元で囁いてやる。
「その一歩手前まではやるかもな」
誰がとは言わん。

反論しようとした口をふさいで舌を滑り込ませ、先ほど同様ぺろりと舐めて放してやる。
「少なくともその位のつもりじゃないと、俺から魔力は取り返せんぞ」
煽るだけは煽ってみよう。アルル本人に興味が無い、という訳でもないのだから。
それでも俺は断じて変態ではないし、力ずくで手を出して返り討ちにあうつもりもない。
しかしココにきてアルルも黙してしまう。ちょっと気まずい……
そして酔いが回ってきている。
弱くも酒好きでもないし、泥酔する事もほぼ無かったから、この先はレッドゾーン、か。

どうにもこうにも馴染みの薄い感情を覚えてるのは確かだ。
酔ったくらいで他人にほいほいそんな感情を抱くなら、二度と酔うほど酒は飲まんぞ。
「シェゾ」
「おう、何だ」
「魔力かえしてっ」
ごちん再びかと身構える余地も無いまま、しがみつかれて唇を奪われた。

恐々唇を離したその顔に手を伸ばす。
よそを向かぬよう顎をひき寄せ、吐息のかかる程に近寄せてからくちづけを落とす。
ふれるだけのキスを。ついばむようなキスを。それから頭を抱き寄せて、もっと深いキスを。

ああ、いいだろう、甘んじてそしりを受けようとも。教えてやる。
嫌だは無しだぜ。

隣に寝そべる細い体に両手を伸ばし、引き寄せて、殆ど夢中で抱きしめた。

静まり返った部屋の中に、二人でベッドに横たわっている。
部屋の隅に、窓から黄金色の西日が入り込んでいる。
少女の視界には、ゆるくうねる銀の髪が踊っている。
「アルル、お前が欲しい」
「うひゃ! って、ちょっと。今は、ボクがキミの魔力を欲しいんだってば」
「お前の全てを……」
低い声がアルルの耳元で囁く。吐息と共に耳を打つ。
普段の行動や言動ではまったく気にならないのに、時折どきりとさせられる、その声。

「俺にくれ」
「うくっ……ね、ゾワゾワするから、せめて耳元でしゃべるの、やめて〜?」
「いやだ」
子うさぎのように震える耳に、キスが落とされる。
「ひゃ! ちょっともーお……きゃあまって……やん! シェゾ本当やめ、あんっ!」
何度か耳に触れながら唇が、首筋に。触れるだけで済まされたり、舌でつつかれたり。
そのたび鋭い悲鳴とともに、アルルの全身がぴく、ぴくっ、と震える。
黒い腕が上着をずり上げ、アンダーシャツの上から背筋をそっと撫で下ろす。
腰のあたりまで撫でられていっそう声のトーンがあがり、可愛らしいソプラノが響く。
アンダーシャツの隙間に入り込む手が、体を引き寄せて二人の腰を密着させた。
「ぁぁぁん、くすぐったいからはなして……ねえ、シェゾ、はなしてったらぁ」
「い・や・だ」 かぷ。
「……ひゃあ!!」
全身に電気でも流れたように、その体が震えた。
アルルの耳たぶに、彼女の感じたことのない感触がふれて、なぞってくる。
ぴちゃ、ぴちゃ、ちゅぷ、と濡れそぼったような音が響いて、その音が二人を興奮させる。
舌で耳を刺激するシェゾの、その手はアルルの腰からスカートにすべりおりる。
布ごしに未発達なふくらみを掴まれ、ゆっくりもまれ、鋭い悲鳴はだんだん、嬌声になる。

危険に悲鳴をあげるソプラノが、当惑と陶酔のメゾソプラノに堕ちてゆく。
押し付けられた腰に違和感を覚えるも、もぎ放すことは叶わずに。
彼女の感覚は、その身にうける刺激を敏感に、脳へ他の場所へと伝えていく。

耳をいじめあきたのか、アルルの唇にもう一度キスが落とされる。
「キスする時は目を閉じるもんだぜ」
「し、知らないよそんなコト……っ」
「今知っただろう? ホラ」
暗がりでも光る青い目の持ち主が、確認するようにもう一度奪いに来る。
渋々閉ざされた茶の瞳の上、滑らかな額にキスが降る。
驚きにパッチリ開いたところで、もう一度口を塞がれる。

今度は慌てて閉じるそれに隠れ、黒い腕はアンダーシャツの下に入り込む。
ゆっくりと動いたそれは、下着の上からやわやわと胸に触れる。
「ちょちょちょ、ちょっと待っ」「いやだっての」
「ひう、こ、心の準備が……」
「する時間はとってやったぜ?」
「そ、そんなこと……」
「キスより効率よく魔力を奪う方法、思いつかなかったのか?」
「……」
思いついたと認めるように、彼女の頬は赤く染まる。
「それでも興味や好奇心はあるんだろ?」
「……」
アルルはそっぽを向いてしまった。

その沈黙をどう受け取ったものか、黒い影が身を起こす。
表情も変えずに彼女を抱え起こし、そのままためらいなくシャツを脱がしにかかる。
あっさりと青のアンダーシャツも脱がされた。
困り顔のまま、なすがままになりながらも、アルルはシェゾの事をじっと見ている。
「……ねぇ、シェゾ、ほんとーに、酔ってる? 普段と違う」
「そうだな、普段なら吹き飛ばされてるよな、いい加減。今日はしないんだな」
「そ、それは……ここから吹き飛ばりしたら、何でこんな所にとか」
「そうだな……本当なんでこんな所選んだんだ、アルル?」

酔っているといっても、整った顔は普段と変わらないようにしか見えない。
もっとも、質問や追求をはぐらかすようなことも、普段の彼はあまりしないのだが。
アルルはそのまま、脱がされた仕返しにシェゾの服を引っ張って、首を傾げる。
「ねえねえシェゾは脱がないの? ボクを脱がしたくせに」
「俺は脱がなくても問題はない。それとも……俺の服が欲しいのか?」
「……はぃ? シェゾって、なんでいっつもそーいう話になるの?」
「服が欲しいと言われたことがあるから聞いてみただけだ」
アルルの引っ張っていた裾は引き抜かれ、その代わり彼の左手に掴みあげられる。
「それともこの手で脱がしたい、か?」
「……」
かああああ、という表現がよく似合う様子に、ふとシェゾの頬が緩む。
取り上げた手の甲に指先にキスをしながら、アルルを眺める。
「フッ……何て顔してる、襲うぞ?」
「も、もう襲ってるじゃないか〜!」
手を振り回すアルルを、可愛い奴だと言いたげに眺めながら、服を脱ぎ捨てる。
「そうか? これからがお楽しみだと言う奴もいるぜ?」
これから、という言葉にびくっとする彼女は、実際に子うさぎや小動物のようであり。
普段のそれよりも庇護欲や嗜虐心をそそるのだ、と自覚している様子はない。

「こ、これから……って……?」
「知ってるくせに聞きたいのか?」
「う……」
「そうして俺から魔力を奪いたいんだろう? できるとは思わないが」
「うう……」
「俺は願ったり叶ったりだな」
アルルの知っているシェゾの願いは、自分の魔導力を奪うことである。
それとアルルの願いは相容れないところにある……
ということになっている。

可愛らしいブラをずらし、アルルの胸が晒される。
ごく淡い色の付いた乳首は、ぷっくりと膨らんで視線を誘う。
シェゾは唇で右胸のそれに、右手で左胸に触れた。
ちゅっ……
舌で舐め、指先でこねくり回し、甘噛みする。
「い、やっシェゾ……ああ……」
左手は太ももをなで上げて、付け根に届く。
下着を指でなぞると、足を閉じて逃れようとする。
姿勢をずらして太ももにキスし、スカートから見えるか見えないかの所に薄紅色の印をつけた。
「んっ!ちょっとどこになにして」
思わぬ反撃に怯んだ足を開かせ、秘密の谷間に指を這わせ。薄布越しにつつき、指で撫でる。
「ひゃ、そんなとこ……やだぁ……やあん!」
いたずらに指を蠢かされ、アルルは身悶えしている。
手を回してブラを取り、剥き出した肌にも薄紅色の印を。
上がり続ける抗議と抵抗を黙殺し、震える体からスカートごと下着をずり下ろす。
「シェゾの変態……」
「ん? その変態のする事で感じてるんだろう? お前も十分変態だぜ」
手で胸と腰を隠そうとするのを掴み上げて眺めれば、危うい未熟さと瑞々しさをもつ彼女がいた。

「ボクは……変態になりたいんじゃ、ない。シェゾの魔力が欲しいのに……」
言葉で拒絶しながら誘われているようである。
女神くらいしか例えるものを知らないほど、魅惑的な。
淡く茂る毛に触れる。女の秘密を隠したそこを指先でつつき、指で割り開かせる。
成熟しきらない果実のように、微かに湿った淫唇をなぞり、何度となく往復させた。
くちゅ、ちゅぷっ……
次第に滲み出す愛液を、卑猥に響くほどかき混ぜる。
「ホラ……アルル、こんなにいやらしい音がするぜ」
「恥ずかし……やめっ」
「そーいう可愛い声出してもやめてやらん」
彼女の体は刺激に自然に反応している。
アルルの手指を彼女の股間に触れさせる。指先に愛液を絡ませて肉芽に触れた。
「あっあっ駄目……でちゃうからやめっ」
もがき出すのを黙殺したまま、肉芽に刺激を与え続けると、アルルは絶頂を迎えた。

「あああぁぁ……」

ぬるぬるとした滴りが、シェゾの指先に触れる。
アルルは、震えながら絶頂の後味を味わっているようだ。
「イったのか?」
「し、知らな……ひあっ」
アルルの指でいじっていた肉芽のそばを、シェゾは中指でまさぐり、秘密の内に滑り込む。
妖しくからみつく肉壁は、指先をきゅっとくわえて逃れがたい。
ゆっくり抜き差しを繰り返すと、淫らな水音が幾度もでた。
「俺のためにこんなにビショビショになるとは、本当に可愛い奴め」
「そ、それはシェゾが……シェゾが、変態なんだよう」
「ほぉう、そーゆー事云うか。欲しいって言ったのに?」
「いたっ、やあんっ、それはやっむぅ」
ぬちゅ、ずぶっ。
淫唇に薬指もあわせて滑り込ませ、人差し指で肉芽をさわり、のし掛かって上の唇もふさぐ。
なすがままに押さえつけられ、淫唇をかき混ぜられ、キスを受けてアルルの体から力が抜ける。
膝を開かれ、下敷きにされた足を居心地悪そうにもぞもぞさせると、股間のなにかにあたったらしい。

「むっ……アルル、こら、蹴るな」
シェゾが唇を離す。
「けってないよ、シェゾが何かしてるんでしょう?」
「……そうかよ」
アルルにのし掛かったまま器用に下着を脱ぐと、シェゾは指を抜いて自分の欲望の塊でアルルに触れ、淫唇を何度となくなぞる。
「あ、んんっ、何? 変になっちゃう……」
「いいぜ? もっと変になれ」
「何言って……いっ、あ、やああ!」
肉棒をアルルの中へ一息に送り込み、肉芽も責める。
熱くきつく締め上げてくる肉壁に、シェゾは痛いほどの快楽を覚えた。
「あああ、痛い、シェゾぉ……」
躰を貫かれ、逃げ場を失ったアルルがしがみついてくる。密着する肌は更なる興奮をあおる。
瑞々しいアルルの肌に、いつしかじんわりと汗が浮く。

ゆっくり抜き差しを繰り返し、肉芽をいじると、悲鳴をあげていたアルルは少しだけ、大人しくなった。
「痛い、か?」
「う……ちょっと痛いし、恥ずかしいし、いっぱいになってるぅ……」

何か思いついた顔でシェゾがアルルに問うと、彼女は顔を真っ赤にした。
「フッ……、本当に、可愛い奴め」
「んっ、そんなっ、しちゃ、や、恥ずかし……ああっ」
くちゅっくちゅ、ぐちゅぐちゅ……ずっ

アルルの中に何度となく肉棒で出入りする。
動くたびにシェゾは、緩急をつけて搾り上げられるような感触を覚え。
その一方でアルルは、まだよく知らぬ快楽と、シェゾに体を任せて為されるままになり。
奥深いところまで犯され、ぞくっと快感がアルルの体を駆け抜ける。
「くっ……そろそろ、いくぜ……」
「? あ、ああっ!」
それまでそっと、ゆっくりと動いていたものを、これ以上ないほどかき乱す。
淫らな肉壁に包まれ、翻弄されながらも、力づくでアルルを何度となく貫く。
「く……っ、受け取れ」
必死にしがみついてくるアルルを感じながら、彼女の中に留めてきた力を放った。

ーーーーーーー

気が付いたら、アルルが隣にいたんだ。

暗い……頭が痛い。
気が付いて、最初に思ったのがそれだ。反射的に、明かりの呪文を唱えて。
何故俺は裸なんだ? てのが次で。
何故アルルが隣にいるんだ?
てところまで考えてたら、アルルが口を開いた。
「気が付いた? 大丈夫?」
「! 〜〜〜!?」
「きゃっ」
「……」
「やだちょっと、そんなにまじまじ見ないでよ」
思わずがばと跳ね起きると、つられて跳ね起こされた、アルルの胸が見えた。
瑞々しく滑らかな肌を持つ、彼女の裸身に目を奪われる。
とっぷり暮れた闇を退ける、魔力でできた光の中に、肌が白く輝いて見える。
頭の理解が付いていく前に、恥じらって胸や足を隠すアルルを、凝視してしまった。
「……綺麗だ」
「シェゾってば〜〜もう、恥ずかしいよ」
「本当の事だ」
「……あの、余計恥ずかしいってば」
ん? 何故アルルも裸なんだ?
それと、何故こいつまでつられて起き上がったんだ?
アルルはもじもじしているのだが、そんな状態で居られたら欲情してしまう。
努めて体から目を逸らし、アルルに問おうと口を開く。
「アルル、さっき、俺は……」
「すごく恥ずかしい事言ってたよね」
「何? 一体いつ俺が恥ずかしい事を」
「……『お前は処女だな?』とか『可愛い奴だ』とか」
「ちょっと待て……」
一体何故俺がそんな事を!!
「シェゾってやっぱり変態なのね?」
「ちっがーーーう!」
アルルよ、俺が聞きたいのは。
「違うんなら、傷物にした責任は取ってもらうからねっ」

……傷物?責任?
俺の耳を何かイヤな言葉が抜けていった。


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