ほんのりシェゾ×アルル

8-14様

―――きらきらと降り注ぐ日差しが心地よい、爽やかな初夏のとある日。
自称闇の魔導師、通称変態魔導師ことシェゾ・ウィグィィは、今日も更なる力を求めほっつき歩いていた―――
こちらは16歳の少女、アルル・ナジャ。
どこか計り知れない可能性と秘めた力を感じさせる、不思議な魅力を持つ少女である。
亜麻色の髪を軽やかに風になびかせ、光りを受けた太ももが短いスカートから覗く。
「うーん、いい天気だなあ。こんな日は青空の下でのーんびりお昼寝でもしたいな。ね、カーくん?」
「ぐー!」
アルルはいつものようにカーバンクルを肩に乗せ、軽い足取りで緑深い森を歩いていた。
「あれ?見て見てカーくん、あそこに洞窟がある!」
アルルとカーバンクルが駆け寄ると、そこには遥か昔に忘れ去られたような小さな洞窟がひっそりと暗い口を開けていた。
「うわあ、何だか明らかに怪しげな洞窟〜…。カーくんどうしようか……ってカーくん?」
アルルが問うまでもなく、カーバンクルは闇の中へと消えていた。
「カーくん!」
カーバンクルを追いかけるアルル。
洞窟の中は暗く狭いが、ひんやりと涼しくて意外にも心地いい。
壁伝いに慎重に進んで行くと、先のほうが何やら明るい。
…あかりが灯されている?
壁が途絶え、アルルは光の中を覗いた。
「シェゾ!」
そこにはカーバンクルを頭に乗せ、壁中に積み上げられた古書に囲まれたシェゾがいた。
「ようアルル、久しぶりだな。こいつが現れたのでおまえも来ると思っていた」
「はあ、びっくりしたあ。ところでシェゾ、ここは何?」
シェゾが手に持っていた書物をバタン、と閉じると薄黒く粉っぽいホコリが舞う。
「恐らく、古の魔導師が書庫として使っていた洞窟だろう。ここにある書物は全て古代魔法に関して書かれたものだ。現在では失われてしまった魔法も多い。残念ながらあまり実用的ではないがな」
「古代魔法…」
アルルは一冊の本を手に取った。
書物は全て古代文字で書かれている為内容は分からないが、どうやら戦闘魔法に関する記述は少ないようだ。
挿絵から察するに、人体実験などに伴う魔法技術のように思える。
「…?」
訝しげにその本を覗き込むアルルを見て、シェゾは思わず顔を赤らめた。
なっ…何て破廉恥な本を抱えてやがるんだこいつは…『魔導的性交技法書』だと?
「ゴホ、ゴホ…。あー、ゴホン。…おいアルル、ちょっとその本を見せてくれないか」
「はあ…やっぱりぼく古代文字は読めないや。いいよ、はい」
そうか、アルルはこの本の内容がわからない…。
シェゾはどこかほっとした気持ちで頁を捲る。
「!」
頁の大部分はそのほとんどが性交の際に役立つ卑猥な魔法テクニックについて記されたものだったが、シェゾは今、自分が最も求めている一文の記述を発見した。
そこには魔法瓶と一組の男女の絵が描かれ、頁の隅には何やら薬の調合について、こと細やかに図入りで解説が為されている。
『▲→♀+♂=♀→←♂』
換体法。
それは一定時間、術者と被術者の肉体を交換するというものだった。
これでアルルの魔導力が手に入るかもしれない…!

小さくガッツポーズをとるシェゾのマントをアルルがくい、と引っ張る。
「ねえねえシェゾ、一体何が書いてあったのよ?」
「ん、そ、それはだな…」
シェゾは努めて爽やかに髪をかきあげた。
「つまり、……変身ごっこだ」
「変身ごっこぉ?」
「そ、そうだ…。一定期間、互いの体を入れ替わって遊ぶ術が記されていた」
実際は、性交者間のマンネリ化防止用性転換魔法なのだが。
「わあ、面白そう!シェゾ、それやってみようよ」
予想に反しアルルが嬉しそうに身を乗り出した。
「へ?…あ、いや、その…ゴホン。………そうだな。たまには自分以外の人間になるっていうのも面白いかもな」
「だよねえ!それじゃあ早速はじめよう?」
「よ、よし。、まずはだな………」
願いが叶う嬉しさから、ついつい口元が緩んでしまう。
シェゾはいつになく穏やかな口調で、順序良く丁寧に術の説明を始めた。

「換体法の持続時間は半日だ。日が暮れる頃には戻って来いよ。俺達互いに魂だけでさ迷うことになるからな」
腰に手を当て、いつもより少々鋭い目つきのアルルが言う。
「うんわかった!」
心持ちあどけない表情のシェゾは瞳をきらきらと輝かせ、跳ねるように洞窟の外へと飛び出していった。
「わあっ、眩しい」
突然の陽光に思わず目を細める。
「よお〜し、いっくぞ〜!」
走る、走る。
ぐんぐんと風を切る肩当にカーバンクルがひしとしがみついている。
うわあ、これがシェゾの体かあ。
ぼくと全然目線が違うよ。
アルルは森を抜け、丘の上から見晴らしの良い景色を一望した。
「うわあ〜、気持ちいいなあ」
アルルは大きく息を吸い、そこに腰を下ろした。
「………………」
瞳を閉じ、夏を運んでくる風を感じる。
耳を澄ませば聞こえる、草の揺れる音と遥か彼方の鳥の声。
そして。
シェゾの肉体を媒体として、古の賢者達の数多の英知が流星の如くアルルの中に流れ込んでくる。
「凄い………」
ぼくの知らない知識がたくさん!
闇の魔法とはいえ、それらから禍禍しい思念はあまり感じられない。
「ほえ〜。シェゾってこんな脳味噌してたんだあ…」
半ば放心状態のアルルのマントをカーバンクルが引っ張る。
「カーくん?どうしたの?」
「ぐっぐー!」
カーバンクルは丘の近くの泉へとアルルを誘った。
「わあ、綺麗な湖!こんなところがあったなんて全然知らなかったよ」
アルルは飛び跳ね、風で揺れる水面に自らの姿を映した。
そこには端正な顔立ちの青年が、美しい銀色の髪をサラサラとなびかせながら真っ直ぐこちらを見つめている。
……黙っていれば、格好いいんだけどなあ。
「………」
ん?
今ぼく、何か間違えたことを考えたかも………?
アルルがううむ、と唸る。
…とりあえず、魔法の試し撃ちでもしてみよう。
アルルはザッ、と地面を鳴らした。
「いっきまーす!」

少し時間の遡る洞窟最深部。
シェゾは駆けるアルルの足音を見送り、フッと笑みをこぼした。
さてと、さっさとアルルの魔導力を頂くとするか。
松明の炎に照らされ、紅く揺れるシェゾが静かに呪文を唱える。
「………?」
何も起こらない…?
シェゾは不思議に思い、再び『魔導的性交技法書』を開いた。
注意深く文書を読み進めるうち、先程は見過ごしていた重要な一文が目に飛び込んだ。
『…その為、術者と被術者の肉体を転換した後、両者の身体機能及び魔導力は各自転換後に所有の肉体に属するものとなる』
「だあーーーーーっ!?」
シェゾは一人ズッコケた。
そうか、つまり今の俺はアルルそのもの、アルルの使えない呪文は唱えても効果がない。
と、いうことは…・・・・・・
「この体じゃ魔導力を吸収できない!!」
シェゾはがっくりと肩を落とした。
「チィ…」
どうする。
とりあえずアルルの帰りを待つしかないか…。
幸い、ここは本だらけの薄暗い洞窟。
今日初めて訪れた場所だが、長年住み慣れた我が家のように居心地がいい。
シェゾは突出した岩肌の一部に腰を下ろし、パチパチと燃える松明の炎をぼんやりと見つめた。
アルルが帰ってくるまでにここの書物を手当たり次第読み漁ってもいいところだが、ふと、シェゾの意識は自身の肉体へと向けられた。
なんだか変な感じだな。
シェゾは両の手の平を眺め、それを閉じたり開いたりする。
小さくて柔らかい、俺のそれとは全然違う………女の子の手だ。
その下の青いスカートからすらりと伸びる白い脚が視線を誘う。
「女、か…」
ひたすらに魔導に明け暮れてきたシェゾのこと、これまで女性に焦がれるような想いを抱いたことはなかった。
女に興味がなかったと言えば嘘になるが、それでも差し迫り逼迫せずに一人夜を過ごしていたのだ。
とはいえ、例えばルルーに会えば、密かにその胸の谷間や脚の曲線を観察していた彼ではあるのだが。
しかし彼のそれは欲情や発情というより、むしろ好奇心に近いものだったかもしれない。
…少なくとも、今までは。

「………」
考えてみれば俺はアルルのことを、一人の女の子というよりは魔導力の塊のようなイメージで追いまわしていたな。
まあ、初めて会った時から可愛い顔をしているとは思っていたが……16にしては、幼い。
シェゾは思い、眼下の少女の肉体を観察した。
まだ子どもの身体だ。
ルルーは幾つだったか……まあアルルとそう大差ないはずだ。
こいつももう2〜3年すればルルーのような体になるのか?
胸がボインと膨らんで尻は丸くプリプリしてくる?
「………」
い、いかん、何だかドキドキしてきた。
股の辺りがムズムズする。
シェゾはゴホンと咳ばらいをして、投げ出していた足を引き寄せてぎゅっと閉じた。
お…俺は゛欲情"しているのか?
ルルーのような女ならまだしも、アルルに?
こんな、こんな、コドモのアルルに…?
大体、こいつの胸なんてあってないようなものだった気がする。
シェゾはちらりと乙の胸元に視線を落とした。
左側は胸当てに隠れていてよく分からないが、右側は確かに膨らみを感じさせる。
りょ、両方比べてみんと……
シェゾは胸当てを外し、そのなだらかな斜面を下から挟み上げるように、両の手の平でそれぞれの膨らみを包んだ。
や…柔らかい!!
な、なんだアイツ、しっかりおっぱいあるじゃないか。
やーらかい、やーらかいぞ!!
「ハァ、ハァ」
ふ、服を脱いで直接触りたい。
シェゾは白いタンクトップを脱ぎ捨て、ワンピース状の青いスカートを捲り上げた。
紅い炎に照らされ輝くように白いショーツが浮かび上がり、少女の可憐な乳房がぷるると顔を出す。
「ゴクンッ」
ち…乳首がピンク色だ!!
先端を指先で挟むとそれはキュウゥと収縮し、少し乱暴に乳房を揉みしだくとシェゾのパンツがジュン…と濡れた。
まずい……まずいまずいまずい!!
これ以上やったらアルルの下着をビショビショに濡らしちまうぞ…!
…いや…・…だがしかし………
………そうか分かった!
シェゾはショーツに指を掛けた。
パンツを脱いで、終わったらまた履けばいいんだ!

「ハァッ…ハァッ…」
純白のショーツを一息に下ろす。
ぅぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーっ!?
こっ…こっ………
これがアルルの●ピ―――――●かあーーーーーーーーーー!!
薄い髪で覆われた少女のそこは、既にトロリと濡れて怪しく輝く。
な、なんて綺麗な●ピ―――――●なんだっ……!!
「ゼイッ…ゼイッ」
一体俺は今までアルルの何を見ていたんだ……!
アルルは……アルルはっ………
めちゃくちゃ食べ頃じゃないか!!
シェゾは改めて思った。
俺は……アルルが………
アルルが欲しーーーーーーーーーーいっ!!
シェゾは脚を左右に大きく開き、じっくりとその部分を観察した。
ああ、元の身体ならこの穴にアイツを入れられるんだが………。
シェゾは首を捻った。
女はどうやって自慰をするんだ?
……アルルもこんなことをしているんだろうか。
そう考えた瞬間、シェゾの秘穴に蜜が満ちるのを感じた。
「ゴクリ…」
とりあえず指でも入れてみるか……?
ズッ……クチュッ……。
柔らかな肉壁がシェゾの指を飲み込む。
「んっ…こうか……?」
クチュッ…クチュクチュクチュクチュ………。
「ク…うぁっ……」
指を包む熱い壁がきつく締め上げてくる。
こんなモンじゃなく俺のを入れたい……。
シェゾは少女の中指を自身のそれに見立て、傷をつけないよう慎重に中を弄る。
ヌップヌッフ…゚グチュグチュ………。
四つん這いになり、角度を変えて快感を深める。
「ハァッ、ハァッ」
うっ…あぁっ……も、もう少しだ……。
もう少しで…俺…は………
「うあっ…!?」
少女の指がGスポットを探り当てた刹那。
「ぐー!」
………………。
シェゾはゴクリと息を飲み、ゆっくりと振り返る。
「かっ、カーバンクル!!」
無表情で笑うカーバンクルの額が紅く輝く。
「ま、まてっ!!これにはふかーーーーーいワケが……!!」
「ぐー!!」
「うわあっ!!」
少女が咄嗟に近くにあった本で顔面をガードする。
見事カーバンクルのビームは命中し、シェゾは恐る恐る眼を開いた。
「だあああっーーーーー!?『魔導的性交技法書』があーーーーー!?」
本は見る影もなく木っ端微塵になり、洞窟に軽やかな足音が響く。
タッタッタッタッ………。
「おーい、カーく〜ん!シェゾ〜!」
「うわあアルルッ!?ふ、服ーーーーーーーーーーっ!!」

数日後。
「あれえ、シェゾじゃない!」
道の途中でまたもやシェゾと遭遇したアルル。
「アッ、アルル……!」
「この間は楽しかったねえ〜!あの本が無くなっちゃったのが残念…また変身したかったなあ」
「………………」
「シェゾ?」
「ア、アルル………。お……お………おまえが……ほ…ほし………ブッーーーーーーーーーー!!!!!」
「シェゾぉ!?」
男は大量の鼻血を噴き出し、バッタリとその場に倒れた。
「………つんつん。シェゾ、だいじょうぶう?」

それからというもの、人々の間でシェゾは益々危険な魔導師として噂されるようになっていた。
「ほら見て奥さん、例の変態よ」
「何でも、若い女の子を追いまわして鼻血を吹きながら『おまえが欲しい』って言うんですって」
「まあ〜」
「いやねぇ〜」

「クッ…・・・・・・!」
―――悔し涙を押し殺しながらオバサン達の話を聞くシェゾは知らない。
シェゾと入れ替わったアルルの中でほんのちょっぴり、彼に対する゛尊敬"の念が生まれていたことを………―――

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