no title
5-208様
「ねえ、まだ物足りないよ。もっと欲しいよ。もっと……」
アルルが、ぽそりと上目遣いで呟いた。
「ねえ、ダメなの、シェゾ……?」
「無理言うなよ」
あくまでもシェゾは冷たく返す。
「さんざん絞り取られて、もう出ねえさ。我慢しな」
「そんな……イヤだよ。シェゾ、まだイケるんじゃないの?」
「ダメだ。もうこれ以上は出すものが無い……」
力なく応える。
「じゃあ、こうすれば……」
アルルが、突如シェゾのモノを指で摘んだ。
「お、おい……やめろよ……」
そして、自分の中に強引に入れたのである。
「あっ……よせ………そんなに締め付けたら……」
「だって、ボクまだ全然満足できないんだもん。もっと頂戴★」
「そんなこと言ったって、もう限界だって」
「ダメ……まだ放さないよ」
アルルが不敵に微笑んだ。
「最後の一滴まで、ボクが、全部絞りだしてアゲル……」
「……そんなにしたって、もう何も出やしないって!」
「そうなのかな?」
アルルが再びシェゾのモノを取り出して、指でもてあそぶ。
「ほら、こう、ここをこう、つまんで、しごいて……」
「お、おい」
シェゾはよく見知ったこの少女の、普段の姿とのギャップに驚いた。
このアルルが、こんなに貪欲に求めるなんて……。
そして最後には、アルルはシェゾのモノを口で刺激するのだ。
「うっ……アルル、歯を立てるのはよせ。ちぎれちまう!!」
「うふふ、ちぎれちゃったら、ボクが飲み込んじゃうよ……!」
「マジかよ、アルル……皮が裂けちまいそうだ……」
「ふふ…………シェゾの、オイシそうな、いい色になってきたよ……」
その瞬間だった。
かちゃっ。
「あはははははははははははははははは……いひひ……あはははははは」
「あっ、サタン……」
「うふ、ふふふふ、いや、はははははははあ、き、君たちいいいひひひいはは、た、楽しいことしてるねえ、へ、へへへへへへへへへへへへへ……」
痙攣したように笑う。笑う。腹の底からこみ上げる哄笑が止まらない。
「何しに来たの?」
「何………………………何しにっ、何しに来たのだと?」
一転、激昂するサタン。角を振りまわし、地団太を踏む。額の血管が切れそうなほどに膨れ上がる。
「おのれっ、おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!! ぐごおおおおおお! 貴様ぁぁぁぁ!!! 我が名を、魔界の貴公子サタンさまと知ってのぉ無礼かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「知ってるよ」
「うぐあぁっ! おおおおおおぅぅぅぅぅぅ……」
今度は号泣。床に突っ伏して、まるで滝のように涙をだくだくと流す。
「うおおおおお………血迷うな、アルル、帰ってこい! ご両親は泣いているぞ!」
泣いているのはサタンである。
「サタン、どうかしたのか?」
おそるおそる訊いてみるシェゾ。
「やあっ、しぇっーぞっくぅーん★ 元気ィ?」
今度は楽しげに手をひらひらと振って見せる。涙がまだあふれているが、口元はだらりと緩んでいる。
二人は背筋に悪寒を感じた。サタンの精神が、ほんのちょっぴりバランスを崩しているのは明らかだった。
「どうしたんだコイツ?」
「さあ……シェゾのティーバッグ一つで紅茶二杯取ったのが、そんなにショックだったのかな?」
「歯まで使って絞ろうとするのは、あさましいってんだよ」
「でも、もったいないじゃない」
「苦くなかったか?」
「ちょっとね」
「……うおおお……おおおお……アルルぅぅぅアルルぅ愛しているぞぉぉぉぉうへへへははははは」
崩壊した魔王が蹌跟とまろびでた部屋で、二人がにこやかに談笑していた。