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1-739様
朝の気配に、シェゾは自然と目を覚ました。
上体を起こし、ゆっくりとのびをする。
肌にひやりとした空気を感じた。
──俺は、裸なのか?
一抹の疑念。が、それもすぐに消えた。
より大きな衝撃によって。
ふわり、と、柔らかでくすぐったくなるような感触が腰に触れた。
ふとみれば、自分のすぐ側でシーツが不自然に──そこに誰かがいるかのように──膨らんでいる。
「ん……」
シーツの中身は愛らしい少女の声で微かに呻いた。
シェゾは腰を引いて、それから身を離そうとした。
と、ベットが軋んだ音を立て、彼女は完全に起きた。
「……シェゾ?」
現れたのは、金の髪、白い肌、そして青い目を持つ、娘。
ウィッチであった。
己が名を呼ばれ、しかしシェゾは返答できなかった。
ぽかんと口を半開きにしていることに、気付いているかどうかも怪しい、
完全に自失しているシェゾの様子に、ウィッチは何の感慨も覚えず、
「おはようございます、シェゾ」
平然と挨拶をした。そして何も身につけていないが為に露わになっている、
白桃のような乳房をむしろ見せつけるようにして、寝乱れた髪を手で掻き上げる。
その仕種は、まだあどけない風情を残している彼女の容姿に不釣り合いな艶めかしさを感じさせた。
思わず唾を飲み込んでしまってから、シェゾはやっと我に帰った。
「おはようございます、ってお前……」
──どうしてここにいる。
そう問いかけねばならないが、この状況は直截に質すには危なっかしすぎるので、
シェゾは口をつぐんだ。
「ねぇ、シェゾ」
ウィッチはシェゾの方を見ずに、髪を一房手に取り、その毛先を見つめながら喋る。
「昨晩のこと、覚えてらっしゃらないのでしょう」
図星を突かれ、シェゾはぐらりとのけぞった。
「な、何を……」
「いえ、いいんですのよ。その方がよろしいですわ、きっと」
シェゾの動揺にもどこ吹く風で、ウィッチは毛先を見、時々一本つまんではぷちりと切る。
枝毛を取っているらしい。
「お前、何を企んでいる!?」
「企むなんて人聞きの悪い」
ウィッチの手から髪がさらさらとこぼれた。
髪は肩甲骨から胸の方へ、蛇が這うように落ちてゆく。
「さぁ、シェゾ。念には念を入れておきましょう」
言うや否や、ウィッチはシェゾの胸中に飛び込んできた。
彼女の手が、指が、自分の腰のものを捕らえようとしたのに、
シェゾはウィッチの肩を掴んで己から引きはがした。
「バカ野郎、何考えている!」
「この状況で、今更紳士を気取っても遅いですわよ」
シェゾとウィッチはしばし睨み合いになった。
「……あぁ、焦れったい。 実力行使の方が早いですわ」
「だからっ、──!」
シェゾの抗議がむなしく響く。
暖かなウィッチの口腔が、朝ゆえに既に屹立していたシェゾの一物を優しくさいなむ。
指先は軽くほぐすように陰嚢を揉む。男が女の乳房を愛撫するように、どこかその触り心地を
楽しんでいるようでもある。
(な、なんでこんな……)
なし崩しにこのような状況に堕ちたシェゾは、心中でそのわだかまりを吐いていた。
ウィッチの長い金髪をごっそり掴んで、止めろという合図のつもりで引っ張る。
それが引き金となって、ウィッチの舌がねっとりと奥へのびていった。
筋張った部分をなぞるように、舌が前後へ動く。
シェゾの意識が股間へ集中する。下肢の感覚を興奮で見失いそうになる。
「や、や、やめんかっ……」
どもりながらも制止の言葉を掛けてみるが、もはや言葉は意味を持たない。
ウィッチは頬の筋肉を使って口腔をすぼめると、頭を振ることで男根を往復させ始めた。
女の中を行き来するに等しい感覚に、シェゾはウィッチの動きに応えてしまいそうになるのを
かろうじてこらえた。
しかし抑えきれずに、掴んだウィッチの髪を引くことで、己の望む感覚をウィッチに伝える。
唾液がウィッチの唇から漏れる度、沼水にはまり込んでいくような音が立つ。
「くっ……」
熱いものが腹から腰に駆けめぐりかけたその瞬間、ウィッチは頭を上げた。
「なっ、今……」
憮然とするシェゾに、ウィッチは嫣然と微笑む。
「だって、わたくしは……?」
ウィッチはそう言って、シェゾの胸板にだらりともたれかかった。
抱き寄せるようにして、ウィッチの背筋からつるりと尻へ手を滑らすと、
「ひゃぁっ、ん……」
ウィッチは嬌声をシェゾの胸にこぼす。
尻の割れ目から更に奥へと手を伝わせ、指を差し入れると、
どろどろに溶けたような場所に行き着いた。
(……くわえてるだけでこうなったってか……)
指先を少し曲げて、充血しているのだろう、ぷにぷにとした弾力感のあるひだをもてあそぶように、
ややゆっくりと、開けた線を辿りつつ、かき回す。
もう片方の手で、乳房を撫でてやる。その先端はぷっくりと固くなっていた。
その固さを確かめるように指で摘んでやると、ウィッチの身体が刺激でわなないた。
「ね、シェゾ……どうしてそんなに焦らすんですの……」
ウィッチは息も絶え絶えに、耳元でシェゾに囁く。
(いいのか?)
と自問しつつも、シェゾはウィッチの下肢を割って、彼女の下に滑り込むようにして突入した。
「あっ……そんな、いきなり全部……」
シェゾの侵入を受けたウィッチの身体がぶるっと震え、膣内はウィッチの戸惑いをそのまま反映して
ぴくぴくと軽めに収縮する。何だかこそばゆい。
シェゾはウィッチの尻をむんずと掴み、一物を奥へ押し込むようにしてウィッチを揺さぶり始めた。
「あん……あっ、もっと、ゆっくり、ゆっくりしてっ……」
ウィッチの懇願も聞き入れられず、シェゾは強引にウィッチの中を往復する。
急激な動きについていけずに、ウィッチの身体は緊張し、それに合わせウィッチの中も
彼女の意志とは関係無しにきりきりと締まっていく。
「やっ……やん、シェゾの、シェゾの、わたくしのなかで……あ、おっきく……」
ウィッチの腰が深く沈む。男根の先端が子宮のむちむちとした壁を叩き、ウィッチは高く鳴いた。
「シェゾっ……もう、わたくし、あっ、来るのっ!? あっ……あー……!」
感極まったウィッチが、身体をシェゾに預けて四肢を突っ張らせる。
シェゾはウィッチをぐっと抱き寄せると、己に根本から食らいついている女の器官に、存分に精を放ってやった。
──かくして、状況は起床直後に戻る。
「……ふぅ、よかったですわよ、シェゾ?」
ウィッチはすっかり上機嫌で、再びシーツにくるまっている。
一方のシェゾは、覚悟を決めていた。
「おい、ウィッチ」
「何ですの、そんな怖い顔なさって」
「昨晩、俺とどんな取引をしたというんだ!?」
「あら、取引なんて……」
「とぼけるなっ!」
恥も外聞もプライドもなく、シェゾはウィッチに食ってかかった。
ウィッチは嘆息してから、おもむろに話し出した。
「……被験体が欲しいんですの」
「魔導の実験のか?」
「そうですわ、魔力の強い赤子が欲しくて……。
それを話したら、シェゾが協力してくださるって……
だいぶ、酔ってらしたけれどね」
シェゾの頭の中は真っ白になった。
頭髪が元々白いものであったのは救いと言えようか。
「……そ、それじゃ、お前、実験のために、子作りを……?」
「でなければ、こんなことしませんわよ」
「そ、そんなこと、人道的、道義的、道徳的に──許されんっ!」
「自分のことを棚に上げてよく言いますわね、闇の魔導師様?」
「とにかく、だめだっっっ!」
「でも、昨日と今とで、計五回は……」
「何だと?」
「まぁ、それはさておき。認知しろとか面倒なことは言いませんわよ。
今のでわたくし疲れましたわ……もう一眠り、お休みなさい……」
「こ、こらウィッチ、寝るなーッ!」