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4-375様

ハーピーはなによりも歌が好きだった。
でも、自分がいわゆる音痴であることに気づき始めていた。
「うまくなりたいな…」
今日もひとり森の奥深くで練習するハーピー。
その姿はまるで森に舞い降りた天使。
その歌声はまるで悪魔のおたけび。
「うまくなりたいなあ…」

ある日ハーピーは森に向かう途中、ラグナスに会った。
「よう、ハーピー」
「あ〜、ラグナスさん、こんにちは〜。
今日はどちらへ?」
「なんかサリコの町に魔物がでたらしいんだよ。
まあ2週間くらいで帰ってこれるかな。」
「そうですか〜。気をつけて下さいね」
「ありがと。ハーピーはどこにいくの?」
「私は…森に…」
「森?何しに?」
(どうしよう…音痴なのにわざわざ歌いにいくなんて笑われちゃう…)
「えっと…あっ!」
突然強い風が吹き、ハーピーの手の中の楽譜を空にまいあげた。
「おっと。」
瞬間、ラグナスがキャッチ。
「あ…ありがとうございます…」
「楽譜?」
「は…はい〜…」
(うわ〜うわ〜見られちゃったよ〜!)
うつむいて赤面するハーピーをよそにラグナスは楽譜を見つめる。
「『ジュ・トゥ・ヴ』か…俺この曲好き」
その言葉にハーピーが顔をあげると…ラグナスはよくとおる声で歌い始めた。
軽快な3拍子にラグナスのさわやかで甘い声。
思わずハーピーは聞き入ってしまった。

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