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6-17様

「…ふう……」
自宅で一眠りしようと、到着するや否やベッドに飛びこんだウィッチは、その両手に抱えたものを見て溜め息を吐いた。
相変わらず異常に膨張した太陽のキツい日差しは寝室をサウナにしたまま、一向に気温が下がる気配がない。
弱めのアイスストームで冷やしたベッドは外の日差しと中の気温で火照った体には心地よかった。
「………」
再び両手で抱えているものを見て、ウィッチは考える。
(…どうしてこんなものを欲しがったんでしょう…。)

それは少し前に遡る。
木陰で涼しい風にあたりながらの心地よいお昼寝タイム。普段何かと暗躍することの多いウィッチにとって、
このお昼寝タイムは至福の時だった。だが、今日のお昼寝タイムは通りがかったアルルによって妨げられることになる。
自分の寝相の悪さが原因とはいえ、そんなことは露ほども知らないウィッチが、腹いせのためのターゲットにしたのが
アルルと同じく通りがかったシェゾだった。
「あなたのその白い服が欲しいだけですわ!」
結果、猛暑で半ばグロッキー状態のシェゾを打ち倒し、見事シェゾの服を奪い取った。
半裸のまま転がしておいたシェゾは慈悲で近くの草むらに隠しておいてやったが、その後は知らない。
そして、現在に至る。

ウィッチはベッドに寝転がりながら奪い取った白い服をひっくり返したりしながら隅々まで眺めていた。
(…ホント、どうしてこんなものを………)
ウィッチとシェゾじゃ身長、体重も全然違うし、体形も違う。その上男物ときた。
着れば丈が余り、松の廊下の如く裾を引きずって歩くことになるのは目に見えている。
着まわしが聞かないどころか全く着れない服を、ウィッチは奪い取ってしまったことになる。

そんなことは最初からわかっていたはずである。
しかし、あの時ハッキリと「服が欲しい」と言ったのも事実だし、
背徳感を感じながらも嬉々としてシェゾの服を剥いだのもまた事実。
しかし、今思えば何でそんな事をしたのかサッパリわからない。
そう思うと、本当に欲しかったのは何だったのかよくわからないが、
とりあえず一時の気の迷いであるとしか今のウィッチには言いようがなかった。
折角なので、掛け布団代わりにでもさせてもらおうと、肩のアーマーを放り投げ、戦利品である白い服を
自らの上に乗せ、ウィッチは眠りにつこうとする。

それから一時間ほど経つが、ウィッチは眠れなかった。
掛け布団の替わりとして掛けているシェゾの服。服に残ったシェゾの残り香がしきりにウィッチの鼻腔を刺激する。
薬品科学に通じているウィッチは、それが特別な香りでもなんでもない、ただのシェゾの残り香であることは理解していたが、
その香りを吸いこむ度にウィッチは胸が高鳴り、たかが数枚の布でもまるで誰かに圧し掛かられたかのような錯覚に陥る。
不思議と不快ではないその感覚で、ウィッチの目は完全に冴えてしまいもはや眠るどころではなかった。

ウィッチの体が少しずつ火照り始める。ウィッチはその火照りの正体がわからぬまま、
服をぎゅうっと抱きしめ、その残り香を深く、体が求めるままに何度も吸い込んだ。

「ぁふ……いい匂い……」

その香りを吸う度に、心臓が飛び出しそうなほど拍動し、血液が全身にめぐり、体の奥が熱くなる。
羞恥心と背徳感も重なって、ウィッチの体は徐々に昂ぶっていった。
女性の嗜みとして薄く引いていた口紅が顔と密着させた服のあちこちについていく。
麻薬のように広がったそれは、残っていたウィッチの理性を完膚なきまでに破壊し、火照りの正体と、
本当に欲しかったものを自覚させることとなる。


「はぁっ………」
服を手繰り寄せ、その袖をつかんで自らの胸に当てる。
服の袖を介して、ウィッチの手が自らの乳房を覆う形だ。
この手は自分のではなく、シェゾの手。シェゾがウィッチを求め、ウィッチの乳房をつかんだ。
突拍子もない妄想に過ぎないが、服の残り香を吸うと、鮮明にイメージが浮かび上がる。
「シェゾさん………ぁ……」
最初はやさしく、ゆっくりと。
徐々に激しく揉み解して、服を介してもわかるほど硬くなった乳首を焦らすようにつまむ。
「あぅん…っ!」

『シェゾ』はウィッチを良く知っていた。どうすればウィッチが悦ぶか、どこが感じるか。
ウィッチが悦ぶように、もう片方の袖をつかんで『シェゾ』の手と化したウィッチの手は空いていた乳房をこねるように揉み解し始める。
「ぁ……はぁ……はぁっ…!」
焦らすように、焦らすように『シェゾ』の手はウィッチの胸ばかりを刺激する。
ウィッチが我慢できなくなるまで、焦らしつづけた。
これが普段の行為なら、最初からスカートの中まで責め始めるのに、今日のウィッチは胸だけでもかなり興奮していた。
(……シェゾさんが、いけないのですわ……)

尚も、『シェゾ』はウィッチの胸を的確に、激しく責める。
(も…もう……シェゾさん……)
脳内で指令を与えると、『シェゾ』は一旦作業を止めてウィッチから離れる。
ウィッチから離れて動力を失ったシェゾの服に、ウィッチがそのまま覆い被さり、着ていれば胸のあたりになるであろう部分に何度も何度もキスをした。
エサをついばむ鳥のように、唇を押し付け、舌で舐める。
先ほどの印と合わせて、ついた口紅のキスマークは既に数え切れない。

一通りキスを済ませると、また袖をつかみ、ゆっくりとウィッチのスカートの中へと手を侵入させた。
袖を介する前に、一度自分で触ってみると、自分でも驚くほど下着が濡れているのが確認できる。
「ぅう〜……」
それをこれから『シェゾ』に触られると思うと、ウィッチは急に恥ずかしくなってきた。
誰にも見せたことのない、自分しか触ったことのない秘密の場所。
『シェゾ』に嫌われないだろうか、などと、普通に考えて脳内の『シェゾ』に嫌われるはずもないのだから、
そんなありもしないことを考えるのは残り香がウィッチを惑わせている所為である。

…とにかく、ここでやめるにはあまりにも辛過ぎる。生殺し。

そう考えたウィッチは、医を決して『シェゾ』の手をスカートの中に潜りこませた。
いつも自分でやるように、秘部を下着の上からゆっくりと撫でる。
「ひゃぅっ……」
やっていることはいつもと同じなのに、そのいつもの数倍の刺激がウィッチを襲った。
袖を介していても溢れんばかりに濡れてくるのがわかる。
「はぁ……はっぁ……っ」

スカートをたくし上げ、濡れた純白のショーツを脱ぎ捨てる。
そのままウィッチは『シェゾ』の指を自らの中に突き刺した。
「あっ…はぁっ!」
袖に愛液が染み込み、本体であるウィッチの指まで濡れてくる感覚があった。
「はっ…シェ……ぞさ…ん……!!」
胎内がいつも以上に乱暴に掻き回される。普段なら痛みすら伴うはずだが、今のウィッチには快感しか与えない。
「あっ…ぁぁ……ぅ、ん……あんっ……」
「だ…メェ………いっ……くぅ…!」
部屋の中では淫らな水音と、か細い喘ぎ声しか聞こえない。

「あっ!ぁあぁぅっ!!…い、っちゃう………きゃぅんっ!!」
絶頂を迎えたウィッチが小刻みに震えたかと思うと、そのままぐったりと倒れこんでしまった。

「はぁ………はぁ………」
もはや魔法で冷やしたはずのベッドも、その役割を果たせないほどの熱気が寝室に篭っている。
熱気の元は未だまぶしい日差しか、ウィッチそのものか。
部屋に篭る愛液の甘い匂いと、脱ぎ捨てられたショーツ。そして彼女に抱きしめられた服がその答えを知る。

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