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6-377様

 まぁったく、アルルさんにはほとほと困りましたわ!
 昨日はわたくしの実験に付き合っていただいたのですが、カーバンクルさんは実験に必要な材料を召し上がりますし、アルルさんは調合する材料を間違えてしまいますし。
 高価なものばかりでしたのに材料と時間が無駄になってしまいましたわ!
 昨日使った材料は、アルルさんも魔導師を目指している以上は知ってて当然のものでしたのに……!
 そこでわたくしは、今日カーバンクルさんにはお留守番していただくということで、アルルさんを自宅にお呼びすることにいたしましたの。
「ウィッチぃ〜、こんにちはぁ!」
「おいっす。よくいらっしゃいましたわね」
「昨日はホント、ゴメンね!高価なもの無駄にしちゃって……。ボクにできることならなんでもするから許してよ」
「……じゃぁ、そのことは後ほどお話させていただくことにしまして、どうぞおあがりくださいな」
「おじゃましまぁ〜す……」
 アルルさんには先にお部屋に上がってもらいましてお茶の用意をしていますと、アルルさんの声が聞こえてきましたわ。
「昨日のお詫びに、ボク、ケーキを焼いてきたんだ」
「まぁ。気が利きますわね。ありがたくいただきますわ。今、お茶の用意をしていますので、しばらくお待ちくださいまし」
 まぁ常套手段ですけど、アルルさんのことですから何の疑いもなく飲まれるでしょう。
 わたくしはアルルさんのお茶に睡眠薬を混ぜて差し出すことにいたしました。
「なかなかおいしそうじゃありませんこと?」
「でしょ?ボクのケーキ、カーくんも気に入ってくれてよく食べるんだよ!」
 そんな話をしながら、わたくしはアルルさんに改めて伺ってみました。
「で、先ほど、何でもするとおっしゃいましたけど、それは信じさせていただいてもよろしいのかしら?」
「う…うん……」
 アルルさんはお茶を飲みながらちょっと怯えながら肯定の返事をされました。
 これで、準備は全て整いましたわ☆

「ちょっ、ちょっとぉっ!ウィッチぃ、またボクに睡眠薬飲ませたねっ!?」
 ウィッチのお茶を飲んで意識がなくなったボクは、目を覚ましてびっくりというか……またかというか……もうほとんど諦め状態だったりする。
 だけど、目を覚ましたときのボクの状態はいつもと違った。天井の梁に打たれた鉤から伸びた縄がボクの両腕を拘束し、ウィッチの広い実験室の真ん中あたりでばんざいの格好をさせられていたんだ。
 しかも…、ボクはブラジャーだけ着けて上半身の衣服を全て脱がされてる!下半身はスカートとパンツをはいてるけど、ボクの顔がカァ〜っと熱くなってくる。
「だぁいじょうぶ、ですわ☆」
「な、なにが大丈夫なんだよ!」
 ウィッチが大丈夫といって、大丈夫だったためしがないじゃないかぁ。
「そんなにお顔を赤らめなくてもよろしいじゃないですの?女の子同士じゃありませんこと?」
「そうは言っても…でもこんなの、いつもと違うよ!」
「昨日の損害も、いつもとちょっと違いましたもので……。でも今回は、危険なモンスターがうろつくダンジョン探索がご趣味のアルルさんには気に入っていただけると思いますわよ」
「ど、どういうこと?」
「この薬は犬顎菊を主原料といたしまして、おおよそ2時間、被験者の魔導力を触媒として傷を負うと自動的に治癒する(…ハズ)というものですわ」
 ダンジョンの中で2時間もうろうろしてたらかなりの数の魔物と出会うし、その間に負った傷をヒーリングで治していたら結構な魔導力を使うことになる。
「魔導力はあくまで触媒ですので、一切消費するのではないというところが画期的なんですわよ」
「ほ、ホントにぃ〜?」
 やっぱり半信半疑だけど、それがホントなら確かにスッゴク便利だ。

 アルルさんのお顔がほころびましたわ。これで今回は、お人よしのアルルさんに薬を飲ませるのが簡単になりますわ。もっとも、拒否されても手を拘束されてる状況ですから、鼻をつまんでお口に流し込むだけですけど。
「本当かどうか、それをアルルさんで確かめるのですわ。先ほど、できることなら何でもする、とおっしゃいましたわよね?」
「た、確かにそう言ったけど……」
「アルルさんの良質で甚大な魔導力なら、さぞかしいいデータが取れると思いますわ」
「で、それがなんでボクをこんな格好にする必要があるわけ?」
「それは、薬を飲んでからご説明いたしますわ」
 アルルさんのほころんだお顔が、またちょっと怪訝そうなお顔になりましたわ。見ていて面白いですわね。でも、これからもっと楽しませていただきますわよ。
「わ、わかったよ」
 アルルさんは素直にわたくしの薬を飲み干されましたわ。今から大体2時間……といった所ですわね。
「……確かに犬顎菊の風味……、なんだか身体が温かくなってきたよ。で、ボクをこんな格好にするわけは?」
「お気づきになりませんの?さっき言いましたわよね、傷を治癒する薬が成功か、アルルさんで実験するって……」
「え…?」
 まだ気づかれないご様子。怪訝そうなお顔がさらにキョトンとした表情になりましたわ。本当に見ていて飽きませんわ。
「つまり、傷が治癒されるかどうか確かめるためには……アルルさんに怪我してもらうしかありませんの」
「えええぇぇぇぇ――――っっ!??」
 驚愕の表情もかわいらしいですわ。そのお顔が苦痛に歪む様子……想像しただけでたまりませんわぁ☆

「ま、ま、待ってよ!ボク、そんなの嫌だよ」
「大丈夫ですわ。傷は全て治る…ハ・ズ!ですわ☆」
「治るハズって、ちょっとぉ!」
 そう言ってウィッチはボクに近づき、ボクのブラジャーに手をかける。
「ちょちょちょ、ちょっとぉっ!!?」
「もしアルルさんのブラジャーを破きでもしたら大変ですから、これも脱がさせていただきますわよ」
 ボクは、いやいやと叫びながら必死に抵抗するけど、ウィッチはささっと外してしまった。ま、まさか、この次は……。
「もちろん、下半身も脱いでいただきますわ」
「やだ、やめてよ!」
 足は自由にされてるからボクは渾身の力をこめて足をじたばたさせる。
「暴れますと、お仕置きで予定よりもっと痛い目にあわせますわよ!」
「うぅっ……」
 ボクは目じりに涙を浮かべ、ウィッチのなすがままにスカートを脱がされた。そして次は……。
「!!」
 ウィッチの手がパンツをつかむ。ボクの顔は耳の方までますます熱くなるけど、黙って俯き、恥ずかしさに耐える。
「もう、これで全裸だというのに、最後の抵抗はなさらないんですのね」
「イヤって言っても……やめてくれないんでしょ?」
「そのとおり、ですわ」

 わたくしの目の前に、恥ずかしそうな、悔しそうなお顔でばんざいをさせられたポーズの全裸のアルルさんがいますわ。いよいよですわね……。
 ひどく怯えた表情のアルルさんの後ろに回り、わたくしはひとつの道具を持ってアルルさんの前に戻りますと、その道具を見てアルルさんの表情はますます恐怖の色に染まりましたわ。
 わたくしとの会話に気をとられ、ご自身の後ろに何が置かれているか、まったく気づいてなかったんですもの、仕方ありませんわね。もっとも、それもわたくしが狙っていたことですけど。
「そ……それ………」
 あらあら、恐怖のあまり、まともな文章もしゃべれなくなってしまいましたわ。
「ご覧のとおり、ム・チ、ですわよ」
 サキュバスさんにお借りした道具の一つ、革の鞭を使いますの。
「それを……ボクに……?」
「それ以外にどうするというんですのっ!?」
 ビシィッ!
「ああっっ!!」
 たった一振るいで、みるみるうちにアルルさんのお腹に真っ赤な蚯蚓腫れが浮き出てきましたわ。
 アルルさんの左胸!
 ビシィッ!
「きゃああっっ!!」
 右胸!
 バシィッ!
「いたいぃぃっっ!!」
 アルルさんの体中から脂汗がみるみる吹き出て、アルルさんが耐えている痛みのすごさがわたくしにも感じられますわ。
 さらに…右の太もも!そして左!
 バシィィッ!!ビシィィッ!!
「いたいいいぃぃっっ!!いやあああぁぁっっ!!」
 わたくしが次々とアルルさんの身体を鞭打つと、アルルさんは苦痛に歪んだ顔をして、想像以上にかわいらしい表情を見せ、お顔に似合ったかわいらしい鳴き声を上げ続け……、ますますわたくしの加虐心を刺激しますわぁ☆

「やめてっ、もおっ、やめてよぉっ!」
「では、そろそろ薬の効果も確かめたいですし、手を休めてあげますわ」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ………!!」
 ボクは全身のめちゃくちゃな鞭の痛みに息が上がり、汗が蒸発して身体から湯気が立ち上るっ!
 耐えるのに必死で目も開けることができない激痛に、足腰の力は抜け、ボクは天井から吊るされてるロープに全体重を任せてがっくりとうな垂れた……。
 ヒドイッ、ヒドイよっ!!
 ……と、そのとき!
「あ、あれ……?」
 自分でも驚いたことに、だんだん痛みが引いてきて、心の落ち着きを取り戻したボクが目を開けると、体中に刻み込まれていた鞭の痕も、きれいさっぱりなくなっていたんだ!
「やった、やりましたわ!大成功ですわよ!!」
「す…すごいよ、ウィッチ……」
 ちょっと、やり方が許せないけど、ホントにすごい。魔導力も全然減ってないよ。悔しいけど、これはダンジョン探索には欠かせなくなりそうだよ。
「珍しく成功だね、ウィッチ!」
 ビシィッッ!!
「あぐぅぅっ!…い、い、痛いよっ!」
「珍しく、は余計ですわ」
 だって、本当のことじゃないか……と思ったけど、口には出さないでおく。
「薬の効果が確認できたんだからさ、ボクの縄を解いてよ」
「ダ・メ・ですわ☆」
「なっ、なんでよぉっ!」
「薬の効果は2時間と、最初に申し上げましたでしょう?」
「えぇーっ?ま、まさか……」

 昨日の失態のお仕置きも含めて、そう簡単には許しませんわよ。
「その、ま・さ・か、ですわ」
「もう、ボクやだよっ!ファイヤーッ!!……あ、あれ?」
 アルルさんは耐えかねて魔法を使おうとしましたけど、アルルさんを縛ってる縄は魔法を封じるもの。
「魔導師のアルルさんを捕らえるのに、魔法を封じるのは当然じゃありませんこと?」
 ふふふっ、魔法を封じられたアルルさんにこの状態から逃れるすべはありませんわ!
「最初に、なんでもする、とおっしゃいましたのにその態度……お仕置きが必要かしらね」
「あ〜ん、あんなこと、言わなきゃよかったぁ!」
「それにその薬、今のアルルさんのように魔法を封じられていても、魔導力を触媒とする薬はちゃぁんと有効というこのと証明にもなりましたし、ダンジョン内でそのようなトラップがあっても使えるでしょう?」
「そ、そうかもしれないけど、もう……」
 なす術のないアルルさんは、ほほを膨らませてふくれっ面になってしまいましたわ。ほーっほっほっほ。それじゃ、いっきますわよぉ〜☆
 バシッ!ビシッ!!
「きゃあああっっ!!ひいいいいっっ!!やだぁ―――っ!もう、やだよぉ――――っ!!」
 ひとしきり打っては痕は治り、また鞭で叩いてはアルルさんの悲鳴を堪能させていただく……。マンドレイクと悲鳴合戦なんてものをやってみても面白いかもしれませんわ。
 わたくしの薬は完璧で、ついさっきまであちこちに腫れを作って泣き顔で許しを請い続けていたアルルさんも、今はもう完治されて次のお仕置きを待っている状態ですわ。
「やぁっぱり、わたくしの薬は完璧ですわぁ☆今度、わたくしのお手伝いなさるときまでに、間違えないようにお勉強なさいまし!」
 ビシィッ!バシィッ!
「やああぁぁっ!ゴメンなさいっ!うあああぁぁぁんっっ!!」
 それからさらに30分が経過し、鞭を打つわたくしの方も疲れてまいりましたわ。
「ね、ねぇ、もう疲れたんでしょ?許してよ。もうボク、散々お仕置きされたじゃない。昨日のことは許してぇ……」
「仕方ありませんわね……許して差し上げますわ!」
 ま、楽しませてもいただきましたし、お仕置きと実験とで一石三鳥でしたわね。

 や…やったぁぁ〜……。
「ほ、ホントっ!?あ、ありがと……」
 体の痛みはもう全然なくなったけど、鞭で打たれるたびに全身に力が入って、声の限りに叫び続けて、ボク、もう疲れたよ……。
「今から縄を解きますけど……」
「分かってるよぉ。昨日はボクが悪かったんだし。それにボクもう疲れちゃって、魔法使う気分じゃないよ……」
「ま、さすがにちょっと可哀想ですから、あの薬、とってもお高いですけど一瓶差し上げますわ」
 そう言いながらウィッチはボクの縄を解いた。
「ホント?じゃ、ありがたくもらってくね!」
 今日はヒドイ目にあったけど、確かにこれは使えるよ。
 ……と思ったんだけど、その夜、ご飯も食べ終わって寝ようかというそのときだった。
「いっ、痛いぃぃっっ!!痛いっ!痛いよぉぉぉ〜っっ!!」
 突然、体中が鞭で打たれてるようなとんでもない痛みが襲ってきた!!く、薬の副作用っ!?やっぱり失敗作じゃないかぁぁ〜っ!
「い・た・いぃぃぃ〜っ!!うぅぅぅああああああぁぁぁぁぁっっ!!」
「ぐぅ!ぐっぐー!」
 ボ、ボクのことうるさいって……。確かにボクたち、寝るところだったけど。
「ゴッ、ゴメン、カーくん!だっ、だ…け…ど…この…痛み……うぅぅぅぐうううぅぅぅぅっっ!!」
 悲鳴を上げないように歯を食いしばって耐えるけど、変わらないくらいの呻き声が出ちゃう……!
「ぐぅ!ぐーぅ!」
「ぅぅぅぅ…ぐぅぁぁ…ゴメ…ン……ぅぅぅぅ…だ、ダメェェ!あぁぁっぐぅぅぅぅ……!」
 激痛を耐えようとするボクの全身からも、おびただしい量の汗が吹き出てびっしょりになる……!
 ヒーリングかけても、なにしても治まらない!昼間受けた痛みだけがそっくり復活したみたいだ!もぅぅぅっ、ウィッチったらぁぁっっ!!!
 激痛に耐えながら必死にウィッチのうちまで行って叩き起こし、解毒薬ができるまで丸1日、ボクは死にそうな痛みに悶え苦しみ続けた……。

 本当は、解毒薬はすぐにできたんですけど、アルルさんの苦しむお姿を堪能するために、わざとできていないフリをしていたのはアルルさんには内緒ですわ。
 ですが…解毒薬もお高いものになってしまいましたし、売り物にはなりませんわ。だぁ〜めだコリャ。

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