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6-475様
さらりと雪が降り注ぎ、ライトアップされたツリーに積もっていく。
【クリスマス】世界中の人々にとって、回避することの難しい行事の一つである。
「どうだね、ルル−よ。我ながら良い案だと思うが。」
「もちろん素晴らしいですわ!サタン様…!!」
サタンの塔の最上階。二人は今年のクリスマスパーティ−の計画を練っていた。「しかし、少々地味だろうか…?」
ぶつくさ思考するサタンの横で、ルルーは乙女の瞳をフルに稼働させていた。
(はぁ…ス・テ・キ早cサタン様、いつも【アルル、アルル】とおっしゃるけれど、今は二人きり・・・早j
もちろん妄想、全開である。
そんなハート型の瞳が自分に向けられているのにもかかわらず、サタンの頭の中はただパーティーの計画で占められていた。
(去年とは違った…しかし、それだけでは面白みに欠ける…フム…)
今年は雪を降らせ【ホワイト・クリスマス】にするらしい。
ロマンチックなのだがどうやら彼は【降らせる雪の量】について思考しているようだ。
「よしっ!やはり後の正月のことも考慮して盛大に降らせようではないか!!」サタンはどこからか水晶玉を取出し魔力を集中させた。
窓の外の気配が変わる。先程は軽めに降り注いでいた雪が今は【しんしんと】降り積もっていく。すでに雪だるまくらいなら作るのもたやすい量であろう。
「どうだ、ルルーよ!…アルルは喜んでくれるだろうか?」
「素晴らしいで…………ア・ル・ル・・・ですってぇ?」
サタンの一言に、それまでハート型になっていた瞳に嫉妬の火種がついた。しかしそれにも気が付かず、サタンはなおも言葉を続けた。
「ああ、アルルは将来私の妃になる娘だからな。妃を喜ばせるのも夫のつとめ………」
そこまで言って、ようやくルルーの変化に気が付いた。
「ル、ルルー……???」
「サ・タ・ン・サ・マ・・?」
少女漫画の世界なら確実に花でも背負ってるであろう溢れんばかりの笑顔を貼りつけサタンに詰め寄ルルー。筋肉のついたしなやかな腕に血管が浮き出、ポキポキと不吉な音が鳴る。
「まっ待てっっ!!落ち着け…!!話せば、な。話せば……!!!」
サタンの塔から悲痛な叫び声と共に雪の降り方が激しくなった。