no title
続き誰か頼む様
む…無念だ。」
シェゾは地に突っ伏し悔しげに呟いた。先程まで戦っていた相手、アルルの姿はもうない。
《アルル・ナジャ》その身に計り知れない魔導力を秘めた少女。シェゾの獲物である。
…まぁ、以前は純粋に力のみを狙っていたのだが最近は…
「アルル…欲しい……」
魔導士としての経験ならシェゾの方が断然上だった。アルルは魔導士見習い、シェゾはかの有名な《闇の魔導士》である。実力の差は歴然…なのに。
「…また、負けたの。」
「!?」
背後から声を掛けられ振り向くと、先程シェゾが勝負を仕掛けた少女が立っていた。
正確に言えば、少女の偽物だが。
「ドッペル…ゲンガーか。」
「そう。」
ちっ、シェゾは内心舌打ちをした。どうも自分はこの娘がニガテだ。…あの少女に似ている、ということもあるがあの瞳。すべてを混沌へと引きずりこもうとする強さがある。見透かされている気になるのだ。
「…いつまで続けるつもり?」
フフ、Dアルルは鼻で嗤う。
「…何がだ。」
「とぼけるつもり?…無駄だよ。」
シェゾとDアルルの間合いが一気に詰まる。肩に触れるDアルルの手、吐息の交じりあう距離。
シェゾは本能で危険を察知する、が。
「キミはボクのコトが…」
触れ合う唇。恐ろしいほど冷たく感じられた。
「…何を。」
動揺してはいけない。シェゾは自分の唇を拭う。本当は気付いている、自分の奥底に眠る想いなど。しかし、ソレを知られるわけにはいかない。偽物とはいえ、この少女には。
「欲しいんでしょう?ボクが…いや、オリジナルのボクが。」
首に絡む細い腕。すっと細められた瞳。背中を冷たい汗が流れる。
「…協力しようか。」
再びシェゾの口唇は冷たく覆われた。
こちらは鬱蒼とした森の奥深く。
「…たくっ、シェゾってばなんであんなに毎回毎回×・・!!挑んで来るんだろうね?」
散歩中に絡んできたシェゾをあっさりと倒し、再び歩きだしたアルル、とカーバンクル。
大いに気分を害されたため、些か周りの景色が変わっていることに気付くのが遅れた。
「あれっ・・・ここって・・・」
多少時間を喰っていたとしても今は正午。天気が晴れから曇りに変わったとしてもあまりにも暗すぎる。
(まっ…まさか…)
そう。アルルは知らず知らずのうちに迷子になっていた。
「あぁ〜っ!!!こ−なったのもみぃ〜んなあのヘンタイのせいだっ!!」
今度会ったらタダじゃおかないぞ!・・そう心に秘め、とりあえず元来た…と思われる方向へと足を向けた。
がさり、
「・・・!誰っ!?」
近くで草木を踏み締める音がする。アルルは咄嗟に構えた。
がさり、がさり、
徐々に近づいて大きくなる音。
「・・・ア、ル、ル。」
「シェ、シェゾぉ!?」
現われたのは先程のした相手、シェゾだった。
「おっ、脅かさないでよね!・・・て、キミもほんっっとしつこいよね!」
心細かった所へ見知った顔が現われ一先ずこっそり胸を撫で下ろした。
うまくやればココから出られるだろう、そんな事を考えながら。
「・・アルル、欲しい・・」
「シェゾ?」
なんだか様子が違う?そう思った時はすでに遅く、アルルの意識は途切れた。
(…いたた・・・ココ、は?)
アルルをぐるりと囲む石の壁。どこかの洞窟のようだった。
「何でこんな所に・・?」
辺りを見回しても特に変わった様子はない。
「はっ・・・カーくん?カーくんっ?」
アルルは小さな友人が居ないことに気付き名を呼んだ。しかし返事はない。
(どこ、いっちゃったんだろう・・・)
身体を起こし立ち上がろうとした、が、足に力が入らずにその場に崩れた。
「なに…これ…」
意識はしっかりとある。頭や手、脚だってある程度自由に動かせる・・・なのに。
「・・目が・・覚めたよう・・だな・・」
「シェゾ!?一体どういうつもりだよっ!!」
いつのまにかそこに立っていたシェゾに向かい声を荒げる。・・不可解な原因はこのヘンタイにある、そう確信して。
「お前が・・欲しい・・」様子がおかしい?彼が一方的に話を進める…なんて事はザラにある。しかし、今はいつも以上にヘンだ。アルルは本能で身の危険を感じ取った。
「シェ、シェゾ…?どうしちゃったの?ねえっ!」
じりじり近づいてくるシェゾ。動けるのに逃げられない。わけのわからぬ恐怖がアルルを襲う。
「ぃやだっ!来ないでよ!!・・・この、ヘンタイっっっ!!」
ぴく、
一瞬だけシェゾの動きが止まる・・しかしまた、何事もなかったかのように近づいてくる。
(…やだっ…こわいっ…!!)
シェゾの手がアルルの肩に触れる、咄嗟にアルルは目をつぶった。
「フフ、キミらしくないね・・・」
女の子の声がする。アルルは弾かれたように目を開けた。
(この…声……は…?)
どこか聞き覚えのある声。しかし、心当たりはない。
「違うか・・ボク、らしくない…かな」
シェゾの肩ごしに見える人物。揺れるマント、茶色い髪の毛。
「キミ・・・は・・誰っ!?」
「フフ、おかしな事を聞く・・・ボクは、キミ、だよ」
アルルの瞳にうつる人物、色は違えどソレはまさにアルルそのもの・・だった。
「キミがボク!?・・どういうこと!?」
まるで鏡のような存在の出現に激しく混乱する脳。アルルは必死に身をよじり彼女に詰め寄ろうとするが。
「どうでもいいよ・・それより、キミも楽しもう?」
アルルの華奢な身体はシェゾの腕の中へ閉じ込められた。
「シェゾっ!どうしちゃったの!?・・・ボクを・・・見てよっ!!」
アルルを見ているようで何も写してはいない、混沌と濁った瞳がアルルを見つめる。
淡々と脱がされ顕になる白い肌。
「アルル・・俺の・・モノに・・・」
「いやだっ!シェゾっ!!正気に戻ってよっっっ」
アルルの叫びが辺りに虚しくこだまする。
「無駄、だよ・・」
三日月型に歪んだ、自分にそっくりな瞳。アルルは不気味さに一瞬怯む。
「シェゾ、シェゾっ!キミが欲しいのはボクの【魔導力】じゃなかったの!?」ぴく、
また動きを止めるシェゾ。「・・・うるさいよ・」
「…んぅ!?」
突破口を見いだした気がした。しかしそれはアルルのドッペルゲンガーの口付けによって塞がれた。
「んくっ…ふっ…んんっ!」
(なん、で・・こん、な)
自分に口腔内を犯される。シェゾは舌先で全身をなぞりアルルの身体を撫で回す。動かせるのに抵抗出来ない身体。次第にアルルの思考は霞みがかってきた。
ちゅぽん…
「気持ちいい・・?」
D-アルルは唇を離しアルルに尋ねる。D-アルルの口元から滴れる二人の唾液。
「まさ・・きゃうっ!!」
否定の言葉はシェゾによって遮られた。
固くなった胸の飾りがシェゾの舌の上で踊る。足の爪先にかけツンツンと微弱電流が走る。再び塞がれる唇。アルルの上半身は確実に快楽へと引きずりこまれていた。
(なんか・・へん、だ)
腰から下、身体の芯が疼き始めた。
(熱っい、よう、、)
執拗に責め立てられる胸の突起、絡み付く舌。しかし一向に触れられる事の無い下腹部、その、秘部。
アルルは無意識に腰を揺らした。
「フフ、どうしたの・・?」
耳元でD-アルルが囁く。
「・・コレが欲しい?」
D-アルルは虚ろな眼をしたシェゾのズボンに手を掛けると一気に引きおろしアルルの目の前にソレを晒す。
「ひっ・・・!」
初めて見る、その何とも言い難いグロテスクさにアルルの身が縮こまる。
テラテラと透明な液を先端から滴らせひくひく波打つシェゾのモノ。D-アルルはアルルに見せ付けるかのようにゆっくりと口に含んだ。ねっとりとした卑猥な水音はアルルの耳を犯す。
「・・くっ・・」
快感に漏れるシェゾの声。いやらしく歪んだD-アルルの顔。
(ぃや、だっ・・熱・・い・・)
目の前で繰り広げられる光景、中途半端に火照らされ、放置された身体。意識で否定しようともアルルの腰はさらに揺らいでいた。
【限界】アルルがそう感じると同時にD-アルルの口からシェゾのモノが解放された。唾液まみれになったソレは一層固く、太くそそり立つ。
「アルルが・・欲しい」
シェゾの瞳の奥が妖しく輝いた。
「・・ぅわっ!」
突然腕を引かれアルルはシェゾの上へと馬乗り状態になる。お尻にあたる固い、モノ。直接的な熱にまたアルルの身体は硬直する。
(まさ、か・・いきなり・・なんて?)
不安に瞳をD-アルルに向けた。
「・・シェゾはキミが欲しいんだって。」
D-アルルはアルルの肩を掴みシェゾのモノの上へと一気に体重をかけた。
「きゃあぁぁぁぁぁっ!!!」
絹を裂いたような悲痛な叫び、アルルの股の間から真っ赤な液体が零れた。
「アハハ・・・やっぱり初めてなんだ」
苦痛に歪むアルルの顔。それを嘲笑うD-アルル。
「・・!なっ・・これ、は!?」
シェゾの瞳に本来の光が戻る。
「コレ・・?これはキミの望んだことでしょう?」
「痛っ・・やめ、て・・」ぐちゅ、ずちゅ、
自分の上にまたがり、ドッペルゲンガーに無理矢理身体を揺さ振られ続けるアルル。
彼女の瞳から涙が零れた。「くっ・・やめ・・ろ」
痛いほど強烈な締め付けがシェゾを襲う。アルルを解放しようにも、自分にかかる少女二人分の重みからは簡単に抜け出せそうにもない。
「アルル…」
そっと少女の頬に手をあてた。初めての痛みから抜け出せないでいるアルル。
「好き・・だ、アルル」
「ひっ、ひぐっ・・・えっ?」
濡れた瞳がシェゾをうつす。シェゾは優しくアルルの頬を撫でる。
「いまさら・・すまない」予期せぬ告白にアルルの思考はショートした。背筋からはい上る快楽の波。アルルの身体は今、確実に花開く。
「は、ぁあんっ!!」
「くっ・・!」
まとわり吸い付いてくる襞はシェゾを限界へと導いた。
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ
アルルはぐったりと倒れこみ身体をシェゾへと預けた。
「・・おいっ、ドッペルゲンガー!」
今までアルルの顔を見守っていたシェゾの瞳が鋭くD-アルルを探す。しかし探せどD-アルルの姿は確認出来なかった。
「・・・アイツは、一体。」
シェゾにはD-アルルの思惑が読めなかった。しかし、彼女のおかげで自身は一歩踏み出すことが出来た。・・・それが善かった事なのかは今はまだわからないが。
未だ意識の戻らないアルルを抱え、シェゾは洞窟を後にした。
「・・・結局、ボクは・・」
どこからか暗い、呟きが聞こえる。
悲しんでいるのか諦めにもにた響きの声、それは虚空へと消えた。
その洞窟の石は、シェゾとアルルの交わった証の液体を吸い込み、未知なるモノを作り出していた。