それは、些細な事。

往来を歩く時、手を繋いでくれたり、強い風が吹いたら、身をていして守ってくれるとか。



些細すぎて。






「喜んでいいのかわからないのよぅ………」














思告唄


















最近の薫は憂鬱だった。

その原因は神谷道場の食客。
縁との戦いが終わり、左之助が去ってから早二ヶ月が過ぎた。
弥彦も道場を出て、思い人と二人きりの生活が始まってからしばらく経つ。
環境の変化に戸惑いながらも望んでいた、彼と二人きりの時間。
出会った当初もそうであった筈なのに、確実に自らの彼に対する意識も、彼のこちらに対する態度も
時を経て変わっていたから、これからの生活に甘い期待を抱いたりもしていた――――けれど。

彼――――剣心との関係に何があったかと問われれば。

何もない、としか答えられなくて。



意識をそちらに向けるともはや溜息しか出てこない。
馴染みの赤べこの看板娘からの邪推にも、空笑いで返すことしかできなくなって。



自分の勝手な期待だ。
それが叶わなかったからといって、こうも落ち込むのも間違っているような気もする。

でも…、でも、と一縷の望みにだらだらとしがみついていた。


彼との甘い日々がおくれるのだと信じて。


なのに。




時が経つにつれ、彼が益々わからなくなっていく。






…覚えているでござるか京都の戦いから道場に帰ってきた時、拙者が「ただいま」と言ったコト…
あの言葉を口にしたのは流浪人になってからは初めてでござった…







―――――――彼はいつかの夕べにそう言ってくれた。



自分にとって、それは彼が道場を、私のいる場所を彼にとっての居場所としてくれているということだと思っていた。
何より、彼は私の「おかえり」という言葉に返してくれたのだ。
直接的な言葉は何もなかったけれど、あの時肩に回された手といい、
その奥にある彼の気持ちをわかったつもりでいた。

しかし、それはただの『つもり』に過ぎず、特別な意味はなく、単にあの時の剣心にとっては、
しばらく神谷道場を去る気はないよ、というただの意志表示だった―――の、だろうか。

肩を寄せてくれたのも落ち込んでいた私をただ単に安心させるためで、深い意味はないとか。



 

剣心にとっての最大の弱点。大切な人。そう捕らえるのは周りの人で本人から何も言われることはなかった。


剣心の自分に対する好意を感じた気でいたのだが、全て家主の域をでない好意だったのだろうか。



考えれば考える程深みにはまっていきそう。










他人からは、剣心が私を思ってくれている、とよく言われて仲を詮索されるけれど変わった事なんて何もない。
彼の行動に今も昔も一喜一憂してしまうのだ。
だって、嬉しいの。だけれどもその期待は。





「ぬか喜びだったらどうしよう……」




変化かなぁ、と期待してしまうようなコトは本当に些細な変化で不安になる。
本当はその変化を信じたい。彼が私に思いを寄せてくれているのだと。
信じたいがために彼の一挙一動を見逃さないようにしているのだ。

なのに、どうにもこうにも彼が私を思ってくれているという決定打が無い。


些細な彼の行動による些細な期待がつもりにつもってきて、
同じくらい不安が私に押し寄せてくる。









ねぇ、剣心。


あなたは私が好きですか?


愛しいと、思ってくれていますか?


それとも……やっぱりただの家主と食客の関係のまま……?














「薫ちゃん、そんなん悩むんどしたら、いっそのこともっと突撃せな。薫ちゃん押しが足らんよ」







赤べこからの帰り道、先程妙さんに言われた言葉が頭の中で反芻している。



突撃………


………突撃………


…………………………突撃?



































厨で食材を調理している彼に思いきって話かけた。

「け、剣心、あの…………」

疑問符を付けて振り向く彼。

なんでござるか? と聞こえてきそうな顔を見た瞬間、薫は焦る。


しまった。つい話しかけたけれど、なにも言葉を用意してない。

一気に頭が真っ白になった。


突撃ってどうすれば突撃したということになるの?


話しかけないと何も始まらないと意を決して話しかけてみたはいいものの。
何を言えば望むものが手に入るのかさっぱりわからない。
何か言え何か言わなきゃ剣心私のことどう思ってるの――――やだ、そんな直球恥ずかしい!!
でもでも、以前一緒にいたいって告白したしそんな直球なんて今更だけど―――だけどでも!!!

混乱した頭がついていかない。
剣心にもっと近づきたい。そういう思いだけはたくさんあるのに。

目の前には、いつもどおり主夫をしている剣心の顔。


「なんでご――――」


なんでござるか。彼はそう言おうとしたのだろうけれど、言わせたら終わりだと思った。
だって、それを訊かれたらそれに応えなければいけないのだ。混乱した頭が落ち着けと命令を出している。
けど、落ち着けと言われて即座に落ち着けたら苦労はしない。こんな状態でまともに本題を訊ける気もしない。
咄嗟に彼の言葉を遮ろうと口を出た言葉は、よりにもよって。


「今日の昼食はなあに!!!!???」


大声で叫んで出てきた自らのセリフに真っ白になった頭がそのまま凍結した。



――――私の、馬鹿ぁぁぁぁ!!!!



声の大きさに目をぱちくりと見開く彼の顔。
驚くのも無理はない。現に自分も既に自分の行動に後悔していた。

穴があったら埋まりたい。


どどどうしよう、押しってどうやるの!!!???
絶対変に思われちゃったわっ。



「――ええと、今日の昼餉は―――…」



戸惑いつつも剣心はゆっくりと献立について話始める。
違う。そんなことを訊くつもりもなかったというのに。
落ち込まなかったかと言えば嘘になる。でも『突撃』はまだ始まったばかりだ。


つ、次こそは……っ










しかし。












その日、何度も何度も実践しようと頑張ったけど、結局成果なし。
全て思いっきり空回ってしまった自分の行動を思い出すだけで恥ずかしい。




――――ち、ちょっと頭冷やそう………






井戸水を禊ぎのように道着姿の身体にかける。
思いっきりかけてしまうと、なんだか少しすっきりした。

そして少し落ち込む。

剣心への恋愛事であたふたしてしまう自分と、
道着に着替えて稽古に打ち込む自分。

剣の道を進むことに対しては迷いなくつき進めるのに、
剣心に対しては上手く行動できない。

道着姿で冷やした体をただ見つめて、やっぱり私には恋愛事なんて向いていないのかな、なんて
弱音が思考に入り込んでくる。


昔から、恋愛事よりも剣の道に突き進んできた気がする。
女の友達が皆お化粧したりするのに対し、私はどうだ。


考えがどんどん暗い方向に向いて行きそうになった時―――――――














「薫さん」






いきなりの声に振り向くと、そこには男がいた。見覚えがある。前川道場の門下生だ。
短髪の、闊達な青年で薫も是非にと請われて何度も稽古をつけている。



「勝手に入って来てすみません。姿が見えたものですから」
「あらやだ! こんな恰好でごめんなさいね。どうしたの?」



気分を無理やりあげようと声を高くする。
彼がわざわざ来るとは何用だろうか。
申し訳なさそうに頭をさげている彼の顔をあげさせたくて、近寄ろうとした。
しかし、思わぬ次の言葉に、足が止まってしまう。












「好きです」




















―――――――――――――――――――――――










………何て、言われたの?






唐突すぎて理解できない言葉が目の前を通り過ぎて行ったような。
目を見開く薫に青年は、思いの丈を一気に吐き出すように、繰り返す。



「薫さんが、好きなんです」





いきなり過ぎる事態に薫は茫然としたまま動けない。


告白―――………









風がさあっと吹いて、二人の間を吹き抜けた。
そこにあるのは絶対的な距離。




貴方じゃないの。私がそう言ってもらいたいのはただ一人。


申し訳ないと思う。どうして、人の思いは上手く操れないのか。でも、この恋は譲れないの。


だって、私が好きなのは…。





「ごめんなさい、私は―――」
「いいんです。わかってましたから…緋村さん、でしょう?」


薫の言を遮って、青年は悲しげで寂しげな作り笑顔を見せた。
そのままゆっくりと近づいてくる。


「僕は来週、独逸に行くんです。だから、最後に思いを伝えておきたかった。そして―――思い出が欲しいんです」
「思い、出……?」



一瞬の沈黙の後、神妙な顔つきでつげられた言葉は。




「薫さん。お願いです。最後に……後生ですから、それで気持ちにけりをつけますから、接吻していいですか」


「え!? ―――せ、接吻!?」





いきなりの告白の次には接吻!?

動揺して混乱して、わけがわからなくなっているその一瞬。
その一瞬、薫の唇に軽く何かが触れる。
目の前の男が言う。




「――――――ありがとう、ございました。
 どうか、おしあわせに………っ」




絞り出したような声。


………茫然としてへたりこむ薫に一礼して、彼は踵を返して走り去る。
その後ろ姿をただ見送った後、思う。











突撃、されてしまった――――――………



























ごめんなさい。貴方の気持ちに答えられなくて。

貴方の気持ちは嬉しいけれど………私の心にいるのは…………




































それからどれだけ経っただろう。












剣心を捜す。
先程去って行った彼の為にも、剣心に対してもっと頑張ろうと思った。
もう夕餉の時間だもの。厨にいるかしら。


「剣心」



トントントントントントントントン。

無機質な音をたてて、まな板の上の人参がかの人の手で綺麗に切られていく。
相変わらず上手くてうらやましい。それはともかく、あれ?


―――………怒って、る?

なんか空気がピリピリしてるような。



トントントントントントントントン。


無機質な音はなおも続く。





「―――薫殿。もう夕餉ができる故、器を出して貰えぬか?」



彼はこちらを振り向かずに言う。なんだかそれだけのことが怖い。
包丁を扱っている時だ。万一にでも手元を狂わせないように、視線をこちらに向けなくても
それは当たり前だと思うのに。

自分が現れたら彼が作業を止めてでもこちらを振り向いてくれる気がしていた。
そしてそれが叶わなかった。

何を期待していたんだろう。だからこそ行動しようと決めた筈だったのに。
そんな落胆と、剣心の機嫌の悪そうな気配に意識を向けていたせいだろうか。



「きゃっ!」


ガシャン!!



いつもなら確実にしない失態だ。手が滑って皿を割ってしまうなんて。
盛大な音を立てて割れたそれを呆然と見つめてしまう。


わ、割っちゃった……




愕然とした薫とは対照的に、剣心が焦ったように駆け寄ってくる。


「薫殿! 大丈夫でござるか!?」
「う、うん…ごめんっ、今片付けるからっ。剣心はお料理しててっ」


私は箒を持ってくるから―――と続く筈の言葉は、続かなかった。


「そんなことより怪我は!?」


滅多に見せぬ焦燥感に満たされた表情に、こちらまで焦る。
言われて見てみると、指先に赤い筋が入っている。
些細なことでもこれ以上迷惑をかけたくなくて、彼の目に止まる前にとぱっと手を隠す――…が、
自分でもなんだが、まったくもってわかりやすい隠し方すぎた。
もちろんそれに気づかれない筈もない。


「指…切ったのでござるか?」
「大丈夫よ。舐めておけば治るわこのくらい」

そう言って、薫は自分の切った指先を口に入れる。
その仕草を剣心がじっと見つめていることに気付いて真っ赤になる。



「もう、本当に大丈夫よ?」



内心溜息をつきながら切った指を心配げな剣心に見せる。傷口も大きくない。
ね、大丈夫でしょうと笑い飛ばそうとした。
なのに。


急に手首を引っ張られて。

居間まで連れて行かされ。

丁寧に手当てされる。


「ご、ごめんね剣心……」
「いや、拙者がすまなかった」


どうして剣心が謝るのだろう?

その台詞は彼の台詞に遮られて口にできなかった。


「―――身体、冷たいでござるな」
「あ、うん……………ちょっと行水したから」


先程告白された後にも、身を清めたくて水をかけた。
唇も拭った。
軽く拭いて、着替えたから寒い等という訳ではないのだが。
まだ髪は濡れている。
それが彼女を艶めかせていることに当人は気付かない。


切なげに自分を見つめる剣心にくらくらした。

彼の手は暖かい。

手が触れているところからぬくもりを感じる。

手当てされた指が、そのまま剣心に護られている自分を象徴しているようだと、不意に思った。

その手は、竹刀だこで硬い。



こんな私で、剣心に女として見てもらえるだろうか。






「どうやったら剣心に近づけるのかな…………」 





知らずに、ぽつりと呟いたそれは彼に聞こえただろうか。
言った瞬間にはっとして、どうか聞こえてませんようにと祈る。
無意識の発言とは言え、恥ずかしい。




「あ、あああの、ありがとう。夕餉の仕度に戻――――――」



らなきゃね。

そう続く筈の言葉を遮るように剣心の指先が口元にあたって。
熱のある視線に射られる。




「薫殿………」
「ぁ………」




そこだけ世界が変わったかのよう。
いつもよりずっと近くに大好きな顔がある。
心臓の音が、うるさい。
ゆっくりと彼の端正な顔が近づいて、唇に軽い感触が訪れた。
離れたかと思えば近づいて、今度はゆっくりと口の端を舐めとられる。
思わず空いた薫の口腔に、荒々しく侵入される。



「ふ……!?」



いきなりのことに焦る薫を余所に彼はきつく薫を腕に閉じ込める。
息も継げない。苦しい。
解放された時には、身体はぐたりとして立てなかった。


荒い息を宥める薫は、ようやく現状を飲み込めてきたところだ。


剣心が、私に――――――――――…




顔をあげて彼の顔を見ようとした。だが。



「………すまない。薫殿。拙者、頭を冷やしてくるでござるよ」




―――――――――――え?


彼は表情を見せぬまま早足で立ち去ろうと踵を返す。



―――――――――――行っちゃうの?








ぴしりと私の中の何かが音を立てる。














――――――――――― い や だ。







「待って!」



呼び声に後ろ姿を見せたまま彼は立ち止まる。


薫は座り込んだまま叫んでいた。
立とうと思うのに先程から力が抜けて足が上手く動かないのだ。





「行かないで………」

「―――今の拙者は、薫殿に何をするかわからぬ」


薫の懇願の返答は、感情を押し殺したような声。何を考えているのかわからない。


「どうして? どうして何も言ってくれないの? せ、接吻しておいて………」


「…………」


鏡に映したら、自分の、ドキドキして真っ赤になっている顔が見れると思う。
いつだってそう。私ばかり振り回されているんだ。

そう思うと悔しくてたまらない。
きっと剣心は自分の行為がどれだけ私に影響を与えているのか気づいてない。

こんなに胸が苦しいのに。



「わ、私、嫌じゃなかったのに………う、嬉しかったのに―――」

「―――――」


恥ずかしい。けれど、止まらなかった。
堰を失った川のようにどんどん口をついて感情があふれ出してくる。
考えまいとしていた疑問さえも止められない。


「け、剣心にとって私って………やっぱり、ただの家主な、の?」


「それは違う!!」



勢いよく振り向いた剣心と目が合う。その力強い断言と視線に困惑させられる。

今のは薫の不安から出た言葉。それを否定してくれたのはいいが、今の彼女はそれだけでは満足できない。





―――彼の真意を知るまでは。





唇を噛み締めた。

本人も知らぬ間に声をあらげている薫がそこにいた。




「じゃ、じゃあどうして何も言ってくれないの!?
どうして――――――きゃっ」




少しでも剣心に近づきたくて、無理に立とうとした体が崩れる。



「薫殿!」



次の瞬間、彼女の視界に広がるのは大好きな緋い色。

剣心の色だ。

その温もりを手放したら、今度こそ消えてしまいそうな気がして薫は必死にしがみつく。
諦めたように、薫を抱き留めた身体が溜息を吐き出した気配を感じた。
すぐ近くで聞こえる声は、初めて聞く余韻を纏って薫に届く。
しょぼくれた子供のような、そんな声で。




「………薫殿。薫殿が怪我をしたのは、拙者が怖かったからでござろう?
―――年甲斐もない態度をとってしまったから」




…………何を言おうとしているんだろう。





「実は………今日、薫殿が、青年に告白されているのを見て…………」

「え!? み、見てたの!?」

「い、いやその、今朝から薫殿、どうにも様子が可笑しかったから、
気になって、薫殿を捜していたら、偶然―――――」


わざとではない、と言いたいらしい。


「………それで、その、見てしまって…………」



段々剣心の声が尻すぼみになってゆく。
言わんとすることがわかって薫は愕然とした。


まさか、あの接吻まで見られていたなんて。




「誤解よ剣心! あれはいきなり―――」


子供みたいに剣心は薫の身体を抱きしめる。


「わかっている。だけど、拙者もまだ触れたことのない薫殿の唇に、他の男が先に触れているなんて………嫌だったんだ」


だから、貪るように薫の唇を求めてしまっていた。
そんな自分に更に自己嫌悪して。



「剣、心…」

「――――こんな拙者を、軽蔑するか?」


「う、ううん、違う………嬉しい」

「え…………」

「嫉妬、してくれたんだよね…?」




『嫌』なんて剣心の口から初めて聞いた。
彼はいつも、自分のそんな感情を隠してしまうから。
そしてその感情の矛先が自分の周りに対するものだと知って、不謹慎だけど嬉しい。


剣心の鼓動が聞こえてくる。早い。
ねぇ、私の鼓動も早いのよ。気付いてる?



「剣心。私、貴方が好き」


あ、音が跳ねた。

照れ臭いけど、嬉しい。



「好きなの。大好きなの…………剣心は? 私、剣心の気持ち、ちゃんと聞きたい……」




ねぇ、聞かせて。



「剣心にとって、私は………何?」


剣心の顔を見上げながら、今までとは違った心境で、そう言えた。
ここまで来て、期待せずにはいられない。
目の前の剣心の顔が赤い。


そして待ち望んでいた言葉が――――――――




「拙者にとって、薫殿は………上手く言えないでござる」




――――――――――――――こなかった。





どうしようもない脱力感。
ふつふつと沸く怒り。


剣心の馬鹿………!!!!!


そんな思考を読み取ったのか、焦ったように剣心は声を荒げる。


「違う! 拙者は口下手で、こういったことはどうも………上手くまとまらないんだ。
薫殿は、一番大切な人。帰る場所をくれた人、愛する人………どれも正解で、どんな言葉も物足りない気がする」








しどろもどろになりつつも、懸命に口を開く剣心。










「こんな、はちきれそうになるくらいの思いをどう言えばいいのかわからないんだ…!!」
























































―――――気付いたら、薫はぽろぽろ泣いていた。




「かっ、薫殿…泣かないで」

「け、剣心のばかぁ。ばかぁ………っ」


彼の指が優しく涙を拭う。拭った跡におずおずと口づけが落ちる。
薫の心臓は、幸せすぎて、破裂しちゃいそう。
このまま、幸せな余韻に浸っていたい。



「け……しん」

「ん……?」

「私………さっき男の人に告白された……けどっ、彼の気持ちは受け取れなかったの……」

「……………」

「どんなに勇気がいっただろうとか……私なかなかできなくて…凄いなとか思うけど………
 でも、私は…………っ」

「かおる、殿…………」

「……もう一回、口づけ…して。他の人のなんて忘れたい…………」

「…………ああ、勿論」  











―――――――――――ねぇ、誰よりも君を愛しているよ――――――――――――――


―――――――ずうっと。ずうっと――――――――












あとがき++++++

結局お前何も言ってないじゃないかぁぁという言葉を剣心に言って思いっきり詰ってやりたい(^^
修正前は「愛している」と言わせてたんですが、どうにもしっくりこなかったので。

なんていうか…剣薫はまりたての頃に勢いで書いたのでストーリーとか描写とか色々酷かったので、
再UPをするにあたって加筆修正したのですが………最終的に2500字程増えてました。
少しはましになった筈……でもなんだか読み返すと逃げ出したくなるのですが。


薫ちゃんは告白慣れしている、を前提にした話。
余所の男の扱いがひど過ぎる^^


やっぱりどうにも色々としっくりこないので、
いつか自分の剣薫像がもっと固まったら修正したいです。



(2008.2.10 初版UP. 2008.10.13再UP. 2009.6.16 加筆)

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