君の幸せを願うよ、心から…。




「怜那、15歳の誕生日おめでとう!!」

「ありがとう。祐二。」

「これ、プレゼント。」

「なに?」

「いいから開けてみて。」

「これ…。私がほしかった指輪。なんで?私たちにとっては、とても大金よ。この指輪は。」

「いいんだ。俺は、怜那が喜んでくれれば。それに兄貴が、出世払いだって言ってお金貸してくれたんだ。」

「ありがとう。大事にするね。」

「そうしてくれ。学校じゃ指にできないけど。プライベートな時につけてくれ」

「うん。でも、ばれない様にネックレスに通して肌身はなさないでおくから。」

そう言って、ぎゅっと抱きついて祐二の胸に顔を埋めた。





――夢か…。
もうあれから10年たった。
私は、今も彼を愛している。


だから、私は今も一人。
劉と別れて、
いいえ、別れを告げてから彼の前に現れていない。



彼にはもう新しい恋人がいる。
そりゃあ、そうよ。
あれから、何年たっているの。
スクープ記事では、2人の仲良い姿が写し出され、結婚説が飛び出している。
その写真をみて、私はなんとも表現できない気持ちになる。
でも、断ち切ったのは私。


昔の…
死んだ恋人が忘れられない女より、
いいわ。


指輪――。
今は、あの頃とは違い指にしている。
しかも薬指。 結局、私には祐二しかいないの。


この業界は、常に卑劣なスクープ記事がつきものだ。
その中で、一度だけ私の指輪についての話が出たことがある。
真実に近い記事が……。


そこから流れたのか、わからないけれど…。
多分、身内からだろう…。
あんな詳細に書かれている部分をみると…。
もしかしたら、祐一君かもしれない…。

彼は、私のためにしか動かないから…。


あれが決定的だった。
それから、連絡は取っていない。
彼も、私の指に輝く指輪を見て悟ったのかもしれない。
いいえ、それ以前にあきらめていたのかも…。


今は、彼の幸せを祈っている。
私は、いまだに祐二にとらわれたまま。
それでも、それが私の生きている証なのかもしれない。
いつか…、祐二と私をひっくるめて劉以上に愛してくれる人が現れたら…。
もう、迷わない。
きっと、その人の腕に飛び込める。


意外と近くにいるかも知れない人に…。

その後、すぐ彼と出会うことになるとは思っていなかった。


そう、彼とは…。

fin.


お誕生日おめでとうございます。
お祝いSSを送りつけてみました。
誕生日にあげるお話ではないのですが。
しかも、含みがたくさんあって気になるところが多いので…。
こんなんでよかったら、もらってください。

ちなみに、設定といたしましては、
怜那は、25歳
祐二を未だに忘れられない一途な女性。
劉は、29歳。
怜那が忘れられなく、手当たり次第に女を落とす男に成り下がった人。
桜利 2006/10/10


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