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◇◆ Sono sempre accanto a te. ◇◆
「Sono sempre accanto a te.」

 両手を髪に手を差し入れて、私の唇に向かってそっと囁く
グレーの瞳がいつもより更に深い色に輝き、その瞳に吸い込まれそうになる。
唇が優しく優しく何度も重ねられ、一旦 Kiss を止めた彼が

「Ti amo. Luna piena……」

そう耳元で囁いた後は、溶ける様に激しい Kiss へと変わった……
 呼吸をしようと開いた私の口に彼の舌が滑り込んできて
私の中を、まさぐる様に動くその舌の感覚に溺れそうになる。
気づけば Kiss をしたまま、軽々しく抱きかかえられていて
情熱的にイタリア語で囁かれ続けながら、ベッドの上にそっとおろされ
降り注ぐ Kiss の雨に体が熱くなっていく。

「止めるなら今だよ満月?」

 再会してから、初めて私を呼び捨てにした彼の行動すべてが
いつもの余裕ぶった大人の仮面がなくなっていることを告げているから
それがたまらなく嬉しくて
首を横に振ってから、そっと腕を伸ばして彼の髪に手を差し入れた。

「Ti amo. もう、止めてあげないよ……」

首筋に這う彼の唇に、身体がピクンと反応し

「Rilassa……」

 声になるかならないかの溜息の様な彼の名を呼べば
彼の唇が私の唇へと戻ってきて、またその甘い Kiss を味わった。
 ブラのホックが外されて、あらわになった胸を恥ずかしさのあまり手で覆うと

「隠さないで……」

 そう言いながら私の手に自分の手を絡ませ、頭上に持ち上げて押さえ込む。
見られていると思うだけで、既に固くなった胸の先端を彼の口が優しく含み
舌で転がされる初めての感覚に、敏感になった身体が震え吐息がこぼれ出た。
 彼の右手が、唯一私を覆い隠している下着の中へと滑り込み
湿り気を確かめた後、指が固く小さな突起に触れて 身体中に電気が走る。

「んっ…!」

指の動きを止めることなく、胸の先端を唇で弄びながら彼が言う。

「唇を噛まないで 満月。ちゃんと声を聴かせて」

 体の中心を這い下りていく舌が、さっきまで指で弄られていた箇所へと到達し
ザラっとした刺激を与えられた瞬間、頭のてっぺんから足の先までが一気に痺れる。

「あぅっ…んぅっ…」

 執拗に舌と唇で攻め立てられて、狂いそうな快感が駆け巡る。
これが自分の声なのかと思うほどの、甘ったるい切ない声が遠くから聞こえる。

「あふっ…んぅっ…」

「んぅっ…いやっ…んんっ…だめっ…!」

 身体の中の何かが弾けた様な、爆発した様な快感がまき起こり
仰け反らせた身体が小刻みに震え始めた。
そんな私を見て取った彼が、ようやく舌の動きを止めて
今度は潤いを帯びた私の中に指を入れてきた。
内側のザラザラと擦る指の感覚に翻弄されて、どうしていいのかわからなくなる。
淫らな水音と私の喘ぐ声だけが、静かな部屋に響き渡り
 何度も、何度も、弾けて爆発する様な快感を彼に導かれ
揉みくちゃにしたシーツを更に握り締めて身体をよじる。
 目を閉じたまま腕を伸ばして彼を探し、自分から Kiss を要求すれば
私の足の間に膝をつき、希望通りに Kiss をしながら
彼が、ゆっくりと私の中へと入ってきた。
 張り裂ける様な痛みが全身を貫き、悲鳴に近い声を上げる私に
優しい Kiss を繰り返しながら、その悲鳴を彼が飲み込んでいく。

「Ti amo. Luna piena……」

 彼とひとつになれた喜びと、中心に燻る彼のモノの感覚と
全身に広がる痛みと彼の囁き声と……
私の目から零れる涙を、1粒ずつ彼の唇が拭っていく。

「満月、僕を見て」

 全身が強張り、痛みで首を横に振り続ける私。
それでも何度もその言葉を繰り返す彼。
震えながら、精一杯の力で瞼を開ければ
愛おし気に私を見下ろす、彼のグレーの瞳がそこにあって

「愛してるよ満月。愛してる……」

 目が合うと、ベッドに広がる私の髪を梳きながら彼が囁いた。
今までに見たこともないほどに深く輝く彼の瞳に吸い込まれ、身体の力が抜けていく。
 ゆっくりと腰を動かし始めた彼の体にしがみついたまま、宙に浮かんでいく心と身体。
少しずつ激しさを増していく彼の腰の動きに
私の呻き声も、いつしか甘い溜息と喘ぎに移り変わり
彼の唇や指で味わった感覚よりも、もっと激しい絶頂へと向かっていく

「あぁっ…んぅっ…んんっ…いやっ…いやっ…あぁぁっ!」

 絶叫する私の中に、彼が自分を解放し
未体験の連続で熱くなった身体に安堵感が広がって
そして、そこで私の意識はなくなった――


 瞼が重くなる私の髪を優しくなでて、愛してると何度も囁きながら
おでこに何度も Kiss をする彼。
彼の甘い胸の香りに包まれて、生まれて初めての本当の寛ぎを知った。
 既に、いつもの余裕ぶった大人の仮面をまたかぶってしまった彼が

「眠そうですね満月さん? では、お話は明日にしましょう」

 半分眠りに落ちながら、残った半分の意識で彼の言葉を反芻する。

「お話は明日?」

相変わらず私の髪を指で梳かしながら優しく微笑み

「いや、私と満月さんを抜かして、どんどん話が進行してまして
結婚式は半年後の6月に行われるそうですよ?」

そうシレっと言い放った。

「は? 誰の 『式』 のことですか?」

 彼のその言葉に一気に目が覚めて、裸だったということを完全に忘れ起き上がれば
ニヤニヤと笑いながら、グレーの瞳をきらきらさせて意味深な言葉をまた吐いた。

「あ、目が覚めてしまいましたか? それはそれで私の思うツボということですが……」

 そう言い終わるが早いか、未だ余韻に浸って熱くなっている胸の先を彼が口に含んだ。

「え? あぅっ…んぅっ…!」


  Fine
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photo by ©Four seasons