ウェディングドレス
古着ドレスでコスプレえち◇2004/12/28初出 2010/05/26改稿 えち
商店街の広場で、月に一度の古着市が開催されている。
買い物を終え帰宅途中だったシィルは、ちらちらと店先を眺めながら歩いていた。
(新しいお洋服欲しいけど、勝手に買ったらランス様に叱られるかな?)
あの淡いピンクのブラウスにこっちのチェックのプリーツスカート、
襟元にはチェックの一色から選んだ色のリボンを結んで、あ、
それよりリボンは髪に結んだほうが…… と、シィルは頭の中で着せ替えを楽しんでいる。
カジュアル服の山の向こうにフォーマルの古着も売られている。 そのひとつ、真っ白なドレスがシィルの目を引いた。
(わあ、ウェディングドレスだあ)
ふんわりと広がるスカートのドレスには、たっぷりのフリルとレース。
セットとおぼしき裾を引くレースのベール、アクセントに飾られているリボンや造花も純白で統一されている。
シィルは自分が着ている場面を想像してみるが、先ほどのカジュアルのように上手くイメージがまとまらない。
奴隷である自分とランスが結婚するとは思えないし、 かといって他の男性と結婚するなんて、もっとありえない。
ウェディングドレスなんてシィルにとって最も縁遠い衣装であったが、それでも目が離せない。
「シィル」
「わ、ランス様?」
突然の声にシィルが振り向くと、すぐそこに不機嫌そうなランスが立っていた。
「なかなか帰ってこないと思ったら、こんなところで道草食ってやがったのか」
「すみません、お買い物は済んでいるのですぐ帰って……」
「……欲しいのか、これ」
ランスは興味なさそうな顔でドレスを手に取った。
「あ、えっと、その……」
もじもじと指を絡ませながら俯き口ごもるシィルをちらりと見て、ランスは売り子に値段を聞いた。
「セットで100Goldか……高いのか安いのかわからんな、まあいい、買ってやろう」
そしてその夜、さっそくシィルはドレスに袖を通した。
この後寝室に来るよう言われたということはつまりそういうことなんだろうなあ、
と思いつつも、シィルは心が躍るのを止められない。仕上げに髪をゆるくまとめてベールを乗せる。
自分で頬をぱちんと軽く叩いて緩む気持ちと頬を正し、シィルは寝室の扉をノックした。
「入れ」
ランスに促され、ふわりと広がったスカートとベールをドアに挟まないよう、シィルは注意深く部屋に入る。
「あ……」
「どうした?あまりの格好良さに驚いたか?」
フォーマルというほどではないがそれでもいつもよりはきちんとした服で待っていたランスに、シィルは息をのんだ。
判りやすいシィルの反応に、ランスは満足げに肯いている。
「まあ、俺様は何を着ても似合うからな、見とれる事を許してやろう」
「は、はい、素敵です、ランス様……」
うっとりと見つめるシィルに満足顔で応え、ランスは手招きをした。
シィルがととと……と歩くと、軽く束ねた髪とそこに付いているベールが揺れる。
ランスは立ち上がってシィルに一歩歩み寄り、その手を取った。
「シィル、俺様に永遠の忠誠を誓え」
「えーと……?」
どう言ったものか迷ってるシィルを、ランスは軽く叩く。
「意地悪されても浮気されても、私のご主人様は永遠にランス様ただ一人です、だろーがっ!」
「はい、えっと、意地悪されても浮気されても……えっ?」
ランスの言葉を繰り返そうとしたシィルは、一瞬言葉を失う。
(『浮気』……今『浮気』っておっしゃったの?)
じわりと溢れそうになる涙を、シィルは上を向いて堪える。
(他の女の人が浮気なら、私は本命だって……そう思っても良いの?)
「不満なのか?」
「いえ、あの……っ……」
ぐすっとすすりあげてから、シィルはにっこりと笑った。
「意地悪されても浮気されても、私のご主人様は永遠にランス様ただ一人です!」
「うむ、その言葉、忘れるんじゃないぞ」
ぎゅっと抱きしめられてぽーっとなったシィルの頭の上で、ランスはニヤリと笑った。
「たー!」
ぽいっとベッド上に放り投げられ、慌てて振り返ったシィルに、
一瞬で服を脱ぎ捨て全裸になったランスが飛びかかった。
「へ、あっ?」
何が起きたのかよくわからずあわあわしているシィル。
背後から伸びてきた手にうにうにと胸を揉まれても、まだ事態が飲み込めない。
ベール越しにうなじを舌でなぞられると、シィルの意志とは無関係に体がぴくりと震える。
(やっぱりそういうことなんですね……)
ドレスを買ってくれたのもさっきの結婚式めいた誓いの言葉も、
コスプレえっちを盛り上げるための演出だったかと、シィルは納得し同時にため息をついた。
「シィル」
ランスに誘導され、臨戦態勢のハイパー兵器を握らされる。
シィルはそれを注意深く握り、ゆっくりと手を上下させた。
「ん、いいぞ、その調子だ」
胸元を大きくはだけて露出した双丘を、ランスの手が弄んでいる。
口と舌の愛撫はうなじだけに留まらず、耳から鎖骨までを気ままに行き来する。
強めの刺激を受けるたびランスをきゅっと握ってしまい、シィルは慌てて力を緩める。
「そろそろだな」
それだけの言葉からランスの要求を察して、シィルは体の向きを変え腹這いになった。
中程までを唾液で濡らしてからそっと先端を口に含む。頭を揺らして唇で扱くと、
むき出しの乳房がランスの腿に擦れ、痺れるような感覚がシィルの背筋を走る。
「は……むっ、ふ……」
舌を動かすたびに、ぬちゅっと粘度の高い音がくぐもった喘ぎ声に混じる。
揺れるベールのさらさらした衣擦れ、手袋越しに伝わるランスの脈動、
それらがもたらすもどかしい感覚に、シィルはスカートの中で太股を擦りあわせる。
するするとスカートを捲り上げられると、ひやりとした空気に脚が曝される。
ランスの手にさわさわと脚を撫で上げられ、シィルは体を震わせた。
その手が尻のふくらみで止まった事を不思議に思い、シィルはそっと上目遣いでランスを見上げた。
「地味なぱんつだな、もっと扇情的なのも買ってやってるだろう?」
冷静に考えれば容易に想像が付く事だったが、ふわふわのドレスに舞い上がってたシィルは、
そのままHになだれ込むとは思わずに、実用的な下着を付けていた。
申し訳なさにしゅんとうなだれるシィルの尻を、ランスは軽く叩く。
「まあいいさ、肝心なのは中身だからな……それより口が止まってるぞ」
「は、ふぁい、んちゅ……む、ふっ」
慌てて再開するシィルを楽しそうな顔で見下ろしながら、ランスは下着に手をかけた。
一気に抜き取ったそれを手の中で広げてまじまじと観察しているランスに、シィルは気付く。
「ん、結構濡れてるじゃないか」
「ふあ、ひゃふぇ……」
直接性器を見られるよりも恥ずかしいその行為をやめて欲しくて、シィルは必死で頭を振って抗議する。
「がはははは、そんな事をしても俺様が気持ちいいだけだ……んおっ?」
頭を振っているシィルの歯が、意図せずランスの敏感な部分を軽く擦った。
口の中でランスがぶるりと震えるのを感じ、シィルは深くくわえ直すして今までよりも僅かに強く唇で扱く。
「よし、出すぞ、シィルっ!」
いつもより多く吐き出された白濁液を、零さないようにシィルが飲み干す。
「ん、んちゅ……」
更に残った精液を丁寧に啜り舐め取るシィルの頭を、ランスはゆっくり撫でていた。
「だああっ、布が邪魔くせえ!破くか?」
いざ挿入、と意気込んだものの、ボリュームのあるスカートのせいで思うように動けないランスがぶち切れる。
ふわふわのスカートを裂こうと掴んだランスの手を、シィルがはっしと抑えた。
「もったいないです、ランス様……」
破かないでと訴えるシィルの目に、さすがにランスの手も止まる。
「……別にいいだろ、たったの100Goldだし」
(ランス様にとってはえっちの演出でしかないのだろうけれど)
さすがに、それを言ってしまうと自分があまりにも惨めな気がして、シィルは黙り込む。
(私にとってはきっと手の届かない……憧れの衣装だもの)
目を伏せて今にも泣き出してしまいそうなシィルの頭を撫でてやろうとランスは手を伸ばす、が。
ぽふん。
スカートの海に阻まれて、どうにも手が届かない。
「やっぱり邪魔だ、破く」
「だ、ダメです、あの、えっと……後で丈を詰めてワンピースにしますから」
自身の小さな夢とプライドに折り合いを付け、シィルはとっさの言い訳を紡ぎ出す。
「俺様の奴隷が貧乏くさい事を言うんじゃない!」
必死なシィルに、ランスは渋々ドレスを破くことを諦める。あからさまにほっとするシィル。
シィルを泣かせずにすんだ安心感を誤魔化そうとしてか、ランスは必要以上に乱暴にスカートを捲り上げた。
そしてそのままスカートを裏返してシィルを包み込み、頭の上で裾を結んでしまった。
「茶巾寿司だな、ホワイト茶巾寿司」
大きな巾着からにょっきりと突き出した白い下半身、
ちらちらと見え隠れするピンク色の花弁もなかなかいやらしくて良し、とランスは一人納得しているようだ。
「ええーっ?」
シィルはじたばたと暴れるが、馬鹿力で作られた結び目を内側からほどく事は出来なかった。
「頭隠して尻隠さずだな、そんなに暴れると恥ずかしいところが丸見えだぞ」
「ほどいてください、ランス様あ」
「あー聞こえない聞こえない」
ランスはそう言いながらシィルの足首を掴んで引っ張り寄せた。
感覚としてはわかるものの、何をされているのか見えないことが、シィルの恐怖心を煽る。
「ランス様、見えないと怖いです……お願いですからやめて……」
「安心しろ、顔が見えなくても、お前のここは見ただけで解る」
「そういう意味じゃ……あ!」
幾重にも重なった布の上から抱きしめられ、同時にシィルの中にランスが入り込んだ。
「……っ、あ、ん……」
「どうした、まだ怖いか?」
「いえ……もう大丈夫……です」
体の温もりと声、そこにランスがいるという感触で、恐怖が大きな安心に変わる。
ほっとして緊張が解けたシィルにランスも安心して、ゆっくりと動き始めた。
「ん、ランス様、あ、あの、ずっとお側に……置いてくださいね」
「当たり前の事を言うな、ばかもんが、お前がいないといろいろ不便でかなわん」
ぱん、と尻肉を叩かれ、反射的にきゅっと下半身に力が入る。
「きゃ、ん、くッ」
「おお、いい締まり具合だ」
ランスは楽しそうにぺちぺちと叩いた。
「あ、あふ、や……んんっ」
きゅ、きゅっと締め上げるたびに、シィルの内襞はより鮮明にランスを感じる。
「ランス様、ランス様……」
声が聞きたくて、何度も何度もランスの名を呼ぶ。
「いいか、シィル」
ふと尻を叩く手が止まる。
「俺様の女は大勢いる、いや、むしろ世界中の美女全てが、俺様の女だと言ってもいい」
「うっ……」
「だがな、俺様の奴隷はお前一人だぞ、もっと光栄に思え」
シィルはランスにしがみつこうとしたが、スカートにくるまれて身動きが取れない。
代わりに、ランスに強く抱きしめられている自分の身体を自分の腕で抱きしめた。
「意地悪しても浮気しても、お前だけは手放さない、いいな?シィル」
「……はいっ!」