短編まとめ

幸運の坩堝P

一話完結系

神殿の森

謎神殿if シィル♂×ランス♀◇2007/09/15  戦国R TS えち

JAPANのモロッコにある謎の神殿。そこは、男を女に、女を男にする、性転換の神殿だった。

興味本位で自らを女体化してみたランスだが、女達は離れるわむさ苦しい男共に迫られるわで、 慌てて神殿奥の森に逃げ込んだ。意外と華奢に変化した自分の身体も心細かったが、 取り憑いていた魔人ザビエルを気合いで吹き飛ばしてまで追いかけてきた信長が怖かったのだ。
気が付くと森の深部でランスは一人きりだった。身を守る武器である魔剣カオスは、 ナイスむちぷりになったランスに興味津々。幾度もオーラの触手を鎧の内部に潜らせようとしてきたため、 途中で投げ捨ててしまった。鎧と言っても今のランスが身につけているのは、 ディフェンスよりもビジュアル重視のいわゆるビキニアーマーだ。 申し訳程度のこんな装甲では、病み上がりの信長でさえ何の苦もなく外せるだろう。 男だった時の装備であればナイフの一本や二本は隠していたが、現在は全くの丸腰だ。 こんな細い腕では、直接打撃の威力も期待できない。

ランスは途方に暮れていた。
「せめてシィルがいてくれれば……」
他の女達のように、シィルも女体化したランスを見限ってしまったのだろうか。
森中の逃亡に疲れたランスは、灌木の茂みに身を隠して大きく溜息をついた。その吐息は、 即ハイパー兵器が反応するだろう艶を含んでいたが、それすらも今のランスにはかえって恨めしかった。

どのくらい時間が経っただろう。薄闇が満ちていく森を、ランスがぼんやりと眺めていた時。
ぱきん、と小枝を踏み折る音が、ランスが潜んでいる灌木の向こう側で聞こえた。
ランスは息を殺し、茂みの向こうに注意を傾ける。茶色の髪も緑のマントも、 こうして森に隠れるのには都合が良い。薄暗がりの中、動きさえしなければ相手にはまず見つからないだろう。 実際、追跡者はランスの気配に気づいていないようだった。
「んー、どこに行かれたのかな」
追跡者のつぶやきは確かに男声であったが、その口調には聞き覚えがある。 ランスは音を立てないようそっと灌木の枝葉をかき分け、追跡者を確認する。 白い袴に桜色の着物、きりっと結い上げられた桜色の髪が、動くたびにふさふさと揺れた。
「シィル!?」
思わず口に出してしまってから、ランスは慌てて両の手で口をふさぐ。
確かに追跡者はシィルに見える。ピンクのもこもこ髪に青い瞳、日本人にはない肌の白さ。 だが、やや細身とはいえ、その身体つきは青年のそれだ。
「……ランス様?」
口を塞いだとは言え、一度発してしまった言葉は取り消せない。 身をかがめたままでは万が一の時に動きが取れないと判断し、ランスは自分から立ち上がった。 その姿を認めた青年──男体化したシィルは、薄暗がりでも解るほど嬉しそうに笑い、 ランスを迎えるように両手を大きく広げた。
「何であんたまで性転換しちゃたのよ」
不満そうなそれでいてほっとしたような口調のランスに、シィルは笑顔で答える。
「えっと、ランス様が女の子になってしまったので……なんとなく?」
てへっと首をかしげる仕草はシィルの癖だ。やや中性的な顔立ちのせいか、 男性である今のシィルでもその仕草にはさほど違和感はない。ランスはようやく安堵の息をついた。

「途中、香様と3Gさんにお会いしましたけれど、信長様は諦めて尾張に戻ったそうです」
「助かったって事かしら?」
「今のまま尾張に戻ったら、また信長様に追いかけられるのではないかと」
すっかり暗くなった森の一角で、シィルはいつものキャンプ道具を広げ、ランスにお茶を入れていた。
「じゃあどうしたらいいって言うのよ、このままアイスに帰るとでも?」
拗ねた口調はシィルと合流した安心感からだろう。要するに甘えているのだ。 女体化したためにその媚が顕著に感じ取れるランスの態度に、シィルは心の中で苦笑する。 それを気取られないよう、シィルはランスにコップを渡してから、ぽんぽんなでなでと茶色の頭を撫でてやった。
「神殿の巫女さんに聞いたのですが、もう一度性転換する事ができるそうですよ」
「ということは、あたしもあんたも、元の男と女に戻れるって事?」
「はいそうです、安心してくださいね、ランス様」
自分のコップにもお茶を入れ、シィルはにこっと笑って見せた。
「ふーん」
お茶を飲んでいるシィルににじにじと近寄ると、ランスはその左肩にもたれかかった。 あるいはしなだれかかったと言っても良いだろう。
「どうされたんですか?」
「半日森を逃げ回ってたから、疲れちゃった」
「あ、そうですね、暗い森を歩くのも危険ですし、ここで夜明かしして、明るくなったら神殿に行きます?」
「そうね」
シィルにべたべたとくっつきながらもそっぽを向いているランス。その様子があまりにも可愛く思え、 シィルは左腕をランスの腰にまわして胸の中に抱き入れた。ランスはちらりとシィルの顔を見てから その胸に身体を預け、またそっぽを向いてお茶をすすっている。ランスの細い肩越しに、 ビキニアーマーの胸当てで寄せられ強調された胸の谷間が、シィルの視線に飛び込んだ。

「……あっ」
急に黙りこくってしまったシィルをランスが見上げる。シィルは困ったような表情で星空を見上げていた。 ぴんと来たランスは空になったコップを置いて、シィルの揃えられた膝に何気なさを装って手を乗せる。 太股の間に、先ほどまでは気にならなかった異物の存在があった。白袴の上からすりすりと撫でると、 異物は硬度と容積を増し、シィルはさらに困り顔になってしまう。
「ら、ランス様……」
「うふふっ」
シィルの反応にランスは調子に乗って、形を確かめるようにゆっくりとなぞる。
「やめてくださいよう」
「いいじゃない、せっかくだから、しよ?」
元に戻れる事が解ったためか、性転換した当初の好奇心──女体の性感に対する興味が 再びランスの中に沸いてきたようだ。自分の唇をなめながらランスはシィルの膝に乗り、袴のひもに手をかけた。
「あう、だったら信長様と……」
「男はイヤ」
それは確かに解らなくもない。だが、今のシィルは肉体的には男性だ。 ランスはその矛盾に気づいているのだろうか。 シィルの膝に跨り、装甲を付けている胸をシィルの胸元に押しつけている。
「それとも何よ、あたしとエッチするのがイヤなの?」
「うう、それはその……」
シィルだったら男でも構わないランスと、ランスとはいえやはり女とするのは抵抗があるシィル。 性行為に対する興味の温度差は、性別が反転しても変わらないらしい。
「もうこんなになってるのに、シィルってば素直じゃないわねー」
いつの間にか、袴は下げられ桜色の着物は帯を解かれてはだけられていた。 ランスはシィルの屹立した性器を露出させ、直接しごきはじめた。 身体をずらし、興味深そうにそれに顔を寄せる。 男だった時よりも少し長いしなやかな茶色の髪が、シィルの先端をくすぐった。
「あ、あっ、ランス様!?」
「さすがにあたしのハイパー兵器には負けてるけど、まあまあじゃない?スーパー兵器くらいかしら」
「えっ、あの」
「他人のなんてじっくり見た事無かったけど、形もちょっと違うのね」
シルクの手触りの手袋をはめた手でしゅりしゅりと刺激され、シィルはもう暴発寸前だ。 先端に溜まるしずくをいたずらっ子のような笑みを浮かべたランスがぺろりとなめ取った時、 シィルの中で何かが切れた。

「ランス様っ」
シィルはランスの両手首をつかみ、腹這いになっていたランスをぐいっと膝の上に引っ張り上げた。
「えっ……シィル?」
ランスの背中に腕を巻き付けしっかり抱きしめ、唇を重ねる。最初は戸惑っていたランスも、 自由になった手をシィルの首に巻き付け、舌に舌を絡ませてくる。長く深いキスをしながら、 シィルはランスの鎧をぱちんぱちんと外していく。いつもの鎧とは違う形とはいえ、手慣れたものだ。 胸と腰の装甲を外し、その下の小さな布もするりと脱がしてしまう。
「あっ……」
「綺麗ですよ、ランス様」
少し体を離してランスの身体を眺めた後、シィルはぽつりとつぶやいてから張りのある胸に顔を寄せた。 一方を口で、もう一方を指先で優しく刺激され、ランスは自分の体温が上がるのを感じる。 男の時とは違う緩やかな快感。腰がしびれるような感覚に、ランスは身震いした。

「気持ちいいですか?」
陶然とした表情で肯くランスににこっと笑ってみせると、シィルはランスの太股の間に手を滑り込ませた。 ぴちゃりと湿った音がする。シィルの肩に置いたランスの手に、わずかに力が入った。
「う……んっ」
花弁を撫でていた指先がその中央に埋まる。いきなり強くなった刺激に、ランスは堪らず声を上げた。 反射的に脚に力が入りシィルの手首をぐっと締め付けるが、指の動きを止める事はできなかった。
「ランス様、力を抜いてください」
「う、うん……」
力を緩めたランスの脚の間に、シィルは膝を割り込ませた。 ふるふると揺れるペニスに下腹部を叩かれ、ランスはそちらに視線を向けた。 揺れるたび先端を濡らす液がランスの腹に飛び伝い落ち、ランスの蜜と混ざってシィルの手を濡らす。 脚の間で蠢くシィルの手を視覚で捉えたとたん、より粘度の高い蜜がとろりと零れるのをランスは感じた。
「ねえ……」
「はい?」
ランスのおねだりを解っているのかどうか、シィルはにっこりと笑って首をかしげる。
「……シィルの意地悪」
「ランス様ほどじゃないですよ」
解っていてやってるのだという事に気付き、ランスは諦めて自分から腰を浮かせた。

「ん、ん……」
狙いを定めゆっくりと腰を沈めるランス。シィルは自分の根本を握り、中央に当たるよう位置を調整してやる。
「あ、くっ!」
「ゆっくり、ゆっくりですよランス様、でないと痛いですから」
体内に異物が入り込む初めての感覚にランスは気が遠くなりふらりとよろける。 シィルが支えていなければ、そのまま一気に根本まで飲み込んでしまっただろう。 ランスはシィルの肩にかけた手に改めて力を入れ、慎重に動く。
先端さえ入ってしまえば、十分に潤ったランスの中は、狭いながらもたやすくシィルを受け入れる。 しかし、半分ほど飲んだところでランスは悲鳴を上げた。
「いっ、痛っ!」
びきびきと裂かれる激痛がランスを襲う。冷静に考えれば当たり前の破瓜の痛みなのだが。
「痛い痛っ、痛いー!」
「ああっ、ランス様落ち着いて、無駄に動くと余計に痛いですから」
あまりの痛みに涙を流して身をよじるランスを、シィルは、強く優しく抱きしめた。
「うう、痛いよう、シィル」
「はい、痛いですね、最初はそうなんですよ」
ひしっとしがみつくランスの頭を、シィルはゆっくり撫でている。 ランスに買われてまだ絶対服従が解けてなかった初めての夜。 黙って涙を浮かべていたシィルの頭をやはり黙ってずっと撫でていたランスの事を、シィルは思い出していた。 身体の痛みが薄れるわけではないが、心の痛みはそれだけで消えるのだ。
今にして思えば、あの時の安心感が、絶対服従の魔法が解ける最初のきっかけだったのかもしれない。

ランスを気遣いながら時間をかけて事を終えた頃には、頭上の月はすっかり西に傾いていた。
「大丈夫ですか、ランス様」
後始末と鎧の着付けをシィルに任せ、ころんと横になったランスにシィルは声をかけた。 ランスの返事はない。シィルは自分の着物を整えてから、ランスの枕元に正座する。 ランスは当然のようにその膝に頭を乗せた。
「もうすぐ夜が明けるわね」
「はい、少しお休みになります?」
「うん」
ランスはまぶたを閉じる。
「……気持ちよかったけど痛かったなあ」
「すみません」
誘ったのはランスなのだからシィルが謝るいわれはない。 それでもつい、いつものように謝罪するシィルに、ランスは目を閉じたまま満足そうに笑う。
「シィルはどうだったの?」
ランスは片目だけ開けて、シィルの顔を見上げた。
「え、それは、その……」
「……ああ、聞かなくても解ったわ」
ランスはもう一度目を閉じ、頭の下でむくりと起きあがりかけているスーパー兵器をぽんぽんと叩いた。