短編まとめ

幸運の坩堝P

一話完結系

温泉に行こう

戦国ランスビフォー◇2007/10/04  戦国R えち

秘湯巡りと香姫ゲットの野望を秘め、ランスとシィルはJAPANの地を踏んだ。
「香姫が居る尾張までは結構あるな、道々温泉にも浸かっていこう」
「温泉だけ楽しんでお家に帰……ひんひん、何でもないですう」
ランスにぽかぽかと殴られながら、シィルはJAPANのガイドブックを広げる。
大陸にもにぽぽ温泉などはあるが、JAPANは土地の面積と比べて温泉の数が非常に多い。 かつてJAPAN各地に開いていた地獄の穴を陰陽師が塞いだ時に、 塞ぎきれず漏れ出してしまう地獄エネルギーが沢や泉を熱した場所が温泉になった、という説もある。 そのため、温泉に浸かる事で様々な効能があるのだとも言われていた。
「効能か、俺様のハイパー兵器がさらにハイパーになるとか、シィルのあそこがさらに具合良くなるとか」
「……私は技能レベルが上がる温泉とかの方がいいです……」
いくつかの有名な温泉地をピックアップして尾張までのルートを決めたランスとシィルは、 とりあえずJAPANで初めての夜を、いつも通りに過ごしたのであった。

「『ようこそ!宝温泉郷』……か」
道中通りすがった小さな村の入り口には、不釣り合いなほど大きな看板が掲げられていた。
「ここはガイドブックに載ってませんねえ」
シィルがガイドブックを開いて確認してる間、ランスは周りをきょろきょろと見渡していた。
「建物や看板も新しいし、まだできて間もない温泉なんだろう」
「いらっしゃいませ、宝温泉郷にようこそ」
看板の下で立ち止まっている二人に気づいた村人が、声をかけてきた。
「今なら宿も空いておりますよ、お泊まりですか?」
「どうなさいますか、ランス様」
「うーん、混浴はあるのか?」
「宝温泉の宿は露天風呂付きの部屋ばかりです、お二人だけでゆっくりと温泉が楽しめますよ」
どうやら村の観光案内役らしい村人は、ニコニコ笑いながら答える。
「よし、シィル、今夜はこの温泉で楽しむぞ」

「お夕飯にはまだ早いですね」
「じゃあさっそく風呂だ、露天風呂があるんだったな」
「んと、大きい露天風呂、こっちは男女別ですね……と、お部屋の庭に小さな露天風呂があるそうです」
宿の案内を読んでいたシィルが立ち上がって、障子をからりと開ける。 廊下とガラス戸の向こうに坪庭があり、中央に石組みの露天風呂があった。
「よーし、さっそく入るぞー」
その場ですぽぽーんと服を脱いだランスは、勢いよくガラス戸を開け、かけ湯もせずに温泉に飛び込んだ。
「おほほ、なかなかいい湯加減だ、シィル、お前も早く来い」
「はい、ただいま」
脱ぎ散らかされたランスの服を軽く畳んでから、シィルも服を脱ぐ。 JAPANに来てすぐランスに買ってもらった桜色の和服だが、脱ぎ着もすっかり手慣れたものだ。 しわにならないように畳み、部屋の隅に置いてあった手ぬぐいと石鹸を持ってシィルも庭に出た。
「あっ、ちゃんと囲いがあるんですね」
小さな坪庭は、背の高い板塀で囲まれ、露天でありながら閉鎖的な空間を作っている。 石鹸と手ぬぐいを手頃な石の上に置いて、シィルは湯口から手桶に湯を汲んで身体を軽く流した。
「理由がわかるか?」
「お風呂に入っているのを他の人に見られないように、ですよね?」
「50点だな」
すでに手足をのびのびと投げ出して湯に浸かっているランスの横に、シィルがちょこんと座る。
「50点ですか?」
「ああ、後半は合ってるな」
そこでランスはいったん言葉を切る。シィルが不自然な間に気づいてランスの方を向いた途端。
「答えは、『お風呂でやってるのを見られないため』だ!」

「さあ、遠慮せず声を上げるがいい」
風呂を組んでいる石の上にシィルを座らせ、ランスはその両脚の中心に顔を埋めている。 いつもならろくに前戯もせずに突っ込むのに、シィルに声を出させたいばかりに丹念な愛撫を施すランス。 ややとろみのある白い濁り湯を手ですくい、シィルの腹に垂らす。 湯は二十歳を目前にようやく生えそろった桜色の茂みを伝い、その先の花弁に沿ってとろりと流れ落ちた。
「精液みたいだな」
湯を潤滑剤代わりにして花弁の中央に指を差し入れ、ポイントを探るように蠢かせる。 耐えきれずシィルは体を震わせるが、声を上げる事だけはどうにかこらえた。
「遠慮するなといってるだろう」
「で、でも……っ」
性感帯を的確に刺激され、シィルは思わず漏れそうになる声を慌てて飲み込む。 シィルの変化に気づいたランスは、粘度の高い水音をたてるようにわざと激しく指を動かす。 とうとう限界に達してしまったシィルが、控えめに甘い声を上げると、ようやく満足したランスは指を抜いた。

「よしよし、いい声だったぞシィル」
ざばりと飛沫を上げて立ち上がったランスは、シィルの腰を支えて一息に貫いた。 長い時間をかけた愛撫のおかげでとろとろにとろけているシィルは、難なくランスを飲み込んだ。 根本まで埋めたまま円を描くように緩やかにランスは腰を回す。 シィルは両腕をランスの首に回して、声を押さえようとその胸にぎゅっと顔を押しつけている。 シィルを支える手を腰から尻に移動しぐっと踏ん張ると、シィルの身体が浮き上がった。
「ひ、あっ?」
結合部にほとんどの体重がかかりそうになり、慌ててシィルは腕に力を込めた。 そして、意識しているわけではないがそれと同じくらいぎゅっとランスを締め付ける。
「おっ、おおっ?」
その感触に気をよくしたランスは、尻をつかんだままシィルを激しく揺さぶった。
「むほほほほほ、いけー」
「ん、んんっ、ランス、様あっ!」
遠慮の欠片も無い嬉しそうなランスの声と我慢しきれなかったシィルの声が聞こえるまで、 そう時間はかからなかった。

風呂から上がり一息ついている間に、夕食の膳が部屋に運ばれてくる。
「なんだこのメニューは……」
一見よくある和食だったが、細部が少々変わっている。マグロは舟盛りではなく小鉢で山かけになっているし、 ひややっこにはショウガと共に山盛りのニンニクがのせられている。 うし肉はほとんど生で、溶き卵とニンニク醤油で食べるらしい。 小鍋は魚介類ではなく、うしのモツをニラと共に味噌で煮込んでいるようだ。
比較的好みの味付けだったので、ランスはがつがつと食べ始めたが、 シィルは顔を赤くしてうつむいたまま、何故か白いご飯以外には箸を付けようとしない。
「どうした、お前も食っていいんだぞ?」
「は、はい……」
シィルはおそるおそる箸をのばし、ニンニクをよけ豆腐を少し取って食べる。
「ははあ、ニンニク臭くなるのがいやか」
「え、あう、それもちょっとありますけど」
「がははははは、気にするな、俺様は寛大だからニンニク臭いお口でフェラチオしても許してやるぞ」
「……」
「何だ、他にも気になる事があるのか?」
「え、それは、その……」
さらに顔を赤らめてシィルは箸を彷徨わせている。 だんだん苛ついてきたランスが拳を振り上げると、ようやくシィルは口を開いた。
「あの、これって……精力を高める料理ばっかりなような気がします」
「なるほど、つまり」
自分の皿は綺麗に平らげシィルの皿も既に2/3まで侵略して、ランスは上機嫌だ。
「これ食って夜も頑張れってことか、気が利いてるな、飯食い終わったら一勝負だ」
「はあ……」

宣言通り一戦交えたあと、せっかくだから大きな風呂にも入ろうという事で、 ランスとシィルはそれぞれ男湯女湯に向かった。
一人ではやはりつまらないのか、早々に引き上げたランスは部屋でだらだらしている。 今夜のメニューはどうしようかなあなどと、ランスが荷物の中のおもちゃ類を探っているところに、 何ともいえない表情のシィルが戻ってきた。
「長風呂だったな、俺様のために磨き上げてきたのか?」
「はい、それはそうなんですけど」
「どうした、何かあったのか?」
今夜この宿に泊まっているのは、ランスやシィルと同年代の男女が二組ほど。 片割れと思われる野郎共はランスと同じ時間に露天風呂にいたので、覗かれたという事はないだろう。
「それが、一緒にお風呂に入ってた女の人たちに聞いたのですが……」
もう二組のカップルは、どちらも結婚して少し経った夫婦だという。 子供が欲しいのになかなか生まれない事で悩んでいたところ、親類や友人に宝温泉を勧められたのだそうだ。
「確かに、露天風呂付きの部屋でこんな料理食ってたら、ハッスルするわな」
二人っきりで入れる温泉、そしてあからさまに精の付く料理。『子作り』をしろと言わんばかりのセッティングだ。
「それだけじゃないんです、女湯には、その……が、あって」

そのまま何も言えなくなってしまったシィルを連れて、ランスは女湯に向かった。
「だ、駄目ですよ、女湯に入っては駄目です」
「だったら何があったのかちゃんと言ってみろ」
「それは、その……」
真っ赤になったシィルが言わずとも、ランスにはそろそろ女湯にある物の見当が付いていた。 古い温泉地によくある秘宝館、おそらくそこに展示されている類のモノだろう。 あとは、その単語をシィルの口から言わせるか、『それ』の前で恥ずかしがるシィルを軽くいじめるか。
「どうする、シィル?」
「うっ……」
どうしてもその言葉を口にしたくはないらしく、シィルはランスを待たせて脱衣所と浴場を見渡した。 先ほどまで一緒に風呂に入っていた女性達がいない事を確認して、ランスに手招きをする。
「ぶっ!」
女湯の湯船の中央には、男性器を象った石の彫刻が鎮座していた。 予想はしていたものの、その大きさとリアルさに、ランスは思わず吹き出してしまった。 黒光りする石でできたそれは、ご丁寧に浮き出た血管まで彫り込まれている。
「すげえなあ」
服を着たままなので彫刻を間近で見る事はできないが、湯船の縁にある立て札を読んでみる。
「何々……この石魔羅様に跨って腰を振りながら『石魔羅様お願いします』と三回言う、か……えろいな」
これはぜひシィルにもやらせてみようと思いながら、さらに先を読むと。
「そうすればまもなく、子宝に恵まれるでしょう……こ、子宝?」
湯気で暖かい浴場にいるにも関わらず、ランスの顔がさあっと青ざめた。
そもそもこの地は男性器信仰と子宝祈願の神社があり、比較的最近になってこの温泉が沸いたのだそうだ。 そして、白濁した泉質と神社の由来から、子宝を授かる温泉としてじわじわと話題になっているらしい。
先ほどここで女性達に聞いた話をシィルは説明したが、ランスは聞いているのかどうか。

「し、シィルっ、避妊魔法は切れてないよなっ?」
「はい、JAPANに来る直前にかけましたから」
ちょっとだけ残念そうなシィルの表情には気づかず、ランスはほっと胸をなで下ろす。
「今日はやめておきます……?」
「いや、あんな料理食って安眠などできるか!」
がしっ。ランスはシィルの手を堅く握ると、自分たちの部屋に向かって歩き出した。
「で、でもランス様、万が一の」
「えーい、その時はその時だ、何とでもなる!」
振り向きもせず吐き捨てるようなランスの言葉ではあったが、シィルはふっと笑みをこぼし、 念のためランスだけではなく自分にも避妊魔法をかけておこうと考えていた。