ランスのおもちゃ箱には……
日常話。ランスVIジョンブル報道室8月第3週より。◇2004/08/22 R6
夕食前のひととき。ランスとシィルはお茶を飲んでいる。
「たまには片づけでも手伝ってやろうか」
「わ、ありがとうございます、ランス様」
単純に喜ぶシィルと胸中でニヤリと笑うランス。
ランスは椅子から立ち上がると、シィルをひょいと小脇に抱え。
「はうう!?」
バカでかい箱に、ぽいっとシィルを投げ込んだ。
「きゃん、ランス様、何を……」
「がははははは」
ランスはいつものように高笑いをしながら、箱の蓋を閉めようとする。
「あっ、あのっっ」
「使わん時にはちゃんと片づけておかないとなあ」
ぐいぐいと体重をかけて蓋を押さえるランス。慌てて抵抗するシィルだが、ランスの力にはかなわない。
蓋を閉められて、箱の中でじたばたと暴れている。
「ああん、狭くて暗いですぅ」
「黙れ黙れ」
「何かお尻の下に……あうー」
箱の中にはランスのおもちゃ(主に夜に使用する類のモノ)が入っていた。
「おもちゃはおとなしく片づけられてろ」
「……私、ランス様のおもちゃですか?」
「ああん?何を分かり切った事を、お前は俺様の楽しいおもちゃだ……って、おーい」
箱の中が静かになり、直にすすり泣きが聞こえて、ランスはちょっと慌てる。
「シィル?」
返事はない。
やりすぎたかな?と、ランスはぽりぽりと頭をかいて、蓋を開けた。
中で膝を抱えて泣いているシィルの頭を、ぽんぽんと軽く叩く。
涙目でランスを見上げるシィルを抱き上げ、箱から出してやる。
「泣くんじゃねえよ、バカ」
「うう、ぐすっ、だって」
「いいか、誰がなんと言おうとお前は俺様のおもちゃなんだぞ?」
何か言おうとしたシィルをぎゅっと抱きしめる。
「しかも結構気に入ってる大事なおもちゃなんだからな、自分の立場をわきまえておけよ?」
シィルの目から大粒の涙がぽろぽろと流れる。
「……ランス様あっ」
「だーっ!だから泣くなと言っとるだろーがっ!!」
鉄拳制裁を受けても、それはそれで結構幸せなシィルちゃんであった。