場所:三好市池田町西山
まず、この駅を知ったのはインターネットで「秘境駅へ行こう!」というサイトを偶然に見たことに始まる。
全国各地の秘境駅トップ10にランクインしており、徳島県人でも全く聞いたことがない駅なのだ。
真相を確かめるべく、帰郷した折に地元の友達と「土讃線 坪尻駅」に探索に出かけた。
自動車で徳島県側から香川県側に抜ける国道32号線を走り、画像@が見えてくる付近に「坪尻駅」の
道路標識があるので車を止める。なんと坪尻駅は車では行くことができない駅で、車からだとここから
山道を約10分ほど歩いて下ることになる。駅舎は徳島県と香川県の県境に位置する山奥の薄暗い谷底に
隠れるように存在している。
この駅がなぜ存在しているのかは全く常識からかけ離れていて想像つかない。まず民家が無い
無人地帯だということ。そして観光地でもなければ、駅を降りて何か見所がある訳でもない。
本当に理解不可能な駅なのだ。ただ、一軒だけ廃墟になった建築物(画像A)がホームの近くにあり、
壊れたモトクロスバイクが放置されている。廃墟になってからは数年経っていると見られ、
この住民のために存在していたのかと思った。
この場所は、下方に流れる鮎苦谷川の川底だったという。坪尻駅は、列車交換のための信号場として
造られたのが始まりで、信号場を設置する敷地を確保するため導水トンネルを堀り、川の流れを変えながら
川底を埋め立てる難工事の末に完成した。そして昭和4年4月28日に開業することになる。
現在は秘境駅として、テレビ特集やテレビアニメで取上げられたことがあり、秘境駅としての
存在価値を高めつつある。2008年5月15日には、秘境駅にも関わらずスタンプラリーが開催された。
私が訪れた日、夏休みと重なっているからか、五人ほどの観光客がいた。一度降りれば一時間以上
待たなければいけない田舎の駅に、これだけの人が来ていたことに驚きである。一度は興味本位で訪れる価値のある駅だ。