自転車で四国一周

日数 日付 寝所 住所
01 8/08 千光寺 徳島県海部郡海部町浅川
02 8/09 テント 高知県室戸市室津
03 8/10 妙國寺 高知県高知市塩屋崎町
04 8/11 四万十川橋の下 高知県中村市
05 8/12 光教寺 愛媛県東宇和島郡宇和町
06 8/13 ホテル 愛媛県松山市喜与町
07 8/14 野宿 愛媛県周桑郡丹原町明穂
08 8/15 お墓で野宿 香川県綾歌郡綾歌町
09 8/16 民家 香川県綾歌郡綾歌町
10 8/17 民宿 香川県高松市
11 8/18 自宅 徳島県

プロローグ

高校二年生の時、「何か一生物の思い出作ろうぜ」と言う事で、
中学の同級生で、それぞれ違う高校に進んだ三人が集まり、この企画は始まった。
とりあえず野宿を前提に必要な物を購入して、ほとんど無計画のまま、
僕たちは自転車で四国一周を実行する事になる。

8月08日

当日起きると台風の影響で雨だったが、集合地に行く。そして、ここでT君の友達のH君が急遽加わり
F君と僕を合わせて四人で出発となった。初日で体力が有り余っているのでみんなハイペースで走る。走る。
そこで事故が早くも起こった。昼前にして、F君の自転車が転倒し怪我はなかったものの、前輪が90度位にへし曲がる。
これでは進めないと言う事で、F君の自転車を修理にだして、初日真昼間から海で泳ぐ事になった。
そして夕方頃に修理が終わり、もう日が暮れかけていたので近くの住民の方に、泊めて頂けると言うお寺を紹介して
頂き、とんだ初日だと笑いながら、頂いた西瓜なんかを食べながらその日は終わった。

8月09日

朝起きるとH君が急遽帰る事になった。初めからそう言う予定だったらしい。そして企画を立てた三人が残り、
再び何もない海沿いの国道を走りだす。室戸では海洋深層水を珍しさで飲む。
徳島から高知の境は、民家も殆ど無くひたすら道と海で退屈な反面、海の風が心地良かった。
そして、初めてのテントの出番がでてくる。砂浜にテントをはり、近くの商店で買った花火をした。
そして、また事件が起こった。火花がテントに燃え移り、早くも使い物にならないテントが出来上がった。
その日は雨が降ってないのもあり、普通に狭いテントの中で三人は寝た。

8月10日

朝起きると、テントをどうするかで話しをして、近くの粗大ゴミ置き場に捨てる事となりテントは
一日の出番で終幕を迎えた。次の日もひたすら走る。みんなちょっと足が痛くなってくる時期でもあった。
そして高知市に着くと、よさこい祭りの真っ只中であった。これは祭りも行こうと言う事で、近くのお寺に
頼んで泊めて頂く事になり、荷物を置いて始めてのよさこい祭りを堪能した。

8月11日

高知県はとにかく距離が長い。夏本番なので、とにかく汗をかく。そして熱い。F君は休憩時間になると
ジュースを四本買う位の喉の乾きだ。当時はペットボトルと言えば、1.5Lが普通で、それを自転車に乗せて走ると
その分重くなるので、疲れて来たら自販機の所で缶ジュースを買って休憩と言うスタイルをとっていた。
夕方になると寝所が特に見つからなかったので、四万十川の橋の下で寝袋に包まりながら寝る事になる。
しかし、国道の下だけあり通行が夜間でもあり、埃が舞い車の音がうるさくてほとんど眠れなかった。

8月12日

昨日眠れてないのも関係なく、本日は高知県と愛媛県の境に指しかかる。とにかく上り坂が多く
坂では足を付けないと言う、訳の分からない男のプライドもここでは無力だったような記憶がある。
純粋に四国一周と言えば、地図を見て頂ければ分かると思いますが、足摺岬の方向に行くのが正しいが、
F君の高校の補習日程の関係もあり、中村市からは宿毛市に向かう事にした。
愛媛は入ると段々畑が多く、さすがミカン王国と言うだけあった。そして、この日も泊めて頂けるお寺を探し、
お寺の離れを貸して頂き、昨日とは違いぐっすりと眠れた。

8月13日

本日は松山市を目指して走る。この時期、学生の長期休暇を利用して多くの大学生とすれ違い、
互いに手を振りあう。僕たちはその中でも異色だったのが、全員がママチャリで走っていた事だ。
家の近くのホームセンターで安く買った26インチのママチャリは変速もなく、長距離には向いてない。
だけど僕等はそれが誇らしかった。尻は痛いし、足は痛いし、金も少ない。だけど絶対に完走すると心に決めていた。
そして、ついに松山市到着。都会での荷物の盗難を危惧して僕等は、ホテルを利用する事にする。
そして日本最古と言われる道後温泉に行き、部屋で団子を食べさせてもらえると言う一番いいコースを選び、
少し贅沢をする。この日は松山市で祭りがあり、かなり多くの人がいた。

8月14日

起きるとチェックアウトの時間を過ぎていた。誰一人起きれていなかった。しょうがないので、
と言う訳にもいかず、お金持ってないから延長料金は許してくれと子供特権のわがままを社会にぶつける。
30分位の交渉?の結果、延長料金は無しになった。そして本日は出発時間が遅かったのと、雨に遭遇して、
殆ど距離を進む事ができず、山奥の野宿に選んだ場所は、自然で生きるゴキブリが多くいる場所だった。
ここではなるべく地上から高い所を陣取りしようと、みんな真剣にジャンケンに力が入った。

8月15日

本日は香川県についに入る。うどんで有名な金毘羅さんで食し、明日はレオマワールドに行く予定にしたので、
レオマワールドのある綾歌郡まで走る。そして、日が暮れ泊まる場所も見つけるのも難航し、レオマに近いと言う事で
お盆の本日、お線香の匂いが漂う中、お墓の中央に位置するバケツなんかを置いてる小屋に泊まる事となる。
この日は昨日より本気で、誰が中央に寝るかのジャンケンをする。両端には開き戸があり、窓の向こうはお墓だらけ。
夜の七時だと言うのに、もう目を瞑って寝ようかの状態になった。とにかく本当に怖かった記憶がある。

8月16日

本日は運良く朝に起きる事ができた。T君が夜中に誰かが声をかけてきたと言っていて、今日もここで寝る予定
だったF君と僕は怖くなった。しかし、近くの住民の方が来て、ここは共同の場所だから使わないでほしいとの忠告を
受けたので、レオマに行く為に朝から荷物の置く場所を探す事になった。今日はここで寝る事はなくなったけど、
今度は寝る場所がないと言う状況になった。近くの民家を何件か尋ねて、泊めて頂ける方を見つけて、荷物を置かして
もらってレオマワールドに行った。フリーパスを買って、全てを網羅した。男三人がメリーゴーランドに乗るのは
少し恥ずかしかった。スタジオジブリの人形が飾られているのが期間限定であって、当時もののけ姫が空前の大ヒットと
なっていた為お客さんで賑わっていた。僕も耳をすませばのカントリーロードと言う曲を、この旅のメインテーマに
していたので嬉しくなって写真を撮りまくった。そして夜まで遊んで、泊めて頂ける事になっている民家に戻り、
ここではおじいさんといろいろな話しをした。

8月17日

本日は旅の終わりが近づいているのもあり、気が抜けたのか、終わってほしくないのかで、すぐ近くの高松市で
泊まる事となる。距離的に高松市まで来ると、明日は徳島県の家に帰れると言うのが分かるので、
今日は高校生らしからぬ、居酒屋で酒を飲みながら旅の話しなんかをしたりした。

8月18日

高松市から徳島県の家まで帰る事になる訳だから、本日はけっこうな距離を走る。久々に帰れるのもあり、
みんなの速度も上がる。夜になって走ってると、家を間近にして、火事で多くの消防車が走っていた。
そしてその消防車を追いかけようと言う話しになり、家とは関係のない方向に野次馬に向かう。
そんなこんだで、家に着いたのは二十三時以降となった。久々に寝る自分の家はすごくよかった。

エピローグ

高校生活で絶対に忘れない思い出企画で、難なく無事に完走する事ができました。
足が痛い時も多々あり、雨の時は特に疲れたりしたけど、完走する事で全てが吹きとんだ気がします。
そして多くの方に助けて頂いた事も、決して忘れないものとなりました。若さ、時間、金、友達と、
もう二度と戻らない瞬間を共有できた事が、ものすごくいい思い出となりました。
このページの文は、1997年の四国一周の事を、2005年に日記も無いので記憶だけで想起しています。
もっといろいろあったんだと思うし、今となれば当時に戻りたい歳になってたりしますが、
あの頃のように、損得勘定なんか考えず、前だけ見て進んで行ければと思うところです。

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