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『び』
微動だにせず
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「…樹」
「腕、動かない!先生、腕が…」
繋ぎきれなかった線は、よりにもよって、右腕だった。
利き腕となっている右腕を、必死に動かそうとする樹を、そっと寝るように促した。
「…どこだ、どこが…」
「先生、手伝います。」
「…海か」
後ろから、現れた海に視線を向ける。
他のみんながいないということは、止めて置くのは成功しているんだろう。
「あと、右腕だけですか」
「…あぁ。他はもうおそらく繋ぎきれたはずだ。」
意識を奥に埋められた樹の体は、つながってない右腕と共に
動くことなく、二人の『治療』を受け続けていた。
手伝いながら海が樹に語りかける。
「…一緒に、戻るんだ、樹。俺と戻ろう」
「…………」
繋ぎきれない、線を悔やみながら、ひとつ、ため息を落とした。
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続編です。