電子卓上生命体
あたしにきづいたのか机の上のモノがあたしに向いた。
“パパ、誰か来たよ?”
「怜斗さん…」
「あぁ、ママだよ、玖珂」
その人は、あたしが来ても振り返ることもなく、パソコンに向かっている。
机の上では、ぬいぐるみのような、人形のような、人の形をした『モノ』が、周りの物を興味深げに触っていた。
“わぁ!ママ?僕、玖珂だよ!”
すごく嬉しそうな声を上げる机の上に寝かされている『モノ』
あぁ…また、作ったのね
そう…。
この人は世界に誇る『電子生命』の開発者。
一代目が『出来てから』どんどんそれを作っている。
一代目の“光(あきら)”はあたしたちの息子として生きている。今は学生だ。
二代目“樹(いつき)”と三代目“海(かい)”は最初から大人の身体だった。今も健在でSPをしている
月に一度、検査もかねてうちに帰ってきては、いろいろと助けてくれる。
四代目“恵那(えな)”はここのお手伝いさんをしながら、料理の勉強中。料理人になりたいらしい。
五代目“桜(おう)”は3歳の身体で作られ、今は小学生。
六代目“佳(かい)”は『創られて』2年で息を引き取った。
八代目“皇(きみ)”はまだ創られて1年。今はまだ5歳の身体をしている。
そして、この子は九代目“玖珂(くが)”。
どうやら、八代目と同じ位の年代らしい。
みんなにあたらしい弟が出来たことを、教えなくてはね。
「よろしくね、玖珂くん」
“うん!ママ、これ、なんなの?”
彼の手に握られているものを説明するために、あたしは、机の上の「命」に、向かい合った。
まだ、机から動くことの出来ない彼に。
動けるようになったら、いろいろなことをしましょうね。
まずは、お兄ちゃんたちに会いに行きましょう。
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設定を増やしていこう、とおもって書いてるうちにどんどん濃くなってしまった物です
タイトルは『命与』(みことよ)
“与えられた命”っていう意味のつもりで付けました。
ぶっちゃけこれ自身が設定見たいなノリ(笑)