道路際、手を振る君に降り注ぐ雨




もっと、もっと。


気づかれないくらい、降れ。




いやと言うほどの土砂降り。
俺は、何も考えたくない。


ぬれてもこまるものはもってきていないし、もう、どうでもいい。



向かいの道路際。


手をふるあなたのかさに降り注ぐ、たくさんの雨。


でも僕は、気づかなかった振りをして、走った。


今、僕はとても、あなたの前に立って正常でいられる自信がなかった。


あなたの隣に立っている、ヒトに向かって。


どうかあなたが、そのことにきづいていませんように。
ただ僕があなたに気づかなかったのだとおもってくれるように。


ただただそう願いながら、ひたすらに、走った。


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