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『ぐ』

愚直であれ、けれど悩みは忘れるな


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「本当にやるのか?エカナ」

「…今さら聞くな」



目の前の、憧れの人で、現在の相方に視線を向ける。

女の装いをまとい、長く伸びた黒髪を後ろになびかせて。

一番大切な、銀弓を、左手に持って。




「エカナがそれでいいなら、俺は止めない。

俺はただ、エカナについていくだけだ」

「……馬鹿やろ」

「その気持ちが、きちんと届けばいいのに、な」

「…それも、今さらだよ」



たった一度。

『あの方』はしらないけれど、エカナと『あの方』は会った事があるのだ。




まだ、エカナが一人で盗賊をやっていたころの話だから。

俺もただ聞いただけだけど。




それ以来、エカナの心は、『あの方』の元。





どこにいても、何があっても。






だから今回の『宝』に対しての追跡者と暗殺者を

自分にひきつけるために、大掛かりに『宝』を、奪いに行くのだ。




騒がしくするのは俺の役目。




奪うのは、エカナの役目。






さぁ、悩みを吹き飛ばすように、『あの方』の心に向かえ。





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「古城に立てこもって泣き叫んでみるか」の

R視点の中に出てきた、『宝』を奪う直前の二人です。