++++++++++++++++++++++
『ぐ』
愚直であれ、けれど悩みは忘れるな
++++++++++++++++++++++
「本当にやるのか?エカナ」
「…今さら聞くな」
目の前の、憧れの人で、現在の相方に視線を向ける。
女の装いをまとい、長く伸びた黒髪を後ろになびかせて。
一番大切な、銀弓を、左手に持って。
「エカナがそれでいいなら、俺は止めない。
俺はただ、エカナについていくだけだ」
「……馬鹿やろ」
「その気持ちが、きちんと届けばいいのに、な」
「…それも、今さらだよ」
たった一度。
『あの方』はしらないけれど、エカナと『あの方』は会った事があるのだ。
まだ、エカナが一人で盗賊をやっていたころの話だから。
俺もただ聞いただけだけど。
それ以来、エカナの心は、『あの方』の元。
どこにいても、何があっても。
だから今回の『宝』に対しての追跡者と暗殺者を
自分にひきつけるために、大掛かりに『宝』を、奪いに行くのだ。
騒がしくするのは俺の役目。
奪うのは、エカナの役目。
さぁ、悩みを吹き飛ばすように、『あの方』の心に向かえ。
+++++++++++++++++++++++++++++++++
「古城に立てこもって泣き叫んでみるか」の
R視点の中に出てきた、『宝』を奪う直前の二人です。