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『な』 斜め前に進め


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「……どうしたの、これ」


目の前には、一枚の紙をもった、桜と皇と玖珂。

3人がくれた『右斜め前にお進みください』とかかれている。

右斜め前って、あの人がずっと入ってはいけない、って言い続けていたところじゃない。
どうしてかも教えてくれなかった、ところ。


ただ、入ってはいけないといい続けられていたところ。

「先生が、冴季さんがきたら、これを見せてくれって。」
「…ふぅん…。」

紙を右のポケットにしまって、左のポケットから飴を3つ出す。

「お礼よ。3人で食べてね」
「ありがと、冴季ママ」
「…冴季さん、いいんですか?」
「ありがとう!冴季さん!」


玖珂が食べていいのかどうか、心配そうに聞く皇。
玖珂と桜まだまだ子供。嬉しそうに食べ始めている。

「大丈夫よ」
「…ならよかったです。ありがとう、お母さん」
「いいえ。じゃあ、また後でね」

食べ始めた皇を確認してから、あたしは、示されたとおり、右斜め前の道を進み、ドアを空けた。


目の前には、『佳』がいた。


「怜斗さん」
「あぁ、冴季、来たね。やっと復活させられたんだ。佳だよ。」
「…冴季、ママ…!」
「佳…!!!」


お帰り、佳。




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壊れてしまった物を直す部屋だから、彼女には見せられなかった、と言うわけです。