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『そ』
傍に居るからどうか返事を
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「泣き叫ぶことさえ」
“目の前で跪くことさえ”
『お前(あなた)のためなら、厭わない』
「だから、どうかあなたに」
“だから、いつお前に”
『この思いが届くのかを』
傍に居るなら、どうか返事を
あの砂漠から近くもなく遠くもない、小さな町。
追跡者も暗殺者もなぎ払い終わった
エカナの願いはかなったのだ。
「…これから、どうするんだ?」
「……どうしようかなぁ…」
「……決まってないなら待っていればいいさ」
「え?」
俺は、先日受け取った文をエカナに見せた。
差出人は彼の側近。
彼がやっとけじめをつけるつもりになったようです。
あなた方の居場所を告げておきました。
「………どういう、こと?」
「あの方が、来るよ」
「……う、そだろ?」
「このことで俺は、エカナにうそは付かない。
だから…」
俺の言葉がつながれる前に、ドアがノックされ、開かれた。
ドアを開いて、中に入ってきたのは『あの方』
「…ここに、『銀弓』がいると聞いたんだが」
思ったより早かったですね。
ならばもう『役目』は終わりです。
俺の望みはこの方の、幸せなのだから。
「こちらの方ですよ。俺は、買出しに行って来るから」
エカナにそれだけ告げて、入れ替わりに部屋を出た。
そばにいることを望むなら、どうか、偽りなき思いを。
そして、偽りなき返事を。
「俺のそばに、ずっといてくれないか」