見詰め合うこともかなわないから私は貴方を追い詰めるでしょう。
「あれほど言ったのに。」
湿った風が吹いていた。生暖かくて気持ち悪い。戦の時には目に付くものが全て暗く重く鈍く見えた。殺意に対してだけ鋭ければいい。
「行けば良いではないか。」
孫権は陸遜の隣へ馬を進めて、こともなげに言った。突出すれば、孤立する。後方支援へ、行けと。
「っ…私は、軍師です!」
初めて指揮する、軍師としての初陣。早口で言って、あわてて付け足す「軍師として考えていた策があります。」
「聞け、陸遜。」
孫権は前方を睨み付けて、そのまま黙り込んだ。
戦線が少し下がっているらしい。咆哮が聞こえる地響きが聞こえる、この世の終わりの音が聞こえる。
ここは戦場だ。
「全力で行きます!」
双剣を握り締めて走り出した。
その背中が見えなくなってから、孫権も剣を抜き高く掲げて声を張り上げる「両翼!畳み掛けろ。私もゆくぞ」
駆けて駆けて、手当たり次第斬って命を賭けて。陸孫は鈴の音を聞いた。
「甘寧殿!」
「あ?軍師さんがなにやってんだよ。」
「陸遜です」
叫びながら走り寄って背中合わせ市街戦。敵はまばら。でも家々には民兵ゲリラ。この場所は終焉。
ここでは地位も年齢も何の役にも立ちはしない
「貴方と同じ、はしゃいだ子供です」
明日が来ることなんて考えてないんですよ
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