LOVE GAME

 


「なぁトンガリ。ちょっとしたゲーム、せぇへんか?」

「キミが急にそんなこと言い出すなんて。何か裏があるんじゃないだろうね」



「ないない。そんなんあるわけないやろ。単なる『しりとり』や。」

「『しりとり』!?ますますアヤシイなぁ。一体、何を企んでるんだい」



「このゲーム、負けた方が今日の飲み代を持つ、ちゅうのはどうや?」

「やっぱりそういうことか。でも、まぁいいや。面白そうだしね、やろうか」



「よっしゃ。最後に『ん』が付いたり、言葉が繋げなくなったら負けやで」

「うん、いいよ。じゃあ、キミからどうぞ」



「ほないくで?『ソース』」

「『す』・・・『スイカ』!」



「『カラス』」

「ん〜『スミレ』」



「何やそれ?」

「花の名前、だよ。地球(ホーム)にあるんだ」



「へぇ、さよか。そんじゃ『レース』」

「えっ、また『す』かぁ・・・。あっ、『すなどけい』」



「『イス』」

「・・・意地悪だなぁ。そんなにいくつも『す』の付く言葉ばっか出てこないよ」



「ん〜?そんなことあらへんやろ。簡単なのがあるやんか」

「簡単・・・ってオイ!な、何でこんなに近付くんだよ!?」



「答えが出やすいように協力してやっとるだけや。さっさと考え?」

「うう〜・・・・あ!そうだ!!『ステーキ』」



「『き』やな。そんじゃ・・・」

「んんっ!?ん〜〜っ!!!ちょっ・・・いきなり何すんだよ!」



「『キス』やん。さぁ、おんどれの番やで。『す』から始まる言葉、簡単やろ?」

「・・・オマエ、俺に何を言わせたいの?」



「たまには口に出して言うてくれても、バチ当たらん思うけどなぁ、なぁトンガリはん?」

「!!!・・・まさか最初からそのつもりでっ」



「そのつもりって何やろなぁ?ホレ、はよ言うてや」

「・・・・う・・・・」



「降参・・・か?ま、それでもええけど」

「い、言うよ、言えばいいんだろ!?」



「そうそう。しかしおどれ、負けず嫌いやなぁ」

「あ!別に飲み代を払いたくないから、言うんじゃないからな。本当だぞ!」



「分かっとるがな。ほな、どうぞ〜」

「だ、からっ・・・どうしてこんなに密着する必要があるんだよ!!」



「ムードを盛り上げたっとるだけやん。いちいち気にすんなや」

「う〜。分かったよ・・・。いいか、一回しか言わないからな。よく聞けよ」





僅かに傾けられた顔をヴァッシュは両手でグイと引っ張った。

そして、顔をニヤつかせて待っている男の耳元に唇を寄せる。















「・・・『スケベ』」






「!!!」

「ほら、次。『べ』からだよ?」



「・・・・・・意地でも言わせたる・・・・・」

「あれ?ち、ちょっとオマエ、何で上着脱いでんだよ!・・・・う、うわぁぁぁぁぁっ!!!」






この後、ヴァッシュは散々苛められ、泣きながらその言葉を連呼させられるのであった。

 

 


インテ大阪合わせのコピー誌『MELLOW/SWEET』より。
ベタ甘アホラブな話をどうしても書きたくて、大阪行きの
新幹線の中で考えた話。『す』で始まる言葉は、たくさん
思いついたのですが、『す』で終わる言葉が少ししか
出てこなくて(しかも牧師さんが知っていそうな言葉)
結構ギリギリまで悩みました。続きは裏にでもいつか
書きますかね。あはは。(ホントか?本当なのか??)