「どうして飛空艇は飛ぶんだろうなぁ」
――飛ぶように出来てるからじゃないの
「どう見たって飛ばねぇよあんな重げな物体」
――君、飛行機に乗れない人か
「関係ねぇだろって、飛行機はちゃんと物理法則に則って飛ぶように作ってあんじゃねぇかよ!」
――飛空艇が飛ぶのはフシギな力です
「投げやりに議論を終わらすな。確かに考えるのもバカバカしい事は認めるが、
せめて推論くらいは出してみようと思え」
――しかし、SF好きだけど何一つ身になっちゃいねぇのよね
「知ってる。大体数学苦手だしな。だが、敢えてそのすっからかんな頭を働かせてみろ」
――えー、飛空艇は反重力で飛んでます
「ケイバーライト*か? 否定された*物を引っ張り出すなよ」
――じゃあ完全半重性体*
「何万人も生活できる人工衛星を作った先住民がいる以上、ありえない話じゃないとは思うが……うーん」
――で、少しでも取扱い間違えると銀河滅亡
「正義の味方が銀河滅ぼすな!」
――うるさいなあ。じゃあこうしよう
「なんだ」
――あの世界、実は水没してんの。だからあんな形状でも飛べる
「みんなエラ呼吸してるとでも言うつもりかよ! つーか、飛空艇の存在価値ねぇじゃねぇか!」
――仕方ないなあ。じゃあ船体が空気より軽い物質で出来てんだよ
「着陸できねぇだろ!」
――何万人もの竜騎士が下からジャンプで支えてるとか
「海の上でどうやってジャンプするつもりだ! それと竜騎士をそんなバカげた事に使うな」
――お前が片っ端から否定するから一向にまとまらないじゃないか
「お前が滅茶苦茶な事言うからだ。まあ、設定自体が滅茶苦茶だから仕方無いんだが」
――今までの全会話を否定したな。この破綻人間が
「黙れ社会不適合者。……自虐はよそう」
――とりあえずまとめよう。結論・飛空艇は祈りの力で飛んでいる
「最初に戻ったか。なら聞くが、一体誰が祈ってんだよ」
――ローザ
「……確かに飛べそうだ」