えー、今回もまた対話形式で講義を行いたいと思います。
題して、「魔導船はどうやって飛んでいるのか」
完全な一人二役であることは前回ご説明いたしましたね。
だから、”かわいそう”って目で見るなっつってんだろオオオ!!
「またこれかよ。で、今度は魔導船だって?」
――あんまり不平不満垂れてると仕事降ろされますよ。不況だからね
「関係ねぇだろ不況は」
――そんなこと無いと思うな。余計な人格を養っていく体力も財力も最早残っちゃいないんだから
「不気味なこと言うな。で、魔導船? あれは飛行クリスタルで飛んでるんじゃ無かったっけ?」
――それが違うんだなあ
「ヤケに自信ありげじゃねえか。よし、聞かせてみろよ。いったい何で飛ぶのか」
――ほら、宇宙を生身で渡る女の話があっただろ? 嫁入り七つ道具の一つに
「”七”しか合ってねえ! 下らないボケを二段にかますな! 説明しなきゃなんなくなるだろうが!」
――それはおいといて、
「しかもおいとくのかよ!!」
――真空は空虚なものではなく、高いエネルギーが詰まった状態なんだっていう学説*があるんですよ
「はあ……。で?」
――で、ローザの登場なんだけど
「今回はいつにもまして脈絡がねえな。また祈ってるとか言うんだろ、どうせ」
――違うって。船尾にくっついてる彼女がビート板の要領で魔導船を押してるんだよ
「思いつくまま喋るなよ!! さっきの学説は何だったんだ!!」
――チッ、何となく信じ込むかと思ったのに
「信じねえよ! はい、振り出し振り出し」
――ある日、フースーヤおじいちゃんは、近所の宇宙へ釣りに出掛けました
「……おい?」
――えいや!と釣り糸を垂れると、魔導船が釣れました
「オチがバレバレじゃねえか! 投げやりになるなって」
――……じゃあ竜騎士が
「お前竜騎士を何だと思ってるんだ」
――んー、友達以上、恋人未満かな
「竜騎士との関係を宙に浮かせるなよ!」
――それはさておき、飛行クリスタルって何なんだろうね
「さあなぁ……ん? もしかしなくともそっから始めなきゃいけないのか」
――よし、じゃあクリスタルの謎をまず解こう。クリスタルって宝石だよね
「ああ。でかい宝石だな」
――思うんだけど、かなり希少な宝石なんじゃないかな。ほら、持ってる人が次々怪死したりする宝石があるでしょ。ああいう感じの
「あー、歴史的大事件の影にその石があった*……っていうやつな」
――それと似たような物なんじゃないかな。クリスタルを持ってる国って大抵不愉快な目に遭ってるしさ
「おお、今度は真面目じゃねえか」
――……捨てちゃえばいいのに
「お前、あの世界を根本から揺るがすようなこと言うな。でも、いくら曰く付きったって、物浮かしたりは出来ないぜ?」
――そうなんだよね。そこで、もう一つ。クリスタルは信仰の対象でもあるだろ
「ああ、そうみたいだな。うーん、宝石にして信仰の対象……か」
――ほら、段々カラクリが見えてきた。身近にもあるじゃない、宝石にして信仰の対象って言うのがさ
「そんなもんあったっけ?」
――墓石ってロケットブースターに似てない?*
「どんな罰当たりだお前は!! 形が似てるからって飛ぶわけねえだろ!」
――何だと、墓石をバカにするな!!
「バカにしてんのはお前だ! 結論が出ないからって逆ギレすんな!」
――せっかくご先祖様の霊力で飛んでるっていうオチにしようと思ったのに
「やめろ。キレイすぎて納得いかないから」
*真空=高エネルギー説
あったような気がします。
*曰く付きの宝石
正式名称を失念してしまいましたが、確か大英帝国博物館あたりにあったはず。
(追記#ホープダイヤというらしいです。)
*墓石とロケットブースター酷似説
夜な夜な飛びそうで怖いです。