ルックバック

原作読んでいなかったのですが、「読まずに観た方が良い」という情報を信じて、未読のまま観に行きました。

よかったです。
上映時間58分と短めですが、私はちょうど良いと感じました。

「泣けた」とか「号泣した」とかの前評判を聞いていたので、ハンカチ持参して覚悟して観に行ったのですが、泣くまでは至らなかったです。

絵を描く人間なら一度は経験する、嫉妬や挫折、喜びが赤裸々に描かれていて、私の場合、泣くというより、自身の黒歴史とみごとに重なってしまい、思わず苦笑いするしかなかったです。

あちこちで絶賛されていて、私の受けた感想と少し温度差を感じるので、原因を考えた結果、

「私が歳を取った」ことが原因、と気づきました。

すでに自分が何者でもないことを知り、遠い昔に欲とか嫉妬とか捨ててしまった老兵は、苦笑いするしかないのであります。

絵を描き始めた頃に戻って、もがき苦しんでいるときに、この作品を観たら号泣していたかもしれません。

そんな自分があちこちで話題になっている部分を考察すると、

最後の「京アニ事件」の「ちがう世界線」は、あくまで藤野の妄想であり、自身の無力さに涙し、それでも「生きていくしかないよ」という作者のメッセージかなと受け取りました。

また、藤野と京本は、ともに作者の分身だと考えると、「画力(京本)では勝てないけど、ストーリー(藤野)で勝負するぜ」という作者の決意とも取れますよね。

…とまぁ、鑑賞後、いろいろと考えさせられる時点で、良い作品なんですよね。