ギャップ 続編
美作あきら×牧野つくし


前回:ギャップ(西門総二郎×牧野つくし)

西門さんの車を降りて、あたしは鳴り続けていた着信に出た。

「もしもし」
『牧野、司と喧嘩したんだって?』


道明寺のヤツ・・美作さんにまで言ったの!?
本当、おしゃべりなんだから。


「だって道明寺ってば・・」

西門さんに話したのと同じ事を、美作さんに愚痴った。
でも、二度目のせいか、不思議と冷静に話せた。
それは、美作さんにも伝わったようだ。

『いやに冷静じゃん。安心したよ』


美作さんは、やさしい。
F4の中で誰よりも大人だと思う。
だから、あたしは何でも話せてしまう。
道明寺のこと、花沢類のこと。
西門総二郎のことを話すのも時間の問題だと思う。


『とりあえずさ、早いとこ仲直りしろよ?』
「でもッ・・」
『いや、じゃないと俺らに被害が来るんだよ』
「・・そんなの知らない」
『いや、やべぇんだって、司の不機嫌は』
「・・・・」
『俺らでも手に負えないんだよ、だから頼むぜ?』



あたしの返事を待たずに、美作さんは電話を切った。

「そんなこと、頼まれたって・・。」

俺は、カフェで牧野を待っていた。
電話で牧野に司との仲直りを説得するのは無理だ。
そう思って、呼び出した。

(それにしても・・)

俺は、なんとなくモヤモヤしていた。

(なんで牧野は昨日、あんなに落ち着いてたんだ?)

あいつらの喧嘩は日常茶飯事だ。
司の八つ当たりにも、牧野のキレようにも、もう慣れた。
だからこそ、昨日の牧野に違和感を覚えた。

(類に会ったのか?)


『ごめんなさい、遅れちゃって』

約束の時間を15分過ぎて、牧野がやってきた。

「珍しいな、牧野が遅刻なんて」
『優紀のお見舞い行ってたら、遅くなっちゃって・・』

そう言って、牧野は向かい側に座った。
走ってきたのか、暑そうに制服のブレザーを脱ぐ。


その瞬間――かすかに、匂った。

(総二郎・・・?)

一瞬だったが、間違いない。
幼少からの親友の匂いを、間違えるハズがない。
これは、総二郎がBVLGARIの社長に特注させた香水だ。


俺は、昨夜、総二郎から電話があったことを思い出した。
いつもなら司や牧野に対して「勝手にしろよ」と干渉しないあいつが・・
珍しく二人の喧嘩について心配していた。
いや・・実際は心配なんてしてなかったのだろう。
心配してるフリをして・・
自分のやったこと――牧野を抱いたことに正当性を見出してるだけだ。

(昔からそうだよな・・)

俺はようやく、合点がいった。
昨日、牧野の愚痴を聞いてたのは、類なんかじゃない。

「総二郎、か・・」

俺は牧野の首筋の痕を見ながら、呟いた。

何故だか分からない・・
しかし俺は、総二郎に対して、激しく嫉妬した。


別に、牧野に惚れてる訳じゃない。
だから、牧野が司や類のことで相談してきても、何とも思わない。
ただ総二郎が、牧野を抱いたこと・・
そして、おそらく満足させただろうことが・・無償に面白くなかった。


「場所、移動しようか」

俺は、平静を装って言った。

「夕飯まだだろ?近くのホテル予約してあるよ」


俺は、総二郎のように、行き当たりばったりで女と時間を過ごさない。
会うときは、店を予約して、それなりの雰囲気を演出する。
付き合う女性に人妻が多いからかもしれないが・・
相手に少しも不快な思いをさせないよう、最高の夜を提供する。
そんな俺を「マダム・キラー」と、総二郎はバカにするが・・。








店に着き、食事を始めると不思議とさっきまでの腹立ちは収まった。
目の前で、牧野が目を白黒させて料理を食べている。

『おいし〜』 『何これッ生まれて初めて食べる』

そんな風に、思ったことを口に出して、次々と口に料理を運ぶ。

「すげぇ食欲・・」

いつもながら、俺は苦笑してしまう。
そして、少しだけ司がこの女に惚れ込んだのが分かってしまう。

(こんなうまそうに食事する女っていないもんな・・)


デザートまできっちりと食べた牧野は『ごちそぉさまッ』とご満悦だ。
「昨日のこと、少し話したいからさ、静かな所に移動しようか」


“静かな所”と言われて牧野は、少し赤らんだ。
牧野と二人で会うのは、今日が初めてじゃない。
それが何を意味してるのか、分かってるハズだ。


俺は、牧野の肩を抱いて部屋へと向かった。

『うぁ〜 綺麗ッ』

予約してあった最上階の部屋から見える夜景に、牧野は感動の声をもらした。


そして、外を見たまま振り返らないで言った。

『昨日の話って道明寺のこと?』
「それもあるけど・・」

言いながら俺は、後ろから牧野を抱きすくめる。
白いうなじに唇を這わせ・・
牧野の口から甘い息が漏れたのを確認して、聞いた。


「総二郎とのセックスは、良かった?」

『ど・・して・・知ってるの?』

息を荒くしながら、牧野が問い返す。


それには答えないで、後ろから胸を揉んだ。
腰から胸にかけて撫で回し、優しく乳首を摘む。

『んん・・ッ・・ダメ・・・』

そして、後ろから制服のボタンに手を伸ばしかけた時・・
また、総二郎の香水が匂った。




その瞬間、俺は牧野をメチャクチャに犯したい衝動に駆られた。


俺は牧野を床に押し倒した。
そして、乱暴に制服のボタンを外す。


『美作さん?』

驚いたような声を出した牧野は、もう既に半裸だ。
俺は爪を立て、強く胸を揉んだ。
つかまれた部分に残る赤い爪跡が、異常なくらいに淫乱に見える。

『んぁ・・・待って、ちゃんとベッドで・・』


理性が跳びそうになりながらも、牧野は必死で訴えかける。
俺に怯えて、少しだけ涙目になりながら。


そんな牧野を無視して、俺は乳首を攻め出した。
優しく、舌先で乳首を撫で・・そっと口に含む。
次の瞬間には、血が滲むくらい強く乳首を噛む。
そして、その傷をいたわるように再び優しく舌で撫で回す。

『みッ・・まさか・・さん?・・・痛ッ・・』

いつもの俺と違うことに、戸惑っているようだ。
華奢な腕で、俺の体をどけようと必死になっている。
そんな牧野を見ていて・・俺の中では更に残酷な欲望が燃え出した。

俺は、牧野からサッと身を離した。
そして何事もなかったかのように、煙草に火をつける。

そんな俺の行動に、牧野は面食らったようだ。
乱れた恰好のまま、床から体を起こす。
『ねぇ・・どうしたの?』
「何が?」
『続きは・・?』

真っ赤になりながら、俺に尋ねる。


「したいんだ?」
『そりゃ・・だって、ここまでしたら・・』

口ごもりながら、必死に訴えている。

「じゃあ、俺にどうしてほしいか言ってみ?」
『・・・・ッ』

俯くだけで、牧野は答えない。

「言わないなら、もうやらねぇよ」

そう言って俺は風呂場に向かおうとした。


『・・・てくださぃ・・』
「何?聞こえねぇって」
『美作さんのを・・入れてくださぃ・・』

牧野はそれだけ言って、俯いた。
微動だにしないで・・俺の行動を待ってるのか。
俺は、俺を求める牧野に欲情した。
そして、今までにはない感情が次々と生まれ出す。


「そんなに欲しかったらさ」

俺の声に牧野がビクンッと反応した。

「オナニーしてみろよ」

言いながら、俺は背筋がゾクゾクするのを感じた。
なんていうか・・言葉にし難い快感が俺を支配する。


『自分で・・?』
「そう。やったことあんだろ?」
『・・・・。』
「自分でしてる所を見せて、俺を誘ってみろよ」

牧野は硬直したまま、しばらく動かなかった。
だが・・

ゆっくりと自分の制服に手をかけ始める。
そして下を向きながら、脱ぎ始めた。
ブレザー・ブラウス・スカート・・
次々に脱いでいき、あっという間に牧野は下着のみの姿となった。
透き通るような白い肌に、ピンク色の下着が妙に艶かしい。


『どうやれば、いいですか?』

牧野は消え入りそうな声で、俺に問い掛けた。


「下着も脱げよ」

俺は更に、命令を下す。
・・牧野は決してそれに逆らわない。
再びゆっくりと、脱いでいく。
そしてついに、一糸まとわぬ姿となった。



(いつからこんなに従順になったんだ?)

いつも、F4に何かと突っかかってくる牧野。
あの司に憎まれ口を叩ける程だ。
そんな勝気な女が・・今、俺の支配下にいる。
俺の言う通りに動いている。


そう思うだけで、俺は今までになく欲情してしまう。

「まず胸から揉んでみな」

俺の命令を聞き、牧野は自分で両胸を揉み出した。
床に膝立ての状態で、少しだけ息を荒くしながら。
そんな牧野を、俺は椅子に座って見下ろしている。
決して大きくはないが、弾力のある胸が手で揉まれている。
見ているだけでも、その柔らかさは充分に伝わってくる。

「もっと乳首も攻めろよ」

言いながら、俺は下半身に血液が集中しているのを感じた。
そんなことに気付くはずもない牧野は、言われたとおり乳首を触り出す。

『んぁ・・』

小さく快感の声を漏らしながら、細い指で乳首を摘んでいる。
突起したピンク色の乳首が、俺を誘う。

『・・・んふッ』

そして、耐え切れなくなったのか・・
俺が何も言わないのに、下も触りだした。
クチュクチュ・・と卑猥な音が聞こえる。

『ぁあッ・・・んッ』


「足、もっと広げて見せて」

快感に酔いしれる牧野に、俺は要求した。
牧野はそれに答えて、大きく足を広げた。
M字に膝を曲げ、俺の方を向いて再び自ら愛撫をする。

『はっ・・ぁ』

牧野の声に呼応するように、次々と蜜が溢れてくる。


俺の股間は張り裂けそうに、膨張していた。

「牧野・・舐めて・・」

耐え切れなくなった俺は、牧野に懇願した。
牧野はオナニーしていた手を止め、ゆっくりと俺に近づいた。
そしてジッパーを下ろし、俺を見る。

『・・どぉやればいいんですか?』
「舌で先端を舐めて」

言われたとおりに牧野は、先端を舐め始める。
チロチロと赤い舌を出し・・俺の先走り液を、丁寧に舐めあげる。

「ぅあ・・」

俺は思わず声を漏らした。
その声に反応し、牧野の舌の動きは速くなった。
そして、裏筋をゆっくりと舌先でなぞる。
牧野の舌は冷たく、柔らかい。
俺のモノに、しっかりと絡み付いてくる。

「ぅ・・もっと・・くわえて・・」

俺のペニスは、ゆっくりと牧野の口に吸い込まれた。
そして、何も言ってないのに顔を上下に動かしだす。

「・・・ッぁあ」

牧野の舌が、頬が、俺のモノを締め付ける。
目をつむり、口いっぱいに俺のをくわえている。

「牧野・・もう・・」


限界だった。
これ以上、牧野の舌に刺激されていたら間違いなく果てる。


俺は牧野を床に押し倒した。
そして、間髪入れずに牧野の中に挿入する。

『ふぁ・・・』
「・・・ッ・・」

入れた瞬間、お互いに声にならない声を漏らした。

俺は、奥まで届いたのを確認し、動き出す。

『んん・・ぁ・・・・』


ゆっくり、牧野の表情を見ながら・・・と言いたいけれど。
俺自身、そんなに長くもたないだろう事を感じていた。
牧野の中は、熱くて締まっていて・・
最高に気持ちがいい。

『美作・・さぁ・・んッ』
「牧野・・・ッ」
『・・・ぁ・・気持ちィ・・』

牧野は感度がいい。俺の動きに敏感に反応する。
俺は抑えられずに、動きを速めた。


ニュプニュプ・・と淫靡な音が部屋に響く。

『んぁ・・ッふぅ・・』

牧野の口から漏れる、熱い息。喘ぎ声。
俺の下で、乱れている姿。
そして、何度も締め付けてくる内側。
俺の全神経が刺激されている。

(もうダメかもしんねぇ・・・)

俺は牧野の奥を何度も突いた。
腰を引くと、牧野の内側は離すまいと吸い付いてくる。


「あぁ・・牧野・・」
『・・んふぅ・・』
「俺・・もう我慢できねぇ・・」
『あぁ・・・ぁッ・・』



俺は更にピストン運動を速めた。

『ッはぁ・・・・もっと・・』
「ぁあ・・」
『美作さん・・ッ』
「・・あきらって言えよ・・」
『・・んぁ・・あき・・ら・・・』

牧野は息を荒くしながら、何度も俺の名前を呼んだ。
そして俺は、本当に我慢出来なくなった。

「わりぃ・・イクッ・・」
『来て・・ぁあたしもッ・・・ぁあッ』

俺は最後に一回、思い切り突くとペニスを抜いた。
そして、牧野の腹の辺りに出した。


息が苦しい。
牧野も苦しそうに息を整えている。
その唇に、俺は軽くキスを交わした。

『ねぇ・・・どうして西門さんとのこと気付いたの?』
湯船の泡を手で遊びながら、牧野が聞いた。
俺が何も言わずにいると、少し怒ったような表情でこっちを向く。

『ねぇってば』
「さぁ・・香水、かな」
『香水?』
「そ。あいつの特注した香水」
『へぇ・・そんなので分かるんだ』
「あぁ・・司も気付くぜ?気をつけないと」
『・・・気をつけよぉ』


そう言って牧野は湯船にブクブク・・と沈む。
そんな牧野の耳元で、俺は気になってたことを聞いた。

「俺と総二郎、どっちが良かった?」
『・・・わかんない』
「どっち?」
『・・・・選べないけど』
「けど??」


牧野は俺の目を見て、イタズラっぽく言った。

『花沢類は、上手だよ』


そう言って、浴槽から上がる牧野。
その背中を見つめながら、俺は牧野の言葉を反芻した。


(類が・・・?)

「いや、ねぇだろ」

そう一人で呟き、笑った。
類よりは、俺も総二郎も経験してるハズだ。
負けるハズがない。


だけど・・・
無償に落ち着かない俺。


「いや・・・ねぇって」

自分に言い聞かせた。






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