敵わない 続編3
美作あきら×牧野つくし


前回:敵わない 続編2(西門総二郎×牧野つくし)

『俺はどうかしちまったのか?』

何度も自問自答を繰り返す。
大人の女にしか興味はなかった。
落ち着いていて、知的で、互いに思いやれる居心地のいい関係。

だが牧野は特別だ。
俺よりも年下なのにしっかりしていて
俺の本質を見抜いてやがる。
牧野といる時の俺は…… 常に満月でいられる気がする。

今日もカフェテリアで牧野を見かける。
俺はなんでもないような顔をしながら
視界の端で牧野を追っている。

「あっ、美作さん。 今日は一人ですか?」

牧野はペコリと軽く頭を下げながらながら近付いてきた。

「おお。 総二朗はデート。司は遅刻。類は……休みじゃねぇか?」
「そっか。でもたまには一人もいいよね。時間がゆっくり過ごせそう。
美作さんいつもフォローとかで忙しそうだから。」

クスクスと笑いながら牧野は俺を見上げた。

他人が聞いたら他愛のない会話だろう。
だけど俺をよく見てくれている。

「西門さんはああ見えて、結構掴み所がわかんないし
花沢類は何考えてんのか解りづらいし……。
道明寺に至ってはもう……、
溜息しか出ないよね。」

牧野は俺に同意を求めるようにクスッと苦笑いをした。
あいつらと俺の関係は恐らく変わらないだろう。
ジジイになってもアイツらを宥め、多少の我慢をし、
四人で過ごしていく。まぁ悪くない。

そこに牧野がいれば……、俺の傍らに牧野がいれば俺もガキみたいに
心を委ねたりできたりするんだろうか。

―――馬鹿な。

俺が牧野に本気になってどうする。
類と司の泥沼に俺までハマるっつー事か。
ありえねぇな。女の事でグダグダするのはごめんだ。
牧野はたしかにイイ女だけど俺を泥沼に誘う程の魅力はねーな。

なんて勝手な事を頭に巡らせる。

「アイツらは自分に素直過ぎんだよ。
眠いから寝る、ムカつくから殴る、抱きたいから抱く。
ぜってー『我慢』なんてした事ねぇよ。」

牧野と笑いあいながら愚痴をこぼす。

一通り談笑すると牧野はバイトに行く、と走り去った。
相変わらずの勤労処女――と、処女じゃねぇな。
フッと思い出し笑いがもれる。

雪に隠されたロッジで初めて牧野を抱いた。
司と、類と、総二郎と……めちゃめちゃにしてやった。

あの日の事を思い出したのは初めてじゃない。
乱れる衣服、快楽に溺れる牧野の顔。
卑猥な夢を見て明け方目覚める。
きまって額には汗が滲んで、今まで行為に及んでいたかの様に
息は荒くなっていて自身を硬くそそり立っている。

あれから何度も女を抱いた。
貞淑を気取った人妻に近寄り声をかける。

「こんな事……旦那にしられたら――アッ……ァ。」

ベッドの中ではお決まりのトーク。
若い俺の体に跨がり腰をふり、熟れた体は包むように俺を締め付ける。
牧野は違った。
俺の体の下で喘ぎ、羞恥に満ちた瞳を俺に向ける。
繋がっている場所は痛い程に俺を締め付けた。

『もう一度牧野を抱きたい。』

俺は常に頭の中心にある感情から目を背けていた。
俺は素直なままに生きられる程ガキじゃない。


「おぅ、牧野今日の夜空いてる?
飲みたい気分なんだけどアイツらいねーからよ。」

俺は夜、牧野を誘い出した。
自分の感情は気の迷いだと確信したかったからだ。

「さすが美作さんですね。 落ち着いたお店……。」

牧野はキョロキョロと物珍しそうに周りを見渡す。
ブラインドで仕切られた個室で
牧野は俺の左に座りアプリコットサワーを飲んでいる。

小さなソファーにテーブルがあるだけの席、『カップル席』というやつだ。
牧野は俺を信頼しているのか腕同士が触れ合っていても
気にもしていないようだ。
酒量が増えるのと比例して牧野は饒舌になっていった。

「今日バイト先に嫌なお客さんが来て疲れたんですよー。」
「どんな客?」
「すっごい香水の匂いで店内がブワ〜って花の香り、
飲食店だからその後は換気に必死でしたよ……。」
「へぇ、そういうもんなの?
牧野は香水とかつけてないから余計に敏感かもな。」

俺は何の気無しに牧野の首筋に鼻を近付けた。

ピクンッ!

牧野の体が一瞬震えた。

「あっ!あのっ、今のは別にっ!」

牧野は顔を真っ赤にして言い訳をする。
その後、恥ずかしさを隠すようにサワーを一気に飲み干した。

飲み初めてから一時間程たっただろうか。
牧野が俺をチラチラと見てくる。

「――ん?どした?」
「……あの…、あたし……なんか……。」

欲情したように表情で俺を誘う。

モジモジと膝を擦りあわせ俺の手を握る。
けっして自分から口に出したりはしない。
普段俺が抱く女達なら声に出して俺を誘うだろう。

「あきら、抱いて、」と。

それも出来ない牧野が愛おしく思えた。

「あ、あの、美作さんは……、しない……んですか?」
「『美作さんは』? 他の奴らはあれからも牧野に何かしたの?」
「……ハイ……。」

俺は血が逆流するような感覚に襲われた。
司も、類も総二郎も、あのロッジ以降に牧野を抱いたのか?
あの日限りじゃなかったのか?
グルグルと頭の中で疑問が湧いてくる。

「あたし……なんか、我慢できなくなっちゃって……。」

アイツらに抱かれて開発された牧野は
酒の勢いもかりて俺に抱きついてきた。
唇をついばむ様にくわえキスをする。
舌をさし入れると牧野は受け入れるように絡めてきた。

深いキスをしていても俺は理性を保っていた。

『ここは個室であるとはいえバーだ。
ブラインドの仕切り一つだし、これ以上はマズい。』

そんな無粋な事を考えながら舌で牧野の咥内をなぞる。
自分を見失うなんて経験した事がなかった。

「ん……、んぅ……。」

牧野は俺の首に回していた手をほどくと
つつーっと胸元、腹部、を通りすぎて下腹部を探る様に滑らせた。
頭をもたげ始めているソコで手をとめると
やわやわと触り始めた。

「――ッ! ? ……牧野……それはちょっとマズイだろ。」

キスを中断し 耳元で声をかける。
こんな所でこれ以上の行為をして、見つかったらどうするんだ。

「……やだ……。美作さん……もぉムリ……。」

涙目で俺を誘う牧野。
理性と本能の狭間で俺は揺れていた。
牧野は俺のズボンに手をかけると、たどたどしくチャックをおろしていく。

「おい……牧野……?」

――クチュ――

「……ッッ!……ハ……ッ。」

俺は口元に手の甲をあて、もれないように声を押し殺した。
普段の女を抱く時は夜景の綺麗なシティホテルで抱く。
だからこんなにも性急に、貪欲に求められた事はなかった。

牧野は窮屈なソファーで体を屈め、俺のソコを舌や唇を使って舐めていく。
ブラインドの先の通路に人が通る気配を感じながらも
自身は硬く張り詰めていた。

グプッ、クプッと牧野は頭を揺するように激しく俺を求めた。
油断したら声をだしてしまいそうな中、牧野の頭を掴む。

「――んッ、……ハッ…ハァ……。」

ソファーにもたれて上体を反らすと、
快感に溺れてしまわないよう耐えた。

「美作……さん、…はぁ…イイ……?」

顔をおこすと牧野はそう囁いた。

「あぁ……すげぇイイ…、正直ヤバかったぜ……。」

牧野はフラッと立ち上がるとスカートの中に手を入れた。顔を背けながら下着を下げていく。
足元からスルッと脱ぐと、ソファーに座る俺に跨がり……。

ズッ、ズプッッ

俺と牧野は完全に一つになった。
繋がっている場所はすでに愛液でヌルヌルになっていた。

「牧……野っ!! ヤバすぎだろっ……ハァッ……抜け……ッッ!!」

俺は抜け、と言いながらも身体は意思に反して
牧野の腰に手を回すとグッ、グッ、と揺する。

「……あー……声…でちゃうぅ……。」

牧野の唇を俺の唇で塞ぐ。

グチュッ……チュ…

この水音は口元からなのか、繋がっている場所からか、
わからない程めちゃくちゃに腰を揺する、舌で蹂躙する。

「ハッハッ…ハァッ……ッッ……」

声を我慢し、眉をしかめ必死に求めあった。
牧野が前後に腰を揺すると、俺を締め付けだした。

「……あ…あ…あ……ッッ」

断続的にもれはじめた声……牧野がイキそうな事に気付いた俺は
目の前にあったおしぼりを牧野の口に突っ込んだ。

「――我慢……しろよ……ッッ……!!」

俺は牧野の両足を左右の腕で抱えるとそのまま立ち上がった。

そのまま牧野の身体を持ち上げ、揺すりながら突き上げる。
足場を無くした牧野は必死で俺の首にしがみつき快感から逃げようとする。

「んっ、んっ、んぅーッッ!」

おしぼりを噛み、声を抑えている牧野を容赦なく突いた。
腰をグラインドさせ、ズブズブと擦る。

「――あー……牧野……ッッ、すげぇ締まってきてる……。」

俺は牧野をテーブルに乗せた。
テーブルの上にある食器やグラスをなぎたおしてしまいそうな
衝動を抑え、なんとか端に寄せる。
その刹那、俺は理性を手放した。

――グチュッッ グチュッッ――

淫靡な音をたて、ヌラヌラと絡みつくソコを見ながら腰を打ち付ける。
ガタガタとテーブルが音をたてているが
そんな事はどうでもいい。

テーブルの音を聞き付けたボーイがブラインド越しに
声をかけてきた。

「――お食事中失礼します。
美作様、何か物音が聞こえているのですが
お困りの事はないでしょうか?」

牧野がハッとした顔で俺を見た。
羞恥に満ちた顔で助けをこうている。

――ズッ、ズンッ、ズッ――

『信じられない』、そんな顔の牧野を尻目に腰を掴んで引き寄せる。
相変わらずガタガタと音を出すテーブルを
気にも留めずにボーイに言った。

「……ああ…対した事はない…ッッ……。…んッ…下がっててくれ。」

バレただろうか。
グチュグチュと響く水音、息のあがった俺の返答、ギシギシと軋むテーブル。
バレただろうな。まぁいい。

ボーイが下がる足音を微かに聞くと
牧野を追い詰めていく。
目を閉じて額に汗を滲ませて俺を締め付けて離さない。

牧野が首をイヤイヤ、と振りだした。

「……牧…野っ、イクんだ? ……こんな…場所で……ンッ…。」

俺は繋がった部分に手をやり、蕾の辺りを円を描くように撫でる。

「んうっ…! フッ……ッッ……ンンンーッッ!!」

ビクビクッと腰が揺れると中が絡みついてきた。

「…イく……出すぜ…ッッ……クッッ…!」

自身が膨脹し、ドプッドプッと牧野の中に俺の精子が溢れる。
名残惜しむように腰を奥で揺らすと、
その度ピュッ、ピュッッと出るのがわかった。
身震いする程の射精の快感で鳥肌がたった。

「……ハアッ、ハアッ……。」

荒い息を整えながら、牧野からティッシュを貰い処理すると手早く服を整えた。

「俺、初めてだぜ。 理性も何もかもブッ飛んだ。
――悪くねぇな。」

牧野にキスをすると、後戻り出来ない感情が
芽生えている事を確信した。

タクシーで牧野を家まで送った。
酔いがさめたであろう牧野は俯き、顔を真っ赤にしている。俺はその手を握り、指を絡ませる。
泥沼にハマってもいい。俺にとって牧野は太陽だ。

コイツがいれば、俺はいつでも満月になれる。


誘いの電話をかけたあの時から、俺はすでに泥沼の中にいたんだ。
そんな事を思いながら、牧野の手を握りしめた。

続編:真っ白な世界(F4×牧野つくし)






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