メイド遼子
鷹藤俊一×鳴海遼子


前回:予行演習(鳴海洸至×鳴海遼子)

鷹藤の部屋に、遼子と鷹藤がいる。
今はもう恋人同士の2人なのだから、別におかしな光景ではない。

が、ただ1ついつもとは違う所があった。

それは、遼子が「メイド姿」だということ。

事の起こりは十日程前、とある大物政治家の不倫スクープの取材での張り込み場所で揉めた2人は
お互い一歩も譲ることなく、結局別々の場所に張り込むことになった。
相手の張り込み先にターゲットが現れるようなことがあれば、その時は何でも相手の言うことを
聞く・・・という賭けと共に。

そして、今の状況である。

先日、遼子の部屋に行ったときに、クローゼットにしまい込まれていたメイド服を発見した鷹藤が
遼子に今度家に来たときに着るようにリクエストしたのだ。

それが、鷹藤から遼子への「勝者からの要求」だった。

もじもじしながら着替えて出てきた遼子は、黒いワンピースに、白いフリルのついたエプロン、
頭にも白いレースがついたカチューシャという、1年前に見た姿と同じだった。
いや、鷹藤には、その時よりもさらに色気が増している気がした。

そして同時に、鷹藤の中に、あの時見た夢も蘇る。
夢の中でメイド姿の遼子を堪能したのは何故か遼子の兄だったが、今、これは現実で、今度は自分が主役である。
あの時は情けなくて涙がこぼれたが、今は、思わず顔がほころんでしまう。

「・・・これで…いいの?」

恥ずかしそうに顔を伏せる遼子の顎を掴んで顔を上げさせると、ゆっくりと口付ける。

「すっげー似合ってる」
「ホントに?」
「ああ」

頬を染めながら、それでも嬉しそうに遼子が微笑む。

「ありがと、鷹藤くん。」
「ん?『あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す。ご・主・人・様』だろ?」
「う・・・あ、ありがとうございます・・・ご、ご主人・・・さま・・・」
「よくできました。」

そう言って笑いながら、ご褒美とばかりに再び口付ける。
優しく触れ合うキスが、次第に啄ばむ様なキスになり、やがて鷹藤は遼子の唇を激しく吸い上げる。

「ん…んん…」

息も継げない程激しくなっていく鷹藤の口付けに、遼子は眉を寄せ、切なそうに鼻にかかった息を漏らした。

「ベッド…行こうぜ?」

鷹藤が耳元で甘く囁くと、遼子はコクリと頷いた。

ベッドまで来ると、鷹藤はすぐにでも遼子を押し倒したい衝動に駆られたが、
せっかくのこのシチュエーションを楽しむことにした。

ベッドに腰掛け、遼子に1つめの命令を下す。

「まずは、手でやってもらおうか?」
「………は…い」

覚悟していたのだろうか、それほどの間もおかず遼子が鷹藤の前に跪き、そっとトランクスに手を伸ばす。
そしておずおずと、力の加減を確かめるようににそっと鷹藤自身を握りしめた。

「もっと…力を入れて」

鷹藤の言葉に、遼子の握る力がぎゅっと強くなり、心地よい圧迫感が押し寄せる。
それを与えてくれているのがしなやかな遼子の指だと思うと、さらに快感が高まる。
自分の手の中のモノが一回り大きくなったのを感じ、遼子がビクンと身を竦ませた。

「動かせよ…握ったままな…」

先端から滴る雫を全体に伸ばすように遼子の両手が摺り立てていく。

快感をさとられまいと、落ち着いた口調で鷹藤はさらに遼子に命じる。

「…今度は、口で…できるか?」

すると、遼子の頭が前に乗り出し、熱くそそり立ったモノにちゅっと軽く唇を寄せてから、先端を口に含んだ。
さらに、あちこちをきまぐれに遼子の唇が吸い立て舌が這っていたかと思うと、突然、舌が再び先端の括れた部分を
くすぐったかと思うと、急にすぼめた唇でもっとも敏感な部分を思い切り吸い上げられた。
腹の中の方から甘く痺る感覚がこみ上げてきて、腰が抜けそうになる。

「すごくいいぜ…」

鷹藤は目をきつく閉じて、その快感に酔いしれた。
つき合い出した当初は、この行為にかなり戸惑っていた遼子だったが、この頃は少しずつ慣れてきたようだった。
まだ動きはもどかしいが、そのもどかしさも愛おしい。

そっと髪を撫でてやると、遼子は鷹藤自身を咥えたまま、上目遣いに鷹藤を見上げる。
そんな遼子の淫靡な視線、しかも今日はメイド姿というオプションも加わり、
鷹藤は腹の底からゾクリと得体の知れない塊と快感が浮揚してくるのを感じた。

「きゃっ!」

押し寄せる射精感に『ヤバイ!』と鷹藤が感じたのと、遼子の短い悲鳴が聞こえたのが同時だった。

鷹藤が恐る恐る目を開けると、そこにはしたたかに白い液体を顔に受けた遼子が
鷹藤の男根を握りしめたままポカンとした顔で鷹藤を見上げていた。

「悪い…。」

鷹藤は近くにあったティッシュをとり、遼子の顔ついた白い体液をぬぐい取る。

「…変なことにつきあわせて…ゴメンな。…ちょっと、悪ノリしすぎたかも…」

遼子の顔を覗き込むようにゆっくりと声を掛けた。

「もうメイドごっこは終わりにしようぜ。」

しかし、遼子は鷹藤から視線をそらして俯くと、頭がゆるゆると左右に振られた。

「そ…な…ことない……よ。」
「え?」
「だから……いいよ?・・・私に命令して・・・」

妖艶さすら漂う瞳で、鷹藤を見上げるように遼子が言った。
思わぬ遼子の言葉に、鷹藤は気がつけば遼子をベッドの上に抱え上げ、メイド服のスカートの上から遼子を縫い止める。

「…いいのか?」
「…うん」
「じゃあ、今、アンタのアソコがどうなってるか、オレに説明してくれる?」

遼子の顔の脇に肘をつき、耳元に顔を近づけて囁くと、遼子は真っ赤になって目を反らす。

「…ご主人様の命令は何でもするんだろ?」

鷹藤はにやりと笑って、額に軽くキスを落とす。

「…で、どうなんだよ」
「……濡れて…る」
「どのぐらい?」
「…たくさん……」
「…じゃあ、その証拠…自分の指を挿れて確かめてみろよ。」

鷹藤のさらなる命令に、遼子は目を見開いてビックリしたような顔をして、鷹藤を見つめる。
鷹藤がじっと視線を外すことなく見つめていると、やがて諦めたように目を伏せてこう言った。

「…でき…ない」
「ご主人様の命令が聞けないってのか?」

遼子がふるふると頭をふる。

「………鷹藤君の…」
「鷹藤君じゃないだろ」
「あ……ご…主人様の…」
「何だよ…」
「…ご主人様の指で…確かめて…欲しい…」

予想だにしなかった遼子の言葉に、鷹藤は完全にノックアウトされた。
本能のまま、遼子の腹部を覆っていた漆黒のスカートを大きく首のほうにまで捲り上げると、
腰回りを覆う純白のレースと太股に伸びるガーターベルト、そしてレースの下着が鷹藤の前に現れる。
すでにそのレースの下着は、溢れた愛液で濡れていた。

遼子の脚をM字に開かせ下着を剥ぎ取ると、遼子の願い通り、その中心の花弁を確かめにいく。
鷹藤の指が、つうっと遼子の谷間をなぞる。

「はっ!…あああん!」

遼子の秘部を鷹藤の指が探り、指が動くたびくちゅくちゅと湿った音が響く。

「ホントに、濡れてるな。びしょびしょじゃねーか。」

鷹藤の指が遼子の入り口を犯すと、その刺激に遼子の脚が跳ねる。
根元まで指を埋め込むと、鷹藤は遼子の内壁を探り、ゆっくりと抜き差しを始める。

「はぁん!」

入り口を擦られる感覚に遼子は喘ぎ、繰り返される刺激に、遼子の中からは止まることなく愛液が零れ続ける。

「指一本じゃ足りないみたいだな」

自分の指を飲み込もうとする入り口の動きに、鷹藤は喉の奥で笑い、そして、遼子の中の指を二本に増やす。

「ああぁぁ!」

中を広げられる感覚に、遼子の脚がピンと引き攣る。
鷹藤は二本の指で抜き差しを繰り返しながら、時折内部で指を蠢かせて刺激する。
そうしながら、もう一方の手で遼子の熟れた肉芽を探り出し、指で刺激を与えた。

「やっ!あああああん!」

敏感な芽を弄られ、遼子の背が浮き、喉が仰け反る。
クリクリと鷹藤の指がそこを弄る度、遼子は甘い嬌声を上げ、その刺激に体を捩る。

「ココ、弱いんだな。」

そう言って鷹藤の指が肉芽を摘みあげた。

「だめっ!んっ!ああああああっ!!」

その瞬間、中を刺激され、ギリギリのところまで来ていた遼子は、大きすぎる快感に体を震わせて、絶頂を迎えた。

「気持ちよかった?」

鷹藤が尋ねると、荒くなった呼吸を整えながら遼子が頷く。

「正直じゃないか。じゃあ、ご褒美あげなくちゃな。」

鷹藤はそう耳元で囁くと、遼子の脚を左右に大きく広げ、濡れた遼子の中心に猛った鷹藤自身が押し当て、遼子の中に一気に突き入れる。

「やあぁ!」

鷹藤の腰が自分時便を馴染ませるように動かし、遼子の中をゆっくりと探り出す。

「あっ!あっ!」

鷹藤の動きに合わせ、遼子の唇からは甘い声が漏れる。
鷹藤が遼子の全てを感じようと激しく腰を打ちつけ、深く遼子を貫く。

「あっ!!また…わたし…」

内股を振るわせる遼子に、限界が近いことを知ると、鷹藤は先端ギリギリまで自身を引き抜き、一気に奥まで遼子を貫く。

「ああぁぁ!」

その瞬間、意識が遠くなるような快感に襲われ、遼子は鷹藤をしっかり抱きしめるとその快楽に体を震わせ、果てた。

「っく!」

鷹藤も遼子に締め付けられ、熱い迸りを遼子の奥に解放した。


「鷹藤君のエッチ」
「何だよ」

ようやく息が整ってきた遼子が、じろりと鷹藤を睨む。

「だって…全部脱がさないまま…するなんて…」
「何だよ。いつもよりアンタも感じてたみたいじゃん。こーゆーの好きだったり?」

鷹藤がにやりと笑いながら答えると、一気に遼子の顔が赤く染まる。

「これが好きなのは、鷹藤君の方でしょ!!!」

そんな遼子のくるくる変わる表情を楽しみながら、鷹藤は改めて遼子が着ているメイド服を見つめる。

「なぁ、この衣装ってあの時のだよな?」
「そう。あのメイド喫茶潜入取材の時に、お店から渡されたやつ。あのお店、潜入取材する直前に
警察の捜査が入って、結局取材できなかったじゃない?で、服もそのまま返せなくって・・・」

『そういえば・・・、あのタイミングで警察の捜査って・・・絶対あの人がなんかしたよな・・・』

と鷹藤は思ったがそれは口には出さなかった。

「じゃあ、あの時編集部で着ただけ?」

鷹藤は今まで聞きたかったが、恐ろしくて聞けずにいたことを、平静を装って遼子に尋ねる。

「ううん、あの日、家に帰ってからも特訓しようと思って…」
「着たのか!?家で?」
「うん。」

当たり前のように返ってきた答えに、鷹藤は一瞬眩暈がした。

「お兄ちゃんにお客さん役やってもらってね、『お帰りなさいませ、ご主人様』とか台詞も練習したんだよ。」
「そ、そ、そうなんだ…」

鷹藤は、あの時自分がみた夢が蘇り、情事の後で熱いはずの背中に冷たいものが走った気がした。

「で?」
「『で』って?」
「それだけ?
「…何が?」

キョトンとしている遼子の表情に、それは杞憂だったことを確信し鷹藤は胸を撫で下ろす。
それと同時に、再び鷹藤の中で、夢の中の遼子の痴態がよみがえる。

「確かあの時さ、衣装以外にも渡されたモノなかった?」
「!!!」
「ソレは?」
「えーっと…それは…」

遼子が明らかに口ごもって、鷹藤から視線をそらす。
ということは、まだ捨てずに手元にあるのだろう。もちろん『未使用』のままで。

「今度は服と一緒に、ソレも忘れずに持ってくるように」
「えええええ?!」
「ご主人様の命令は『絶対』だろ?・・・気持ちよくしてやるからさ・・・」
「…」
「返事は?」
「か、かしこまりました…ご主人…様…」

たどたどしい返事が返ってきた。

「はい、よくできました」

左手で遼子の頭を抱きかかえるようにしながら、鷹藤はゆっくりと遼子の耳朶を噛み締めた。






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